
コルトナショナルマッチとはコルト1911の競技用モデルだ。日本でもトイガンとして昔からなじみ深い銃であるが、実はナショナルマッチというM1911の高精度モデルは戦前からあったというのは意外と知られてない。
ゴールドカップナショナルマッチ(実銃)
性能
全長 216mm
重量 1,048g
口径 45口径
使用弾薬 45ACP弾
装弾数 7発
設計・開発 コルト社
概要
1911年にコルト社が開発したM1911モデルは米軍に制式採用され人気を博した。このM1911モデルは民間用にも生産され一般に「ガバメント」と呼ばれていた。1932年、このモデルに選別した高精度の銃身を取り付け、部品の組み込み精度の高い競技専用モデルが発売された。これがナショナルマッチである。1942年に一旦生産が中止されるまでに約3,000丁が製造された。
第二次世界大戦以前のものはガバメントモデルと外観上に違いはなかったが、1945年から再度販売された戦後モデルには微調整可能なアクロサイトが搭載された。しかし、今ひとつ人気はなく生産中止となってしまったが、1961年にはゴールドカップとして再登場した。当初は38スーパー弾モデルであったが、1966年には45ACPモデルが発売されている。以前と異なり外観上にも大きな違いがあった。
まずはスライド上部に1mm程度のリブが付き、上面にグルーブが彫られた。サイトもパートリッジ型フロントサイトと可動リアサイトが装着された。さらに調整可能なワイドサイズのグルーブ入りトリガーとストレート型のメインスプリングハウジング、グリップ前面にはグルーブが彫られた。1977年にはシリーズ70モデルのゴールドカップが販売される。
内部も戦前同様に高精度のバレルと工作精度の高い部品で成っており、コルト社のハイエンドモデルの一つである。
映画・テレビでの活躍
このゴールドカップ、80年代にシルベスター・スタローン主演の映画『コブラ』において主人公のマリオン・コブレッティ刑事がジーパンのベルトに無造作にぶっこんでいた。このゴールドカップは口径を38スーパーにしたコンバージョンキッドを装着したものでグリップにはコブラの絵が彫り込まれていた。
38スーパーは45口径に比べ破壊力は落ちるが、その分反動が軽減され装弾数を多少多くすることができる。余談だが、他にもコブレッティ刑事はサブマシンガンヤティマティックも使用する。ヤティマティックとはフィンランド製のサブマシンガンで1983年〜1987年まで製造された。あまり売れなかったらしい。
日本のドラマでは『ベイシティコップ』(1987年テレビ朝日)で世良公則扮する星野秀夫刑事が使用していた。ベイシティコップのゴールドカップはシルバーのものにフィンガーチャンネル付きのグリップを装着している。世良はこの銃を「マギー」と命名したそうで、以降、ファンの間ではこのゴールドカップはマギーと呼ばれている。命名の由来は『俺がハマーだ!』の主人公が愛用するM629の愛称から取ったようだ。
他にも『刑事貴族3』(1992年日本テレビ)では寺脇康文扮する藤村亮刑事が愛用する。当初は通常のゴールドカップにパックマイヤーのラバーグリップを装着したものだったが、撮影中にスライドが破損してしまったようで途中から通常のガバメントのスライドを装着している。
ナショナルマッチ(トイガン)
トイガンでも昔から人気があり、多くのメーカーがモデルアップした。ガスガンではかつてヨネザワ、WA等、モデルガンではMGC、CAW、六研等である。現在でも生産しているのはガスガンではWA、モデルガンではCAWと六研である。
WAは前述の『コブラ』『ベイシティコップ』に登場したどちらのゴールドカップも再現して販売しているが生産が不定期のため常時ラインナップされてはいない。
CAW ナショナルマッチセミカスタム モデルガン
外観上は通常のM1911A1と変わらないが、刻印が異なる。実際、戦前のナショナルマッチは外観上M1911A1との違いはほとんどなかった。但し、内部の部品の精度は異なるというモデルガンで再現すると今ひとつ迫力の無い素材ではあるが、CAWはこれを再現。もちろんモデルガンでの違いは刻印のみなのだが、こういうモデルもコレクションに加えたいと思うのはファンの悲しい性なのだ。
CAW M1911A1 ナショナルマッチ モデルガン
モデルガンではイチオシのメーカー。CAWは旧MGCの流れを継いでいるメーカー。高品質で低価格。ナショナルマッチのモデルガンを買うのであれば実質一択だろう。カートリッジ、マガジンも供給されており、眺めてヨシ、遊んでヨシの昔ながらの伝統のモデルガン。
六研/エラン コルト ガバメント MK IV シリーズ'70 ゴールドカップ ナショナルマッチ
恐らく実銃の実勢価格よりも高いだろうと思われる六研/エランのナショナルマッチ。六研とは昔から真鍮製ガバメント等の超ハイエンドモデルを出すメーカーだった。現在も健在。相変わらず超高品質、超高価なモデルガンを製造し続けている。作動性能も良好らしいが、このモデルを発火出来る人はすごい。
まとめ
ハイエンドモデルとはいつの時代でもどのジャンルでも魅力的なもの。特に究極のマスターピースであるコルトM1911のハイエンドとなればファンにとっては憧れそのものだ。戦前のナショナルマッチは外観に違いはほとんどないが、ゴールドカップに至るとスマートなM1911に対して若干角ばったデザインがカスタムっぽさを醸し出す。精密に研磨されたスライドと高性能のいいとこ尽くめの究極のM1911。子供の頃、御徒町のニューMGCのショーウィンドウの中に飾ってあったゴールドカップが欲しくてたまらなかった。
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