
(画像はwikipediaより転載)
海兵隊とは。。。
米海兵隊とはアメリカ独立戦争中の1775年11月10日に創設された米軍の一組織である。当初は将校10名と兵員200名、全員が戦闘経験皆無の組織であったが、現在では総数18万人で米国の世界戦略の一翼を担うまでになっている。この海兵隊の中で航空機から戦車、兵站までを自己完結する組織がある。それが海兵遠征隊である。
海兵遠征隊とは。。。
海兵遠征部隊とは簡単に言うと歩兵、砲兵から司令部、補給部隊までを含めた一つのユニットである。さらに大規模になると海兵遠征旅団、さらに大きい海兵遠征軍が存在する。部隊規模は海兵遠征旅団が3,000〜20,000名、海兵遠征隊が約2200名でこれらの上部機関として海兵遠征軍が存在する。海兵遠征隊は単独で15日間の作戦行動が可能であり、早い段階で橋頭保(前線の拠点と理解すれば分かり易い)を確保することが可能となる。さらに海兵遠征旅団になると30日間の単独作戦行動が可能で、海兵遠征軍になると60日間の単独作戦行動が可能となる。
海兵遠征軍の存在意義
「今まで通りの軍隊じゃいけないの?」と思われるかもしれないが、もちろんいけないのだ。今までも緊急展開部隊として空挺師団が存在した。フランス外国人部隊の第二落下傘部隊は48時間以内に世界中どこでも空挺降下することが出来ると豪語する。展開する時間の速さから言えば空挺師団にMEUは及ばない。
しかし空挺師団は落下傘降下のために戦闘力が弱い。相手方に戦車等の強力な兵器があった場合はお手上げだ。機甲師団は強力だが展開速度が遅すぎる。この弱点を解消するためにあるのが陸軍のストライカー旅団と海兵隊の遠征部隊だ。空挺程ではないにしろ迅速に展開することができ、機甲師団程ではないにしろ重兵器も装備している。考えようによってはどっちつかずの部隊ともいえる。しかしこの部隊の登場によって米国は迅速に強力な橋頭保の確保ができるようになった。
さらにこの海兵遠征部隊の誕生には、米国の議会制度がかなり影響している。アメリカでは戦争を開始するには議会の承認が必要だ。しかし緊急の場合、大統領の判断で戦端を開くことができる。戦争を始めてしまってから議会の承認を得るというプロセスでも大丈夫なのだ。
議会の承認を得るまで大統領の独断が許される期間が60日間。そう、海兵遠征軍が単独行動できる期間そのままだ。つまりこの部隊の登場によって大統領は独断で最大で師団規模の戦闘力を紛争地帯や災害発生地域に展開することが可能となったのだ。
まとめ
海兵遠征隊で最も注目すべきなのは米議会との関係である。海兵隊は議会の承認を得なくても米国の大統領の権限で作戦行動が可能な日数を基準として「大・中・小」とユニットを構成、大統領に対して選択肢を提供している。海兵隊という存在意義が不明確な組織が現在においても陸海空軍と対等な存在として存続しているのはこのような柔軟性からであろう。
↓良かったらクリックして下さい。
ミリタリーランキング