
(画像はキャバルリー wikipediaより転載)
コルト リボルバーの変遷
コルト社創業

(画像はM1836パターソン wikipediaより転載)
1836年に創業したコルト社は、銃器に興味のない人でも知っているほどの知名度の高い銃器メーカーである。創業者はサミュエル・コルトで子供の頃から随分苦労をしたようだ。職を転々としたのちにリボルバーの着想を得てコルト社を設立、創業と同時に発売したのがM1836パターソンである。
このモデルはパーカッション式で1本の銃身に対してシリンダーが回転するという現在のリボルバーと同一の構造を持っている。ここがサミュエル・コルトの発明の凄さである。シングルアクションでハンマーを起こすとフレーム内に内蔵されているトリガーが飛び出し発射可能となる仕組みであった。
この内蔵式トリガー自体はその後のコルト社の製品でも使用されているので駄作とはいえないものの、実戦で使用するにはやはり難があった。さらに全体的に構造が複雑であり、部品のクリアランスもタイトすぎるため故障が多かった。当時の火薬は黒色火薬で発射した際に汚れがひどいというのもパターソンには災いした。
米陸軍の採用を狙っていたようだが、制式採用には至らなかった。唯一テキサス共和国海軍が180丁のパターソンを制式採用している。総生産数はわずか2,800丁。
しかし捨てる神あれば拾う神あり。それはテキサスレンジャー中佐であり、米陸軍大尉であったサミュエル・ウォーカーであった。M1836の開発者サミュエル・コルトに対して「同じサミュエル同士一緒だね」と言ったのかどうかは分からないが、ウォーカー大尉はM1836の性能を高く評価した。
サミュエル「サミュエルの作った銃、超良かったよ!ただ口径が40口径って小っちゃいんだよねー」
サミュエル「じゃあ、サミュエルのアイデアで新しい銃を作ってみるよ」
サミュエル「楽しみに待ってるよサミュエル!」
サミュエル「出来たらプレゼントするよサミュエル!」

(画像はM1847ウォーカーモデル wikipediaより転載)
こういった会話は絶対に無かったと思うが、因みにコルトの方のサミュエルがM1836を製造したのちにコルト社が倒産、その後、海底ケーブル事業で知り合い友人となった男にサミュエル・モールスがいる。このサミュエルはのちに「モールス信号」を発明したことで有名だ。サミュエルを書き過ぎてゲシュタルト崩壊してきたので話を進めたい。
コルトはウォーカー大尉の要望を取り入れて開発したのがM1847ウォーカーモデルである。口径は44口径、装弾数はM1836が5発だったのに対して6発、内蔵式トリガーからトリガーガードが付いた常時露出しているタイプに改良。さらに銃身下部に装填レバーも装着されて装填も楽になった。
このモデルがついに米軍に採用、コルトはウォーカー大尉に2丁送ったが、ウォーカー大尉はその銃を握りしめて翌朝に戦死してしまった。コルトはウォーカー大尉に敬意を込めてこの銃をM1847ウォーカーモデルとして発売した。
しかしこのウォーカーモデル、何が弱点かといえばその重量である。当時は鋼鉄はまだ材料として使えるほど安価でなく通常の鉄で作られていた。大口径の威力に耐えるためにM1847の重量は2kgを超えていた。さらに当時のリボルバーは今ほど信頼性は高くなく装填にも時間がかかる。このためリボルバーというのは2丁持ち歩くというのは割と普通の状態であった。合計4kg、腰が外れて上半身だけが先に行ってしまうほどの重さだ。しかしウォーカーモデルの問題はそれだけではなく、威力が強力過ぎてシリンダーが爆発してしまったり、他のシリンダーの火薬に引火、全薬室の火薬が一斉に大爆発を起こすというお茶目な事故も多発した。
究極のパーカッション式リボルバーへの道

(画像はM1848ドラグーン wikipediaより転載)
コルトは早速改良を実施、1848年にM1848ドラグーンを完成させた。重量を減らすために銃身を切断、シリンダーの爆発を防ぐためにシリンダーを短縮するという何のひねりもない改良を実施した。これは基本的にウォーカーモデルと同じモデルということでシリアルナンバーはウォーカーモデルと連番になっている。この改良により重量はウォーカーモデルの2kgから1.9kgへと減少した。これは18,000丁以上のセールスを記録する。因みにこのM1848ドラグーンは『銀河鉄道999』の宇宙戦士の銃のモデルになっている。ドラグナーの量産型とは関係はない。

(画像はM1851ネービー wikipediaより転載)
大ヒットしたM1848、しかし実際に使ってみるとやはり重い。そりゃそうだ。軽量化といってもウォーカーモデルと100gしか違わないのだ。そこで「口径を小さくしてもいいから軽くしてくれない?」ということで口径を36口径、重量1.2kgの1851ネービーが登場。1.9kgから1.2kgへと700g減の医師が警鐘を鳴らすレベルの激烈ダイエットが行われた。
1.2kgといえばまあM1911と同じくらい。腰に2丁下げても2.4kg、何とか頑張れるレベルである。但し、威力はというとM1851の36口径は現在の380ACP弾程度の威力であると言われている。380ACP弾とはワルサーPPやSIGP230等の中型拳銃で採用されているカートリッジでもちろん威力も9mm弾や45ACP弾に比べれば遥かに弱い。それでもやはり軽い方がイイ、でもやはり威力も欲しいで開発されたのがM1860アーミーである。

(画像はM1860アーミー wikipediaより転載)
このM1860アーミーは44口径、重量1,220gと大口径にしては軽量であった。さらには火薬の量を増やすためにシリンダー長も延長している。何故このようなことが出来たのかというと、M1851が開発された1851年からM1860が開発された1860年の間にベッセマー法という安価に鋼鉄を作る技術が普及、鋼鉄を利用したことによりM1860は軽量で高威力の銃を製造することに成功したのだ。
ここらへんまでがコルト社の第一次黄金期だ。コルトのリボルバーはM1836の時の特許により保護され他社がリボルバーを製作することはできなかった。その特許も1857年に消滅、同年に永遠のライバルS&W社がリボルバーを発売している。
S&W社の反撃

(画像はM1873アーティラリー wikipediaより転載)
1857年にS&W社が発売したリボルバーS&WNo1リボルバーの特徴はそれまでのパーカッション式ではなく金属カートリッジを使用することであった。それまでの火薬と玉、そしてグリースを別々に装填するというパーカッション式に比べて金属カートリッジの利便性は敢えて書く必要もないだろう。この特許をS&Wは独占した。
一応正確に書いておくと、S&Wが独占したのは金属カートリッジそのものではなく、金属カートリッジを使用するリボルバーのボアスルーという特許だ。これを所有しているローリン・ホワイトと独占契約を結んだのだ。この特許が切れるのが1870年、それまでコルトは金属カートリッジのリボルバーの販売は出来なかった。
そして1871年になるとやっと特許の保護期間が終了、コルト社でも金属カートリッジリボルバーの生産を始める。そこで登場するのが1871-72オープントップリボルバーで、これは44口径リムファイア弾を使用するオープントップ式リボルバーであったが、オープントップ式(シリンダー上部がむき出しになっている形式)の限界で強度が不足、威力のあるカートリッジを使用することができなかった。
そこでこの1871-72をソリッドフレームに変更して強度を持たせた上でカートリッジも新たに45ロングコルト弾という強力なカートリッジを発射できるようにしたのがM1873である。これは通称SAAやピースメーカーと呼ばれる銃でコルト社の大ヒット製品となった。
ダブルアクションリボルバーの開発を開始

(画像はM1877 wikipediaより転載)
このSAAの成功の4年後、コルト社は初のダブルアクション(DA)リボルバーを開発する。それがM1877で口径は32〜41口径、翌年にはウィンチェスター社製レバーアクションライフルM73と互換性のある44-40弾を使用するM1878を発売する。DAリボルバーの開発に強硬に反対していた創業者であるサミュエル・コルトが他界して初めて実現したコルト社製DAリボルバーであった。

(画像はM1892 wikipediaより転載)
DAリボルバーにより連射性は上がったものの装填は従来通りローディングゲートから1発づつの装填であった、それを解消したのが1889年に登場したM1889である。これはコルト社初のスイングアウト式リボルバーでシリンダーごと銃左側面に90°に引き出すことができ、エジェクターロッドにより6発同時に排莢することができるという画期的な製品であった。


(画像は上がニューサービス、下がオフィシャルポリス wikipediaより転載)
但し、信頼性は今ひとつであった。そのため改良が加えられ信頼性を高めたのが「ニューシリーズ」ともいうべき、ニューポケット(1895年)、ニューポリス(1896年)、ニューサービス(1898年)の3モデルである。これらの違いは口径でメカニズムはほぼ同一である。これによってコルトDAリボルバーのメカニズムは完成したといえる。以降のコルトリボルバーはこのニューシリーズのメカニズムを踏襲している。そして1907年、これを38口径スペシャル弾仕様にしたのがオフィシャルポリスで世界中で爆発的にヒット、100万丁以上を販売する世界で最も売れた警察用拳銃となった。
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