01_M1851navy
(画像はwikipediaより転載)

 

コルト1851ネービー

 

 

性能

全長 330mm
重量 1,200g
口径 36口径
使用弾薬 -
装弾数 6発
総生産数 約272,000挺
設計・開発 サミュエル・コルト / コルト社

 

概要

 1848年に発売されたドラグーンモデルは非常に完成度の高いモデルであった。さっそくテキサス海軍もこれを採用したものの実際に運用してみると大きな問題があることが判明した。ドラグーンモデルは44口径で重量が1.9kg、威力が強く高性能ではあったが、屈強な海軍の軍人といえども常時携行するには大きな負担であった。要するに重すぎるのだ。

 現在の銃と比べてみると、同じ44口径のハンドガンであるS&WM29 44マグナムの6.5インチモデルの重量が約1.5kg、それよりも400g重いハンドガンであることを考えるとその重さが分かるというものだろう。さらに当時のハンドガンはパーカッションであり、非常に装填に時間がかかるため2挺携行することが多かった。海軍軍人が2挺携行していたのかは分からないが約4kgを腰に下げているのは相当な負担である。ただ、威力は同じ44口径でも黒色火薬を使用するパーカッションリボルバーと無煙火薬を使用するマグナムリボルバーでは比べ物にならない。当時の製鉄技術では大型化するより仕方が無かったのだ。

 技術がどうあれ、人間の体力というものは現代人とそれほど変わるものではない。やはり海軍に限らず1.9kgの銃を持ち歩くというのは容易でない。そこで軽量なハンドガンが求められた。そこに搭乗したのが1851ネービーリボルバーである。1851ネービーの重量は1.2kg。これは現代では十分に重量級のハンドガンに分類されるが170年前では十分に軽量なハンドガンであった。但し前述の技術的な問題もあり軽量化した分、口径は36口径と小型化されている。

 

 

現在では低威力

 全長330mm、重量1.2kgの1851ネービーの図体を見て、36口径というと小型化されたとはいえ相当な威力があると思われるかもしれないが、実際の威力は大したことはない。当時の36口径の威力はというと現在の380ACP相当である。あまり詳しくない読者のために説明しておくと、380ACPとは中型オートのカートリッジでワルサーPPや日本の警視庁でも採用されているSIG230が使用するカートリッジだ。これらの重は基本的に護身用でコンシールドウェポンと呼ばれる服の下等に隠し持つためのハンドガンである。

 1851ネービーの36口径とは、それらの銃に使用する程度の威力でしかないのだ。しかしそれでも1.2kgに重量が軽減されたのは大きかった。2挺携行した場合、重量が3.8kgから2.4kgとそれこそM29一挺分軽減されたのだ。当然、この銃は売れまくった。あの有名な「ピースメーカー」が発売されるまで製造され続け、総生産数は272,000挺とドラグーンモデルの11倍以上が製造された。やはりみんな威力は弱くても軽い方がいいのだ。

 1851ネービーの口径は36口径と書いたが、実は極少数34口径のモデル、さらには40口径という少し大きめの口径のモデルが僅か5挺のみ試作されているがどちらも試作に留まったようだ。試作された理由は不明だが、さらなる軽量化を目指した34口径モデル、高威力化を目指した40口径モデルといったところかもしれない。

 1870年頃になると金属製カートリッジが主流となっていき、1873年には、コルト社のリボルバーの傑作中の傑作である「ピースメーカー」が登場する。それでも1851ネービーは、38口径の金属製カートリッジ仕様に変更されたりしながら世界各国で長く使用され続けた。

 

 

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