ミニマム情報戦記

ブログタイトルは思い付きでちょいちょい変わります。 でもここら辺でタイトル固定かなぁ。。。 銃&ミリタリーがメイン。 最近は軍事書籍の書評が多いみたい・・・。よいと思ったら拍手してね!それだけが心の支え・・・。

書評

【書評】 陳舜臣・田中芳樹『談論 中国名将の条件』

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 私が高校生の時、夢中になって読んだ本が、陳舜臣『諸葛孔明』であった。さらに高校時代にアニメ化がスタートした田中芳樹『銀河英雄伝説』と私の人生にかなりの影響を与えた二人の対談ということで購入してしまった。


陳 舜臣
 陳 舜臣(ちん しゅんしん、1924年(大正13年)2月18日 - 2015年(平成27年)1月21日)は、推理小説、歴史小説作家、歴史著述家。代表作に『阿片戦争』『太平天国』『秘本三国志』『小説十八史略』など。『ルバイヤート』の翻訳でも知られる。神戸市出身。
(wikipediaより転載)
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田中 芳樹
田中 芳樹(たなか よしき、1952年10月22日 - )は日本の作家。本名は田中美樹(たなかよしき)。日本SF作家クラブに所属している。代表作は『銀河英雄伝説』『創竜伝』『アルスラーン戦記』の三長編。スペースオペラからファンタジー、現代を舞台とした小説、南北朝時代以降から南宋付近までの中国を舞台とした小説を発表している。
(wikipediaより一部転載)
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 両人とも中国の歴史には造詣が深く、特に田中氏は中国文学の博士課程在籍者という本当の専門家だ。この両氏が中国の名将100人を決めるというのだから当然、ほとんど私にも分からないような名将が登場する。


 まあ、私にわかるのは史記、三国志の中の有名な武将位だろう。意外だったのが、陽明学の開祖、王陽明は思想の世界だけでなく、軍略家としてもかなり優秀だったという。


 中国歴代の名将について詳しい人はかなり楽しめると思うが私は前述のように史記、三国志程度なので正直よくわからない人達ばかりという感じだ。逆に知っている武将がランクインされているとちょっと嬉しかったりする。



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【書評】 長峯五郎『二式大艇空戦記』




 私は第二次世界大戦の航空機の中で二式大艇が一番好きなので買ってしまった。二式大艇の概要は以下の通り。


概要
 二式飛行艇(にしきひこうてい)は、旧日本海軍が第二次世界大戦中に九七式飛行艇の後継機として実用化した4発大型飛行艇。初飛行は1941年(昭和16年)。


 略符号は「H8K」。レシプロエンジン装備の飛行艇としては当時世界最高の性能を誇る傑作機とされる。通称は二式大艇(にしきたいてい、にしきだいてい)。


 二式大型飛行艇とも言う。なお、輸送型は「晴空」と呼ばれていた。九七式飛行艇の後継機として、同じく川西航空機で生産された。 連合軍におけるコードネームは「Emily」。
(wikipediaより一部転載)
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 本書で私が一番驚いたのは長峯氏の性格である。以前、機種ごとの搭乗員の性格というのが確か坂井氏の著書か何かに書いてあったが、戦闘機と艦爆は勇猛、艦攻乗りは冷静沈着、そして水上機乗りはビックリする位温和な人が多いとかだったと思う。


 翻って行間から浮かび上がる長峯氏の性格は勇猛果敢でかなり戦闘向きの性格をしている。戦後は長峯水産という会社を横浜で起こしたらしいので相当な親分肌だったのだろう。


 長峯氏は乙種予科練12期というものなので実戦に参加したのは太平洋戦争中期以降である。日辻常雄氏のようにガダルカナルでの空戦を経験しているようなベテランではないが、操縦技術や統率に関する自信は並大抵ではない。


 すぐに実戦には参加せずに横須賀航空隊での勤務があったことが氏の練度向上に役立ったことは間違いない。当時としてはある意味幸運であったともいえる。





 長躯、トラック島に偵察機彩雲用の増槽を空輸して命からがら帰還したり、夜間着水に失敗して瀬戸内海を漂流したりとすごい経験をしている。


 しかしもっとも強烈なのは梓特別攻撃隊の嚮導機として特攻隊に編入されたことだろう。長峯氏は奇跡的にメレヨン島に不時着するが、司令官からの最大級の褒章が「サツマイモ5個」という飢餓の島だった。


 配給された米は量を増すために粥にしては絶対ならず(粥にして食べた人達は餓死した)、30回噛んで食べること等、貴重な経験が書かれている。


 長峯氏は貴重な熟練搭乗員ということで潜水艦により救出される。実は不時着が確認されて直後に潜水艦が救出に向かうが撃沈されてしまっているので二隻目の潜水艦だった。


 当時、熟練搭乗員というのがどれほど大切にされていたのかが分かる。日本海軍は戦争開始から搭乗員救出には米軍程熱心ではなかった。梅本弘『ガ島航空戦上』に詳しいが、日米航空戦で同数が撃墜されても搭乗員の死亡率は圧倒的に米軍が高い。


 戦争末期ほど搭乗員を大切にしていれば日本海軍航空隊ももっと戦えたと思うと残念。これは搭乗員に限らずにいえることだ。


 因みにメレヨン島に関しては戦後、海軍側責任者宮田嘉信は自決、メレヨン島最高司令官北村勝三は遺族への訪問を一年がかりで終えたのち1947年8月15日に自決している。


 それと本書には死んだ息子があいさつに来た等、常識では考えられないような不思議な話も載せられている。戦記物を読んでいるとたまにこういう話に出くわす。



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【書評】 野村實『日本海海戦の真実』




 著者は元海軍士官で防衛大学校教授という海軍の専門家であると同時に歴史学で博士号を持つ海軍史の専門家である。


 日本海海戦といえば秋山真之が考案した「丁字戦法」が有名であるが、著者は考案者は山屋他人であるとする。


 さらに東郷はバルチック艦隊が対馬海峡を通過すると確信しており、泰然自若として待ち構えていたと言われているが、実際はかなり揺れており、津軽海峡に向かう直前でバルチック艦隊を捕捉した。


 結果、日本海海戦には大勝利するが、この勝利によって東郷は神格化され、日本には大国意識が芽生え満州事変、太平洋戦争と突き進んでいく。


 満州事変では東郷平八郎が事変に反対する軍令部を抑えこんでしまったという東郷の負の部分も明らかにする。


 内容はかなり充実している。史料も信頼性の高いものを使用しているようなので信頼できる。日露戦争関係の本を読むと毎回感じるのは『坂の上の雲』の存在の大きさである。


 司馬氏が明言するように『坂の上の雲』はフィクションであるが、あまりにも時代考証や事実関係の正確度が高いために以後の日露戦争のイメージに相当な影響力を与えてしまったことを痛感する。


 『坂の上の雲』は左右問わず批判されているが批判されるというのはそれだけ名著だということだ。



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【書評】 斎藤貴男『安心のファシズム―支配されたがる人びと』




 アマゾンのレビューで賛否両論の本だ。最近、プロパガンダ系の本をよく読んでいる。アマゾンでおススメされたので購入してしまった次第だ。


 正直、あまり面白くない。私としては賛否両論の完全に「否」の方だ。極端に書けば内容はほとんど「引用」だ。論文、本の一部を抜粋し、それに対して著者が感想を書くというスタイルになっている。


 引用はもちろん著者の主張を代弁したものであるが、できれば自身の言葉で書いてほしかった。


 結局主張したいことは伝わるが、著者の言葉でなければ心に響かない。非常に残念。斎藤氏の著書はこの一冊しか読んだことがないので他の著書がどうなのかは知らない。


 主張していることは納得できるが、斎藤氏自身の言葉で書かれた本を読みたいものだ。



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【書評】 百田尚樹『永遠の0』




 海軍の搭乗員オタクの私としては読んでおきたい本の一つが本書『永遠の0』であった。最近、やっと読了したのでその書評を書いてみたい。


 主人公は司法試験浪人中のさえないにーちゃん。お姉ちゃんはフリーライター。フリーライターのおねーちゃんは主人公におじいちゃんの生涯を調べるのに付き合ってくれないかという依頼がくる。ここから主人公のおじいちゃんの生涯をたどる旅が始まるのだ。


 主人公のおじいちゃんは元零戦搭乗員。当時の生存者に話を訊くと「臆病者」であったという。そして最後は特攻隊員として戦死する。なーんだ、じいちゃんは臆病者で自分もその血が流れているからダメなやつなんだー。と主人公は考える。


 しかし当然、そんな話で終わる訳もない。じいちゃんは実はかなり腕のいい搭乗員だった。そして臆病者と言われたのにも訳があり、特攻したのにも訳がある。


 最後は今までの登場人物が意外な伏線として登場する。「臆病者」のじいちゃんがそうさせているのではないかと思いたくなるような不思議な偶然が起こるのだ。


 本書は、零戦の会会長の神立尚紀氏が関わっていると聞いている。零戦搭乗員関係では日本で一二を争うほど詳しい人だ。元零戦搭乗員からの信望も厚い。なので零戦搭乗員の描写もかなりリアル。私からすれば、実在している(していた)いろんな搭乗員達の経験をごちゃまぜにしたのがよくわかる。


 要するにリアルだということだ。作中に登場する搭乗員のエピソードはほぼ事実だ。太平洋戦争中に海軍の搭乗員の誰かがやったエピソードであることが多い。


 全体的に伏線が多い作品だ。ただ、元放送作家であるからなのか、伏線も小説としてみるとちょっと軽い感じがする。これが映画やテレビ作品だったら完璧だったと思う。小説ってのは結構考えながら読むので伏線があまりにも単純だとイマイチ世界に入りきれない。


 それと作品全体にマスコミに対する批判が多い。確かに当時のマスコミには批判されるべきことが多いのは事実。ただ、あまり勧善懲悪なのが気になる。



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書評 堀越二郎『零戦〜その誕生と栄光の記録〜』




 映画『風立ちぬ』で有名な零戦設計者堀越二郎の著書『零戦〜その誕生と栄光の記録〜』を読んだ。堀越二郎といえば零戦、九六式艦戦、雷電、烈風の設計者として有名であるが、実は著書を読んだことはなかった。ということで今回購入して読んでみたのだ。


堀越 二郎
堀越 二郎(ほりこし じろう、1903年6月22日 - 1982年1月11日)は、日本の航空技術者。位階は従四位。勲等は勲三等。学位は工学博士(東京大学・1965年)。零戦の設計者として有名。
(wikipediaより転載)


 本書はタイトル通り、零戦に関することのみの内容となっている。本書はまず零戦の「無理な」性能要求が海軍側から出たことから始まる。それに対して堀越氏が苦心の末、海軍の性能要求を上回る高性能機を開発したというのが大まかな内容だ。


 零戦は伝説的な名機であることは論を待たない。当時の日本の国力から考えればこれ以上の機体を作ることは不可能であっただろう。堀越氏の才能もかなりのものだったと思う。



概要
 零式艦上戦闘機(れいしきかんじょうせんとうき)は、第二次世界大戦期における日本海軍(以下、海軍と表記する)の主力艦上戦闘機。零戦(ぜろせん、れいせん)の略称で知られている(以下、零戦と表記する)。


 試作名称は十二試艦上戦闘機。連合軍側のコードネームは『ZEKE(ジーク)』。 日中戦争(支那事変)から太平洋戦争初期にかけて、2,200 kmに達する長大な航続距離・20mm機関砲2門の重武装・優れた格闘性能を生かして、米英の戦闘機に対し優勢に戦い、米英のパイロットからも「ゼロファイター」と呼ばれた。


 太平洋戦争中期以降には、アメリカ陸海軍の対零戦戦法の確立やF4UコルセアやF6Fヘルキャットなど新鋭戦闘機の大量投入で劣勢となったが、後継機の開発の遅れによって、終戦まで日本海軍航空隊の主力戦闘機として運用された。また、用途も拡大して、戦闘爆撃機や特攻機としても使われた。


 開発元は三菱重工業(以下「三菱」という)。三菱に加え中島飛行機でもライセンス生産され、総生産数の半数以上は中島製である。生産数は日本の戦闘機では最多の約10,000機。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 私が面白かったのは零戦でよく指摘される、軽量化に重点が置かれ過ぎ生産性が悪かったというものがあるが、本書を読むと堀越氏はそれを承知の上で設計したようだ。何故なら当時の日本というのは資源がなく、技術力も欧米に比べて劣っていた。


 その中で人的資源だけはあるという状況だったのだ。なので人手はかかったとしても資源を節約することにしたのだ。結果、生産性は犠牲になった。さらに防弾性に関しては当時は戦闘機の防弾というのは概念自体が存在していなかった。当然、零戦にも装備されなかったということだ。


 因みに『零戦神話の虚像と真実 零戦は本当に無敵だったのか』の共著者で元航空自衛隊のパイロットでもある渡辺氏も指摘するように戦闘機の防弾版というのはパイロットにとってあまり必要ではないようだ。


 本書は当然戦後に書かれたものなので当時本当にそう考えていたのかは何とも言えないが、零戦で指摘されている欠点は堀越氏も承知の上だったという。


 他の航空機に関してもそうなのだが、海軍の性能要求というのは無茶なものが多かったというのは航空機ファンの間では結構知られている。零戦も速度、格闘戦性能共にトップクラスという無茶な要求であった。


 本書の構成をざっくり書くと、まず海軍が無茶な性能要求をしたというところから始まり、結局達成したという大きな物語となっている。無茶な性能要求を達成したという堀越氏の自負心が伝わってくる。


 無茶な要求によって結局成功してしまったことにより、海軍は無茶な要求をし続けることになってしまうのだが、これは堀越氏の責任ではない。何とも複雑な気分だ。月光とかは要求てんこ盛り過ぎて結局、何だか分からない戦闘機になってしまったしね。因みに月光については堀越氏も海軍の性能要求に関して批判的であった。


 堀越氏も本書で言及しているが、アメリカという巨大な工業力を持っている国でさえ、戦時には航空機の生産を少数機種に絞って生産していた。これに対し、日本の航空機の生産は多機種を少数作るという、かなり非効率なことをしていた。


 少ない国力な上にソフト面での失策が重なったという日本人としては結構悲しい話だ。でもこれって、現在も同じじゃね?と思ってしまった。戦車に関しても74式、90式、10式という三種類の戦車が存在する自衛隊に対して70年代に設計されたM1戦車をバージョンアップして使い続けている米軍。


 なんかあまり変わってねーなーというのが結論。文章がまとまってなくて


申し訳ない!


・・・でも書き直さない!(;´・ω・)



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【一応書評】 貧乏くさっ! ケチな男性が「必ず持っているもの」・6つ

まあ、最近はすっかりブログの更新が滞ってしまっている訳ですが、理由はアホみたいに忙しいから。ミリタリー関係の書籍も割と読んでいるんだけど、空いた時間を読書の時間に費やしているのでブログの更新ができないのですよー。


 言い訳はこの辺でいいっすかねw。ということで今回はミリタリー縛りの本ブログとは全く関係ないネット記事について検討してみたい。ケチな男が必ず持っているもの。


クーポンの無料冊子
・「飲食店のクーポンの付いた無料冊子やフリーペーパーなど」(30歳/その他/販売職・サービス系)

・「クーポンの無料冊子。アプリだと通信費を取られるという理由で使ってないらしい」(34歳/その他/事務系専門職)
マイナビウーマン

 
 私のように本当のケチだと持ち運ぶコストというのも考えてしまう。鞄の中でスペースを取ってしまう。まあ、アプリを使えということになるが、通信費を取られるということだそうな。この人は余計な通信費を使いすぎてクーポンの通信費に充てられないというのが問題かな。その費用が一番のソン!


ポイントカード

・「ポイントカード。食事や買い物はポイントの貯まる系列店で買いそう」(33歳/食品・飲料/技術職)

・「ポイントカード。頻繁に利用しなさそうな店のカードまであると、引いてしまう」(27歳/その他/事務系専門職)
マイナビウーマン


 ポイントカードは私も使う。だって結構安くなるモン!「系列店で買いそう」当たり前じゃ。そっちの方が得だし。ただ、私の場合はポイントカードを結構絞っている。使わないカードはスペースの無駄だ。


レシート

・「レシート。お金の管理のためにたくさん持ってる」(27歳/学校・教育関連/専門職)

・「レシート。おごった金額とかを何かに記録してそう」(26歳/学校・教育関連/専門職)

マイナビウーマン


 家計簿を付けているのでレシートは当然持っている。たくさん持っていていつまでも財布に入っているのは問題だけど、金銭管理がしっかりしているのはいいことだと思うが。。。女の子は金銭管理が杜撰な男が好きなのかな。金銭管理がいい加減な男と結婚したら苦労するよ。


メモ帳や手帳、家計簿

・「使った金額を都度書けるようなメモ帳や手帳」(31歳/その他/その他)

・「家計簿。いくら自腹切ったか几帳面にメモしてそう」(24歳/電機/事務系専門職)

マイナビウーマン

 
 今は持っていないが以前は持っていた。家計簿を付けているので正確を期すために使用していたね。この記事の執筆者は「自腹」とか「おごり」とかをかなり意識して書いているようだ。人間自分がそうだと人もそうだと思う。この回答者はおごったりしたことをいつまでも恩に着せるタイプなのだろう。


マイボトルやエコバッグ

・「マイボトル。缶コーヒーをケチってコーヒー持参」(33歳/医療・福祉/専門職)

・「マイ水筒や弁当を持参し、エコバッグを持っている」(33歳/商社・卸/秘書・アシスタント職)

マイナビウーマン


 すでに何が悪いのか分からない。エコだし無駄なゴミも出ないし、マイボトルを持っていれば缶コーヒーよりも美味しいコーヒーが安く飲める。いいことじゃないか。


小銭や小銭入れ

・「大量の小銭。1円単位で割り勘にするから自然と増えるらしい」(24歳/その他/その他)

・「小銭入れを持っていて、細かいお金まで管理している印象があります」(23歳/金属・鉄鋼・化学/事務系専門職)

マイナビウーマン


 最初の回答者は小銭入れを持っている人全員にいえることではないので論外。知り合いの特定の人を指しているのだろう。細かいお金まで管理しているのはきちんとしていていいと思いますよ。ただ、私は小銭入れは持っていない。余計な物はいらないので。普通の財布を買えば小銭入れはついている。


 ということで今日はミリタリーとは全然関係ないことについて書いてみたが、結局、女の子はこうやって男を選び結婚して失敗するのだろう。女の子はこういう男と付き合うと自分にも強制されると思うのかな。細かい金銭管理をするのとそれを人に強制するのは別問題。


 私は細かい金銭管理をしているし、かなり節約しているけど、女の子に「結婚してくれ」と言われたことが二回あるよ。あまり雑でおおざっぱな人とは付き合わない方がいいと思うけどねぇー。因みに私の金銭管理は趣味なので人には強制しない。そもそも人に自分の考え方を強制するのは好きじゃない。





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書評 池田徳眞『プロパガンダ戦史』




 内容的には結構玄人好みかなぁと思う。つまり私としてはあまり楽しめなかったということなのだが。。。これは全く好みによると思う。本書を知ったきっかけは佐藤優氏が推薦していたからだ。


 現在、私自身、戦争プロパガンダや大衆扇動のようなものに興味を持っているということから本書を読んでみたのだ。


プロパガンダ
 プロパガンダ(羅・英: propaganda)は、特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った、宣伝行為である。通常情報戦、心理戦もしくは宣伝戦、世論戦と和訳され、しばしば大きな政治的意味を持つ。
(wikipediaより一部転載)
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 本書の著者池田氏は外務省で対外宣伝放送「日の丸アワー」をやっていた人ということだ。私はてっきり、この「日の丸アワー」やら「東京ローズ」等のことが詳しく書かれるのだと思っていたら、各国のプロパガンダの比較というかなりの玄人な内容でちょっと期待外れだった。


池田 徳真(池田 徳眞、いけだ のりざね)
1904年(明治37年)6月16日 - 1993年(平成5年)12月6日)は、旧鳥取藩主池田氏第15代当主。
(wikipediaより転載)


 まあ、私の期待していたものと違ったということだけなので本書の内容が別にダメな訳ではない。本書は、基本的に第一次世界大戦の各国、特にイギリス、ドイツ、フランス、アメリカの四か国を中心に戦中のプロパガンダを分析している。


 イギリスは謀略型、ドイツは理論型、フランスは平時型、アメリカは報道型と国によって特色がある。結局、著者はイギリス型のプロパガンダが最高だと考えたようだ。そこで日本の戦時プロパガンダもイギリス型でいったようだ。


 私は基本的にミリタリー好きなので、もっと戦中の生々しい策略めいたものを期待してしまったのだが、本書は専門家が使用する教科書のようなものであり、宣伝戦を行おうとする人にとっては究極の一冊かもしれない。


 外務省やら防衛省やら以外でも電通や広告代理店に勤務する人にとっては必携の本だろう。特に巻末にある著者の『対敵宣伝放送の原理』はかなり貴重なものだと思う。あとがきの佐藤氏の文章は引用が多すぎる。



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辻田真佐憲『楽しいプロパガンダ』




総評

 本書は値段の割にはかなり充実した内容だと思う。近著『大本営発表』でもそうだったが、辻田氏の本は中身が濃いし、現在への問題提起も的確だ。良書だと思う。


書評

 今日、紹介したいのは辻田真佐憲『たのしいプロパガンダ』である。プロパガンダとは、

政治的な意図に基づき、相手の思考や行動に(しばしば相手の意向を尊重せずして)影響を与えようとする組織的な宣伝活動」
(辻田真佐憲『たのしいプロパガンダ』より転載)

 ということだ。プロパガンダを行う理由はもちろん、自分達の目的達成のためである。戦争であればもちろん敵の戦意を喪失させ、味方の戦意を高めることだ。


 私は辻田真佐憲氏の『大本営発表』を読んでいたこともあり、本書の内容を勝手に太平洋戦争中の日本のプロパガンダのことを書いていると勘違いして購入してしまったのだが、本書も中々面白い内容であった。


 辻田氏はまさにタイトルの通り、プロパガンダというのは楽しくなければならないのだという。世間一般にプロパガンダというと、

我々は正義なのであーーる!

 というような堅苦しいものと考え勝ちであるが、堅苦しいものは人の心に入り込めない。実際、人々に影響を与えるプロパガンダというのは娯楽映画だったりお笑いだったりと楽しいのだという。


 内容は、大日本帝国のプロパガンダ、ソビエト、ドイツ、イギリス等のプロパガンダ、さらに北朝鮮のプロパガンダ、日本の宗教組織の巧妙なプロパガンダなどから最後は現代日本のプロパガンダまで論ずる。


 本書で特に面白かったのは、戦前の日本のスローガンについてだ。プロパガンダにスローガンというのは当たり前のことと思われるかもしれないが、実はこのスローガン、重要なのはスローガン自体ではないのだ。


 巧妙なのはこのスローガンというのは懸賞であったという。賞金は当時のホワイトカラーの年収の一年分に相当するものであった。当然、相当数の人が国や自治体の与えたテーマについて頭を捻りスローガンを考える。


 実はプロパガンダというのはこの「テーマについて考えさせる」ことなのだ。みんな懸賞金欲しさに四六時中テーマについて考える、調べる。これがプロパガンダなのだ。


 さらには北朝鮮のプロパガンダも巧妙である。先代の金正日は相当な映画好きで有名だったが、これはただの趣味ではない。金正日は一貫してプロパガンダ部門を歩き続けた”その道”の専門家なのだ。


 映画とはプロパガンダの最も有効な方法の一つである。金正日はその映画を使いプロパガンダを行っていた。結果、その実績が認められ「偉大なる将軍様」になったのだという。意外にも金正日は親の七光りではなく実力で最高権力者の座を勝ち取ったのだという。


 さらにソビエトが映画や前衛芸術に力を入れたのもプロパガンダが目的であったことや、日本の宗教団体オウム真理教やアーレフ等も巧妙なプロパガンダを行っているという。


 因みに辻田氏は新進気鋭の歴史学者で、現在の問題について言及するのを躊躇する学者が多い中で明確に自己の主張を述べる貴重な人だ。視点は現代の問題意識から歴史を観るという点を貫徹している。歯切れはいい。



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コメントありがとう。「クリス・カイルの愛銃」その2




 コメントありがとう。といってもこのブログのコメントは私しか読めないので記事としてアップさせてもらいました。たぶん、私のブログを読んでくれる人にとっては興味深い内容だと思うので。。。


9mmはボディーアーマーを貫通できるがスットッピングパワーが弱い。解決策として40口径を採用しようとしたが銃のコントロールが難しく不評で9mmに戻ってしまったらしい
名無しさん


 なるほど。。。これは初耳です。確かに40口径は45口径に比べれば反動が少なく撃ちやすいと言われていますが、9mmと比べるとやはりコントロールが難しいのでしょう。


 ベレッタM9は実際、かなり撃ちやすい銃だという話は聞いたことがあります。軍隊において拳銃はほぼ使用することがないと想定されます。『アメリカンスナイパー』を読む限り、クリス・カイルも拳銃は使用していないようですね。そうなるとやはり9mmとなってしまうのかもしれません。


trpオペレーターのカイル記念モデルを見るとアンダーレールの長さはWAのモデルの1/2ほどで、むしろLBオペレーターのそれに近い。昨夜書き忘れたので・・。
名無しさん


 アンダーレールに関してはあまり長すぎると銃の重量が重くなりすぎるために短いものを選んだのかもしれません。何せM1911は弾薬をフルに装填すると重量が1.3kgにもなるようですから。


 因みにクリスはレッグホルスターを嫌っていたようですね。私自身も装着して感じたのですが、走ると銃が揺れること揺れること。。。同様の理由でクリスはヒップホルスターを使用していたようです。


 ただ、アンダーレールにフラッシュライトを装着した銃を収納できるヒップホルスターはあまりないので、私はクリスはフラッシュライトは装着していなかったのかと推測しています。まあ、そういうヒップホルスターもあるかもしれないので何とも言えませんが。。。


 それにしても『アメリカン・スナイパー』は、500ページの大著である上に私があまり読まない本のジャンルだったもので読むのが大変でした。読了するまでに10時間はかかったと思います。


 感想は書評の記事に書きましたが、日本人とアメリカ人の価値観の違いみたいなものを感じてしまいます。ただ、『アメリカン・スナイパー』は、ところどころに「妻から見たクリス」の記事が入るなど、本の構成がかなりうまいため、私はゴーストライターの執筆ではないかと感じています。


 これは全くの推測ですが、ゴーストライターだとすると売るためにかなりアメリカ人好みの内容に変更している可能性があります。さらにそれを邦訳しているのですからクリスの本心というのは行間からでもなかなか読み取れないかもしれません。


 余計なことをサラサラ書いてしまいましたが、コメントありがとうございました。コメントを受け付けない設定にしておいてなんですが、やはりコメントが来ると嬉しいものです。また気が向いたら立ち寄ってみてください。



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書評 クリス・カイル『アメリカンスナイパー』



 有名(らしい)な、映画化もされた(らしい)『アメリカン・スナイパー』の原作(のようだ)を読んでみた。「らしい」やら「ようだ」という言葉を入れたのは私は映画も知らないし、クリスカイルが誰かも知らないのだ。


 それなのに何で読んだのかというと、WAのサイトにクリスカイルの専用銃のガスガンがあったからだ。SEALの凄腕スナイパーだったということだ。


概要
 クリストファー・スコット・カイル(Christopher Scott Kyle、1974年4月8日 - 2013年2月2日)は、アメリカ合衆国の元軍人。狙撃手。テキサス州出身。
「ラマーディーの戦い」における目覚しい戦果によりイラク武装勢力から「ラマーディーの悪魔(シャイターン・アル・ラマーディー)」という異名で恐れられた。アメリカ側では「伝説の狙撃手」と呼ばれている。2014年に公開された映画『アメリカン・スナイパー』(原作は著書『ネイビー・シールズ最強の狙撃手(英語版)』)のモデルである。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 SEALと言えば世界最強の特殊部隊と言われるほどの部隊。その中でも最高と言えばやはり気になるのが人情というもの。ということで原作を購入し読んでみた訳だ。


 内容は想像通りのもので、子供の頃(ガンマニアだったようだ)から軍隊に入隊、その後イラク戦争をはじめとする戦闘経験について書いている。


 私が一番興味を持ったのは、SEALとは隠密部隊であり、隊員は忍者のように物静かで静かに各地に潜伏するというようなイメージを持っていた。


 しかし本書中に登場するSEALは喧嘩好きであり、派手、戦闘に際してもヘルメットの代わりに野球帽をかぶり、テキサスの旗を車にとりつけ疾走するというど派手な男たちであった。


 以前、私の知人でSEALの訓練をみた人からSEAL隊員は寡黙で達観しているというような話を聞いていた。同時に最近読んだ伊藤佑靖『国のために死ねるか』に「SEALは大して強くない気の良いあんちゃん達」という両極端な情報があったが、どうも伊藤氏の説が正しいようだ。


 クリスカイル氏は公式記録160人と米軍史上最も多く人を撃ち殺した男であったが、除隊後、精神に変調をきたした男に射殺されてしまう。


 最初に射殺したのはイラク戦争でイラク人(たぶん)の女性であった。クリス氏はアメリカに敵対する勢力に対しては「悪党」と呼びもっと殺したいというような発言が作中に頻出する。


 しかし私が面白かったのは一番最初の殺人を行った時、狙撃をした相手を「悪党ではなく「人」または女と呼び、「悪魔に心を侵され、まともな判断力を失っていた」や「(私が殺したことによって)アメリカ人の命を救った」とかなり言い訳をしていることである。


 「心にやましいところはない」と書いているが、わざわざ書くというのはやましい気持ちがあるということだ。アメリカ人の生命を守るためという正当化を行い、相手を「野蛮人」として人として認識しないようにする。


 これはデーブ・グロスマン『戦争における「人殺し」の心理学』の殺人を正当化する心理がそのまま出ていている。因みにクリスカイル氏もPTSDにかかっていたフシがある。


 それはともかく、本書にはクリスカイル氏が使用した銃、装備が詳細に載っているのはミリタリーファンにとってはありがたい。使用する銃は状況により使い分けていたようだ。


 近距離の場合はM4のショーとバレル。中距離の場合はSR-25。遠距離の場合は300ウインマグとしか出てこないがどうもレミントンM700の改良型のようだ。


 全体的に本書は一読の価値ありという感じだろうか。日本人としてはアメリカ人のあっけらかんとした戦争観や人殺しに対する価値観には馴染めないかもしれないが、伝説のスナイパーの自著というのはかなりの価値があると思う。



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情報分析系の本

300px-DA-ST-85-12848 私はかなり情報分析系の本が好きなのだ。もちろんミリタリーファンの私は軍事情報の解析をしていた人の本はかなり好きだ。(画像は情報収集に駆け出す兵士達 wikipediaより転載)


 やはり一番面白かったのは、堀栄三『大本営参謀の情報戦記』だろう。堀氏の分析手法にはまず大きな哲学がある。哲学というか情報を見る視点という風に言った方がいいかもしれない。





 基本的には高度、鉄量という基本的な視点に加え、合理性、法則性というものを重視する。韓国に防衛駐在官として赴任していた福山隆氏の著書『防衛駐在官という任務』も良かった。


 福山氏は戦後の軍人らしく主に地政学を分析の基礎としている。集めた情報を元にひたすら仮説を立て、それを消去法で消していくという方法をとっていたと思う。





 福山氏が地政学を学んだ本というのが、倉前盛通『悪の論理―ゲオポリティク(地政学)とは何か』、同『新・悪の論理―日本のゲオポリティクはこれだ』だったという。早速購入して読んでみたが、正直ピンとこなかった。


 倉前氏は基本的に結果論だ。歴史を見て解説をするという感じだ。そこはやはり学者という感じだ。『新・悪の論理―日本のゲオポリティクはこれだ』では将来の国際情勢の分析が行われているが基本的に当たってない。


 氏独自の地政学である植物の植生という視点で国家を分類するという手法は基本的に無理だ。海や山等の地形と違って植物の植生というのはそれほど軍事的な制約とはならない。


 ただし、1980年年前後にソビエトの崩壊を予言していたというのは驚きだ。さらに19世紀後半の太平洋での日米の「陣取りゲーム」の考え方は面白かった。





 情報分析といえば佐藤優氏が有名だ。最近読んだ本で面白かったのは、佐藤優・鈴木琢磨『情報力―情報戦を勝ち抜く“知の技法”』だ。鈴木氏は毎日新聞編集委員(当時)で北朝鮮分析の専門家だという。


 その分析力は各国のインテリジェンス専門家も舌を巻くという。佐藤氏は元々大学院で神学を専攻しており、哲学系の知識は豊富だ。情報分析は哲学的な視点を重視する。


 私が面白かったのは「おわりに」において鈴木氏が「インターネット情報は信用しない」という旨を書いているが、これはもちろんインターネット情報の信ぴょう性に関する言及である。


 だが、それだけではなく、堀栄三堀栄三『大本営参謀の情報戦記』に情報化時代で氾濫している情報は「相手が教えたい情報」であると冒頭に書いているが、鈴木氏の認識は堀氏と同様の視点もあるのだろう。





 今日は情報分析の本についてダラダラと書いてしまった。さらにプロパガンダ系の本も最近は数冊読んでいるが結構面白い。辻田真佐憲氏の『大本営発表』は非常に質の高い本であったし、『たのしいプロパガンダ』も良かった。まあ、プロパガンダ系の本についてはいずれ改めて報告したい。



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太平洋戦争を知るための良書二冊




 太平洋戦争とはどんな戦争だったのか。戦争にはいろいろな側面があり、本当に全体を知るというのは結構難しい。今回はこの中でも作戦、戦略という側面から太平洋戦争を見た良書を二冊紹介したいと思う。


 それぞれこのブログでも紹介したが、あまりにも良いために再読してみた。その二冊とは大井篤『海上護衛戦』と堀栄三『大本営参謀の情報戦記』だ。共通点はどちらも著者の実体験を描いていること。そして最も重要なのは補給と情報参謀という軍隊の支援業務だということだ。まずは著者についてみてみよう。



堀栄三
 堀 栄三(ほり えいぞう、1913年(大正2年)10月16日 - 1995年(平成7年)6月5日)は、日本の陸軍軍人、陸上自衛官。階級は陸軍中佐、陸将補。
正確な情報の収集とその分析という過程を軽視する大本営にあって、情報分析によって米軍の侵攻パターンを的確に予測したため、「マッカーサー参謀」とあだ名された。戦中の山下奉文陸軍大将、そして戦後海外の戦史研究家にもその能力を高く評価されている。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


大井篤
大井 篤(おおい あつし、1902年(明治35年)12月11日 - 1994年(平成6年)12月27日)は、日本の海軍軍人。海軍兵学校51期。最終階級は海軍大佐。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 戦争では実際の戦闘と同等に補給と情報というのが重要である。しかし現在の自衛隊でもその傾向は多分にあるが、これらの職種は軽視されることが多い。情報がなければ軍隊は動けない。動いても負けてしまう。それは頭の無い筋肉ムキムキの男のようなものだ。


 補給の重要性は今更書くまでもないだろう。補給がなければ兵士は戦うこともできない。兵器は弾薬がなければ使うことが出来ない。地味だが最重要だ。マーチンクレフェルト『補給戦』にもあるように古来戦争というのは補給との兼ね合いで戦術や戦場が設定されてきた。太平洋戦争でマリアナ沖海戦があの地点になったのは日本海軍の油槽艦の性能が理由であったというのはその好例だろう(書籍引用)


 この軽視されがちだが重要な任務についていた二名の著者が記したのが上記の二冊の本だ。そして内容を読めばわかるがこの二名はとにかく優秀な人達だ。共通しているのは論理的、合理的、そして全体から部分を見ることができる。


 例えば大井氏は最重要なのは民族生存→海上護衛→制海権確保→艦隊決戦だという。世間一般とは真逆な発想であることに驚かされる。当時の一般的な考え方からすると艦隊決戦で制海権を確保することによりシーレーンが守られ、結果民族生存が可能になるというものだろう。


 このように書くとこのブログを読んでいる方の中には、「この議論は卵が先か鶏が先かというだけの問題じゃないか」と思う人がいるかもしれないがそれは違う。


 要するに最重要なものは艦隊決戦なのか民族生存なのかということだ。艦隊決戦が最重要とするとそれ以外のものはオマケになってしまう。あくまでも重要なのは民族生存であり、そのために必要であれば艦隊決戦を行うのだ。


 この法則に気が付いた大井氏はこの一点だけでも非凡と言える。これに対して堀氏は戦争というのは高所の取り合いという法則から戦争全般を見ている。堀氏の視点の中で最も重要なのはこの哲学だ。堀氏はかつての高所は山であったという。そして飛行機の登場により高度の競争になった。堀氏によればもし次に世界大戦が起こるならば人工衛星の落とし合いになるだろうという。


 実際、スターウォーズ計画や最近の宇宙のゴミを排除するための衛星というのは衛星攻撃用のものとみて間違いないだろう。堀氏、大井氏の法則は法則であるが故に一局面の分析に留まらず地球全体から未来の分析まで転用可能だ。


 私は結構読書好きで特に軍事関係はかなりの数の本を読んでいるが、この二冊は太平洋戦争を知るためには特に優れている。他にも戦争全般の分析に関して優れている本もあるが、それはまたいつか紹介してみたい。


 とにかくこの二冊の本は軍事に興味がある人以外にも情報分析に興味がある人や戦略的な構造に興味がある人にとっては必読の本であることは間違いない。



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堀江貴文『ゼロ〜何もない自分に小さなイチを足していく〜』




 あまりミリタリーとは関係ないが気になったので買ってしまった。堀江貴文、通称ホリエモンとは10年前、ライブドア事件で世間を騒がせた私達の世代にとっては伝説の男だ。


 1996年に起業し、2000年に最年少で上場、その数年後には近鉄バファローズ、さらにフジテレビの買収騒動で一躍時代の寵児となる。その後、世の中の空気を読まなかった罪で有罪。なんやかんやで現在に至る。


 そのホリエモンの自信作がこの『ゼロ』のようだ。内容はホリエモンの子供時代の結構詳しい話から現在(2013年)に至るまでの基本的にホリエモンの内面を書いたものだ。


 数年前に出版した時、ニコ動等でかなり宣伝していたのを覚えている。内容はかなり面白い。実は35歳くらいまで女の子とまともに話が出来なかったというカミングアウトまである。


 本書は数十万部は売れたはずだ。現在アマゾンでもそれほど値崩れはしていないので結構人気がある本だと思う。因みに本書はミリオンプロジェクトと銘打って、100万部売ることを目指していたそうだ。秋本康に意見を聞いたりしていたみたい。


 残念ながら100万部を達成したという話は聞かないが、本書はかなり赤裸々に自分のことを語っていて面白い。ホリエモンのものの考え方がよくわかる。


 本書の中で私が一番面白かったのは、自分は論理的に考えるが、それは自分が天才ではないのが分かっているからだという部分だ。


 これは目から鱗の発想であった。そう、天才は感覚なのだ。感覚は論理的なものではない。これは芸術家だけでなく、論理性が必要な学術の世界でも同じだ。


 「学術の世界は論理性が第一でしょ?」と思われるかもしれないが、それは違う。まず必要なのは発想なのだ。その発想を文系ならば論理的に補強していく。理系であるならば計算や実験によって証明する。


 発想無しで新しい研究というのは出てこない。人間はあくまでも主観的にしか世界をみられないからだ。


 ただ一つだけ残念なのは、恐らく本書はゴーストライターによって書かれたものだと思う。何故そう思うかと言われると結構困るが、全体的に癖のない平凡な文章であることや、


ただ目の前の快感に流されていく日々。昨日と同じ今日が続き、今日と同じ明日を迎える。
堀江貴文『ゼロ』

友達と一緒にゲラゲラ笑っているときも、上空には醒めた目で自分を眺める「もうひとりの自分」がいた。
堀江貴文『ゼロ』


 等、ネットで観るホリエモンの性格からしてまず出てこないだろう表現が頻出することなどから私はゴーストライターが執筆していると思っている。


 ゴーストライターとはネガティブに捉えがちであるが、私は特に悪い印象は持っていない。文章を書くのが苦手な人や老齢で文章が書けない人などの代わりに文章を書く専門家であるので立派な仕事だと思う。




商品の説明
誰もが最初は「ゼロ」からスタートする。
失敗しても、またゼロに戻るだけだ。
決してマイナスにはならない。
だから、一歩を踏み出すことを恐れず、前へ進もう。

堀江貴文はなぜ、逮捕され、すべてを失っても、希望を捨てないのか?
ふたたび「ゼロ」となって、なにかを演じる必要もなくなった堀江氏がはじめて素直に、ありのままの心で語る、「働くこと」の意味と、そこから生まれる「希望」について。

【本書の主な目次】
第0章 それでも僕は働きたい
第1章 働きなさい、と母は言った──仕事との出会い
第2章 仕事を選び、自分を選ぶ──迷い、そして選択
第3章 カネのために働くのか?──「もらう」から「稼ぐ」へ
第4章 自立の先にあるつながり──孤独と向き合う強さ
第5章 僕が働くほんとうの理由──未来には希望しかない
(amazonより転載)



 しかし、唯一の欠点は、本人が直接執筆したものに比べると行間に現れる「感情」のようなものが出なくなってしまう。文章の生々しさというか、リアリティ、臨場感。。。何と表現したらいいかわからないが、厚みが無くなってしまう。


 最高の具材を使用し、最後に人口調味料で味付けをするようなものだ。本書は内容的にはかなり面白いしためになる。仕事に対する姿勢についても言及しているので、どんな仕事の人でも参考になると思う。


 もしも本書が堀江氏自身の筆で書いていたら間違いなく100万部は突破したし、息の長い名著になっていたと思う。まあ、私は今までの読書経験から本書がゴーストライターの執筆だと決めつけてしまったが、もし本人の執筆であったら・・・・


ごめんなさい!m(__)m



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書評 清水多吉『武士道の誤解』




総評
 タイトルは武士道としているが、基本的に「日本思想史特に近代」という感じだ。武士道に関しては『葉隠』と新渡戸稲造『武士道』(特に『武士道』)の二冊の書物が中心になっている。それ以外の戦国時代の武士道等の部分は結構おざなりと感じてしまう。『葉隠』と『武士道』もその時代に社会がそれらの書物をどう扱ったかというような歴史的な観点よりも哲学的な観点と他の思想家がこの二冊をどう評価したかというのが中心である。そういう方面に興味がある方には良い入門書となるかもしれないが、私にとってはちょっと期待外れであった。ただ、これは内容の善し悪しというよりも私個人の好みである。


武士道
 武士道(ぶしどう)は、日本の近世以降の封建社会における武士階級の倫理・道徳規範及び価値基準の根本をなす、体系化された思想一般をさし、広義には日本独自の常識的な考え方をさす。これといった厳密な定義は存在せず、時代は同じでも人により解釈は大きく異なる。また武士におけるルールブック的位置ではない思想である。一口に武士道と言っても千差万別であり、全く異なる部分が見られる。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


書評(今回はあまり書評になっていない)
 その昔、子供の頃、私は侍に憧れていたちょっと変わった少年だった。もちろん武士道なんて全く知らない。単純に子供の頃、よく観ていたドラマが『暴れん坊将軍』や『大江戸捜査網』『遠山の金さん』等の時代劇の主人公が侍だったから。


 武士はもちろん武士道で生きている(と思っていた)。大人になるに従って、幕府が崩壊した現在、侍になるというのは不可能であることを知り、さらには武士道という規範を知った。当時の私は武士道とはストイックで己に強く忠義を尽くすという世間一般が考える武士道をそのまま信じていた。


 しかし大学生も最後の方になるとちょっとした疑問が湧いてきた。というのは、主君に絶対の忠誠を捧げ、時には命すらも捨てる誇り高い侍。そう滅私奉公。しかしちょっと待てよ。


戦国時代って下剋上の時代じゃなかったっけ?


 いやいや、武士道的には下剋上とかありえないでしょー。裏切りとかだまし討ちとか、「飛び道具は卑怯ナリー」とか誰も言ってねーじゃん。裏切り、だまし討ちなんて頻発しているし。でも江戸時代は武士道の時代な訳じゃん。これってどういうこと?ということで私は疑問を持ち始めた。


 その後、自分なりに調べたんだけど、それはまあいい。今日紹介する本はその武士道に関して書かれた本だ。ちょっと気になったので買ってしまった。内容は武士道についてその発生から近代にいたるまでを書いているが、著者は哲学者で基本的に近代ドイツ思想が中心のようだ。著書に近代日本の思想家もいるのでドイツ思想専門という訳ではないが近代思想史が専門なのだろう。


 なぜ、このようなことを書いたのかというと、内容が思想史なのだ。私は史学を専門的にやってきたこともあり、史学的に史料を元に時代や社会階層、例えば庶民からみた武士道、貴族から見た武士道、外国から見た武士道等、多角的に実証してくれることを期待していた。


 しかし読んでいくと思想の話が多く、特に近代になると武士道の元になった思想の流れというような感じで武士道からは離れてしまっている。有名な新渡戸の武士道も思想的な視点からの考察が多く、私が期待したような史料を駆使したものではなかった。



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書評 辻田真佐憲『大本営発表』




総評
 本書は内容的には非常に読み応えがあり素晴らしいものだった。私は精読派なので読了には時間がかかったが一気に読み終えてしまった。調査には相当の労力が必要だっただろう。巻末の参考文献の量や内容の多彩さからも著者の苦労が分かる。


 本書は虚飾に満ちた大本営発表が起こった土壌に軍部とマスコミの癒着、陸軍と海軍の対立を始めとする各組織間の不和があるという。その中で現場の過大な戦果報告を無批判に発表し、損害の隠ぺいが始まる。本書が特に素晴らしいのは最終章である。


 著者はこの大本営発表の問題を過去の歴史としては終わらせない。著者にとって歴史とは、あくまで現代の問題を解決するために役立てるものであるようだ。歴史研究者は結構、「自分は歴史を調べるだけの仕事ですから〜ハイ・・・(;´・ω・)」という人が多いが、著者は真正面から現在の問題点に言及している。この視点は特に素晴らしい。


書評
 書店で発見してそのまま購入してしまった。本書はあの有名な大本営発表を徹底的に調べ上げたものだ。一般的に大本営発表とは事実と異なるプロパガンダというイメージがある。まあ、実際そうなんだけど・・・。では大本営発表というのは実際どういうものなのか、ということを精緻に調べ上げたものだ。


 辻田氏の調査によると大本営発表は日中戦争から始まり、太平洋戦争開戦によりその数を増した。終戦まで続けられた結果、戦時中の大本営発表の彼我の戦艦空母の損失を合計すると、日本軍は大戦中、連合軍空母84隻、戦艦43隻を撃沈し、味方の損害は空母4隻、戦艦3隻という圧倒的勝利であった。もちろんこんなのは嘘である。ではどうしてこのようなことになってしまったのだろうか。


概要
 大本営発表(だいほんえいはっぴょう)とは、太平洋戦争(大東亜戦争)において日本の大本営が行った戦況などに関する公式発表。

 当初はおおよそ現実に即していた発表を行っていたが、ミッドウェー海戦の頃から海軍による損害矮小化・戦果過大化の発表が目立ちはじめ、勝敗が正反対の発表すら恒常的に行ったことから、現在では「内容を全く信用できない虚飾的な公式発表」の代名詞になっている。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 上記の通り、大本営発表とは当初は事実に即して発表されていた。実際、真珠湾攻撃の戦果などはその後の調査で戦果が過大であったことが分かると訂正されている。しかしミッドウェー海戦の損害が空母4隻撃沈というあまりに激しい損害のために味方の被害を過少に報告することによって嘘の発表が始まった。


 因みにこのミッドウェー海戦の損害は一般以外にも陸軍や天皇にまで隠ぺいされた(戸高一成『海戦からみた太平洋戦争』)。世間に情報が漏れないようにミッドウェー海戦から生き残った搭乗員は笠之原基地等に(原田要氏の『わが誇りの零戦』)、列機の岡元高志氏は大湊基地に隔離された(森史朗『零戦 7人のサムライ』)。


 ミッドウェー海戦に参加した杉野計雄氏は著書『撃墜王の素顔』の中で同様に禁足が命じられたと語っている。さらに別にアリューシャン作戦に参加していた谷水竹雄氏は手記「愛機零戦で戦った千二百日」『零戦搭乗員空戦記』でミッドウェー作戦に参加した蒼龍乗組員の救出の際、会話を禁じられたこと等、現場からすでに隠ぺいが始まっていたことが分る。


 大本営発表は味方の損害は過少に報告され、戦果は過大に報告された。これだけをみるとただの嘘情報なのだが、当初正確だった大本営発表がどうしてそのように変貌してしまったのだろうか。細かく分けると損害の隠ぺいと戦果の過大報告というのは理由が異なる。


 損害の隠ぺいは大本営発表で意図的に行われたものだが、戦果の過大報告というのは大本営発表が意図的に行ったものではなかった。ではどうして戦果の過大発表というのが起こってしまったのかというと理由は簡単だ。そもそも現場部隊からの戦果報告が実際とはかけ離れた過大なものであったからだ。


 海軍の太平洋戦争は航空戦が中心であった。航空戦では戦果の確認は難しい。当初はベテラン搭乗員がある程度正確な戦果報告をしていたが、搭乗員の技量が低下するにつれて報告も事実に反するものになっていった。


 当時報道班員として最前線ラバウルにいた吉田一氏は著書『サムライ零戦記者』の中で「大本営発表は信用されないが、戦果報告に嘘は無い」という趣旨のことを書いている。確かに戦果報告に嘘は無かったかもしれないが、そもそも搭乗員自身が戦果を誤認していたようである。実は、吉田氏がラバウルにいた当時のベテラン搭乗員達の戦果報告も実態より過大になる傾向はあった。これは彼我の損害の比較をした梅本弘『ガ島航空戦』に詳しい。


 後方の大本営報道部は前線からの過大な報告を無批判に発表してしまったのだ。批判をしようとすれば「現場で命がけで戦っている我々の戦果報告が信用できないのか!」ということになってしまう。そもそも批判しようにも否定する情報がない。


 その結果、戦果は過大になり、損害は隠ぺいされた。それはソロモン海域の戦闘が始まるとさらに激しさを増し、大本営発表が事実からかけ離れるに比例して国民からの信用も失っていった。この頃から大本営発表に対する国民の批判的な言論等が目立ち始めるという。


 その後、マリアナ沖海戦、幻の大戦果と言われる台湾沖航空戦でも事実と異なる戦果発表が行われた。台湾沖航空戦に関しては海軍は戦果が過大であることを発表前に知っていたにも関わらず陸軍にすらその情報を伝えなかった。結果、陸軍は米機動部隊は壊滅したという前提にフィリピンで積極攻勢に出て壊滅してしまう。



大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争 (幻冬舎新書)


商品の説明
信用できない情報の代名詞とされる「大本営発表」。その由来は、日本軍の最高司令部「大本営」にある。その公式発表によれば、日本軍は、太平洋戦争で連合軍の戦艦を四十三隻、空母を八十四隻沈めた。だが実際は、戦艦四隻、空母十一隻にすぎなかった。誤魔化しは、数字だけに留まらない。守備隊の撤退は、「転進」と言い換えられ、全滅は、「玉砕」と美化された。戦局の悪化とともに軍官僚の作文と化した大本営発表は、組織間の不和と政治と報道の一体化にその破綻の原因があった。今なお続く日本の病理。悲劇の歴史を繙く。
(amazonより転載)


 ただ、大本営発表が虚飾に満ちてしまったのは上記の理由だけではない。そこには新聞社との癒着があった。我々は戦前の日本の言論界というとすでに軍部の言いなりだったと思いがちだが実際は違った。言いなりどころかマスコミは軍部に批判的ですらあった。


 それが変わってきたのは日中戦争からだという。日中戦争でのマスコミ各社のスクープ合戦が始まり、スクープを得るために軍部との協力は不可欠であった。軍部としてもマスコミをコントロールすることで軍部に有利な記事を書かせることができるという癒着が始まったのだ。


 結果、マスコミの権力への監視機能は発揮されることはなかった。恐ろしいのは戦前の日本というのは決して強圧的に政府がマスコミを支配していたのではなく、マスコミは自ら利益を得るために権力への監視機能を放棄していったということだ。著者は最終章で現在の政府マスコミの関係にも言及し警鐘を鳴らす。



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書評 一ノ瀬俊也『戦艦武蔵』




総評
 著者は全体的に迷いながら書いている印象を受ける。内容が天皇の戦争責任等のデリケートな話になることから断定を避けるような書き振りが感じられる。


 序章で本書の内容を前半と後半に分けるということを書いているがそれも一つの本にテーマが二つあるということになり、分かりにくさに輪をかける。


 結論としては結局、人間というのは自分が目の前で体験したことくらいしか原因を追究しようとしないというような感じであるが、これ自体も明確な「結論!」「私の意見!」というような感じではなくボンヤリとした感がある。


 内容は結構なボリュームであるが、結論はまあ、間違いではないけど、ここまでの労力をかけた作品にしては結論がちょっとぼんやりしすぎていて勿体ないと思う。


書評
 最近、書評ばかり書き過ぎていい感じに訪問者数も減ってきたし、私もちょっと書評を書くのに飽きてきたところだったが、また書評を書いてしまおう。今回は一ノ瀬俊也氏の『戦艦武蔵』を読んでみた。一ノ瀬氏が戦艦武蔵をテーマにしたのは同型艦大和に比べて武蔵は地味で暗いイメージがあることに疑問を持ったことによるようだ。


性能
46cm(45口径)砲3連装3基9門
15.5cm(60口径)砲3連装4基12門
12.7cm(40口径)連装高角砲6基12門
25mm3連装機銃12基36門
13mm連装機銃2基4門
最終時:
46cm(45口径)砲3連装3基9門
15.5cm(60口径)砲3連装2基6門
12.7cm(40口径)連装高角砲6基12門
25mm3連装機銃35基105門
25mm単装機銃25基25門
13mm連装機銃2基4門
12cm28連装噴進砲2基56門
装甲 舷側 410mn、甲板 200mm、主砲防盾 600mm
搭載機 零式水上偵察機・零式観測機他、最大7機
(カタパルト2基)
(wikipediaより転載)


概要
武蔵(むさし)は、第二次世界大戦中に建造された大日本帝国海軍の大和型戦艦の二番艦である。当時は武藏と表記された。この名を持つ大日本帝国海軍の艦船としては3隻目にあたる。また、武蔵は大日本帝国海軍が建造した最後の戦艦でもあった。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 本書を読む上で大切なのは本書は最新の歴史学の成果や発見で「戦艦武蔵がここまで分かった!」というようなものではない。戦艦武蔵を題材に太平洋戦争の主に大艦巨砲主義と航空主兵主義等の海軍内部の問題、から歴史学的な問題意識から戦争をどうとらえどう継承していくかというところまで行く。


 著者の一ノ瀬氏は日本近代史の専門家だ。今まで『米軍が恐れた「卑怯な日本軍」 帝国陸軍戦法マニュアルのすべて』等、歴史史料を駆使して今までにない視点から近代戦争史を分析してきた人だ。その著者が歴史学的な問題意識にまで踏み込んだのは本書が初めてなのではないだろうか。


 ただ、本書はちょっと詰め込み過ぎの感はある。前半は戦争とファンタジー、後半は戦争を当事者達はどう描き、それが戦争を知らない世代にどう継承されていたのかを描いている。実際、私は「戦艦武蔵には噴進砲が装備されていた!」的な内容を期待していたのだが・・・。


1938_Japan_Navy_battleship それはそうと、前半は戦争体験者は戦争をリアルに感じ、戦争を知らない世代は戦争をファンタジーと感じるというのは違うということを書いている。戦中派でも実際に戦争をしている最中でも戦争にファンタジーを感じることもあるとする。(画像はwikipediaより転載)


 それはそうだと思うが、そもそもファンタジーとリアルの定義があいまいである。本書中の戦争中のファンタジーの例を見ると、当事者の夢や希望がファンタジーとして扱われている。これがファンタジーであるならば世の中全てがファンタジーなのではないかと思ってしまうこともある。まずは何がファンタジーで何がリアルなのかという定義をするべきだと思う。


 戦争を知らない人間が戦争をファンタジーとして捉えることの問題点は、戦争に対して自身の理想を投影し、現実の殺し合いや各種残虐行為という「リアル」が見えなくなってしまうことだ。これによって戦争を無邪気に賛美することになってしまう。


Musashi1944 著者は戦争当事者自身もファンタジーであると結論付けるが、そうなると上記の戦争を理想化する問題は戦争当事者も理想化してしまうことになる。要するに戦争を知らない人、戦争の当事者共に戦争は理想的なものという結論になってしまう。(画像はwikipediaより転載)


 それではそういう結論になることによって我々、今を生きる人々にとってその結論から何を得られるのかということを語らなければならない。「こういうことがありました」では学問にならない。それは史料を羅列したのと同じことだ。学問であるならば、この結論によって著者は何を主張したいのかというのを明確にしなければならない。


Musashi_under_attack_in_Sibuyan_Sea 後半部分になると主な問題意識は戦艦武蔵の撃沈を中心になぜこのような悲惨なことになったのか、海軍士官と下士官の違いから戦中戦後の意識の違いから分析する。日本にはなぜこうなったのかという原因を追究する姿勢がないという結論に落ち着いたようだ。(画像はwikipediaより転載)



戦艦武蔵


商品の説明
二〇一五年、戦艦武蔵がフィリピン沖海底で発見され、世界の注目を集めた。だが、太平洋戦争中の一九四二年に完成し、四四年のレイテ沖海戦で撃沈された武蔵は、敗戦後、長きにわたり半ば忘れられた存在だった。姉妹艦の大和が一貫して脚光を浴び、戦記や映画、アニメなどで繰り返し描かれたのとは対照的である。両者の差はどこから生まれたのか。建造から沈没までの軌跡を追い、さらには戦後日本の戦争観の変遷をたどる。
(amazonより転載)


 本書は近代史を専門とする歴史学者が戦争責任等のデリケートな内容にまで踏み込んだということでは意義がある。しかしどこかしら明確な結論を出すことを避けている感があるのが残念だ。しかし私は著者の基本的なスタンスが歴史学会の標準的なスタンスにあることが分かったのでこれは良かった。


 つまり、左右問わず思想的なものを極力排除して合理的な結論を導き出す作業を行っているということだ。ただ思想的なものを排除した結果、結論もありきたりになってしまったのが残念だ。



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書評 「丸」編集部編『海軍戦闘機隊』



総評
 本書は現在では数少ない日本海軍戦闘機搭乗員の手記をまとめたものである。内容的にはやはり手記である性質上、一貫性は持たせにくいが編集者の精いっぱいの努力が見られる。ただ、それぞれの手記の初出が書かれていないのは残念であった。私が特に興味を惹いたのは航空隊司令柴田武雄大佐、倉本十三飛曹長、神山武治飛曹長の手記であった。私の書評は私の備忘録という意味が大きいのだが、今回は特にそれが顕著になってしまった。本書とは関係ないが、このブログの読者には退屈な書評かもしれない。


書評
 本書は月刊「丸」紙上に発表された海軍戦闘機隊関係者の手記を集めたものである。月刊誌は発売された時に購入しなければならず、その後の購入が困難であり、なおかつ、その後、執筆者の多くが他界してるため、このような形で出版してくれることはありがたい。


 本書の構成は基本的に戦闘機を中心に編集されているようである。最初に航空戦全般について当時参謀だった野村氏の寄稿があり、その後96艦戦、零戦、二式水戦、月光、紫電、紫電改、雷電、烈風とほぼ開発年に合わせた順序になっている。


目次
野村了介 日本海軍の空戦思想
横山保 新鋭「九六艦戦」の空戦法
羽切松雄/坂井三郎 駿馬「零戦」向かうところ敵なし
横山保 三空零戦隊 開戦の第一撃
吉田一 忘れえぬラバウルの撃墜王たち
中野忠二郎 二〇一空零戦隊ラバウル・ブイン戦記
白浜芳次郎 翔鶴零戦隊マリアナ沖空戦記
柴田武雄 わが海軍戦闘機隊と忘れざる人々
神山猛治 九〇二空「二式水戦」トラック戦記
美濃部正 夜戦「月光」比島の空に奮戦す
原通夫 知られざる夜戦「月光」隊の対潜攻撃
倉本十三 愛機「月光」で記録した一夜五機撃墜
山本重久 飛行審査部“テス・パイ”の思い出
石坂光雄 紫電「奇兵隊」対P51戦闘に燃ゆ
羽切松雄 横空「紫電改」B29ロケット弾邀撃記
中島正 初陣三四三空「紫電改」松山上空の大戦果
市村吾郎 戦闘四〇七飛行隊「紫電改」空戦記
笠井智一 撃墜王杉田上飛曹「紫電改」に死す
戸口勇三郎 本土上空で見せた局戦「雷電」の真髄
赤松貞明 忘れざるジャジャ馬「雷電」との対話
西畑喜一郎 厚木「雷電隊」小園式戦法に戦果あり
小福田租 最後の艦上戦闘機「烈風」試乗リポート
「丸」編集部 終戦時における海軍試作戦闘機


 戦後70年以上が経ち、本書に手記を寄稿された方の多くが他界されているので全ての手記が貴重なものであるが、特にファンから人気のある赤松貞明氏が執筆しているのが注目される。特に私の興味を惹いたのは柴田武雄氏の手記である。


 柴田氏は海軍戦闘機隊に詳しい人なら誰でも知っている人物である。太平洋戦争では主に航空隊司令という立場で臨んだ。面白いのは、柴田氏は命令する時に決して「撃滅せよ」という命令は出さなかったそうである。「撃滅せよ」というのは聞こえがいいので何となく使ってしまう司令も多かったのだろう。


 しかし「撃滅せよ」という命令を発し、撃滅できなかった場合には命令違反になると柴田氏は指摘する。さらに人命に関しては

「生命というものは、この世に生をうけた使命役割をいかんなく達成し、もって天意に応えるべきである。そして、これは普遍の真理である」
本文より一部抜粋

 という哲学を持っていたという。その哲学の元に被害を少なくすることに全力を注いだという。因みにこの柴田氏は結構な口下手だったそうだ。太平洋戦争前に海軍内部で戦闘機無用論が出た時、柴田氏は戦闘機は必要とその後の結果からみればかなり妥当な意見を主張していたが、源田氏等、戦闘機無用論に太刀打ちできなかったという。


 口下手であっても、上記の哲学を持ち、部下の命令違反にまで気を配る司令には人望が集まったようである。私と同様、柴田氏も運命論者であるという点も共感できた。この柴田氏の稿の中で興味深いのは、柴田氏が本土防空を陸海軍共同でやろうと思い、連合艦隊の同意を得て、陸軍の参謀本部に行った。


 そこで旧知の新藤常右衛門大佐に話したところ意見が一致し、海軍に防空関係の資料一切を提供するように要求したところ、航空主務参謀奥宮正武中佐が、

陸軍などに本当のことを言ったら、とんでもないことになる
本文より一部抜粋

 といって断ってしまった。ここに陸海軍の対立の根深さが見えると同時に、世間一般では善の海軍、悪の陸軍という二項対立で考えられがちな両者の対立は、実は海軍にも相当な問題があることが分かる。堀栄三『大本営参謀の情報戦記』でも日本空軍創設に反対したのは海軍、特に山本五十六だったことからも窺える。


 神山氏の手記も面白かった。神山氏は数少ない二式水戦の搭乗員であった。二式水戦は、速度こそ遅いものの、実は零戦より旋回性能は良かったようだ。神山氏はこの二式水戦で爆撃機の爆撃を妨害して有効弾を与えられないようにしたり、連合国軍のP38ライトニングと互角に渡り合ったという。これは日本海軍航空隊の実際の記録を丹念に調べた梅本弘『ガ島航空戦』上によっても水上戦闘機隊が通常の戦闘機に対して互角に渡り合ったことが確認されている。


海軍戦闘機隊―私は非情の大空で戦い生還した!

商品の説明
頼れるのは己れ一人だけ。零戦、紫電、紫電改、雷電、月光、烈風、震電、秋水…愛機とともに常に生還を期して鍛錬し、生死紙一重の苦闘を制した空の男たちの壮烈なる空戦体験。日本海軍ファイター列伝。
(amazonより転載)


 その他、雷電搭乗員の手記では雷電の離着陸の難しさ、航続距離の無さを指摘する一方、速度、上昇力、加速性能がF6Fやコルセアよりも勝っていた等、実際の搭乗員の意見だけに説得力がある。この雷電は、渡辺洋二『局地戦闘機「雷電」 』によると実は最もB29を撃墜した戦闘機であったという。


 一夜にB29を5機撃墜した倉本十三氏の手記は同乗の黒鳥四朗氏の著作『回想の横空夜戦隊』で別人の視点から確認できて面白いと思う。



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書評 伊藤祐靖『国のために死ねるか』




総評
 本書の内容は濃い。私自身は著者の価値観に比較的近いようだ。しかしどこかに違和感を感じる。それは何だか私自身よく分からない。本書で知るのは知識や価値観ではない。自分はどう考えるのかということを自分自身に問いかけながら読む本だと思う。本書は読者自身の価値観が試される本といえる。


書評
 たまたま書店に行ったところ、バカ売れ状態の本書を発見した。アマゾンのカテゴリーでも一番の売れ行きだそうだ。著者は元海上自衛隊特殊部隊の創設者の一人。私はちらっと噂を聞いたことがある程度だ。その噂とはネットや書籍ではなく、人づてだ。私が著者の話を聞いた人は恐らく本書中に登場する「民間人」の一人なのだと思う。残念ながら噂の内容はネガティブなものだった気がする。詳しい内容は忘れてしまった。


伊藤祐靖
 日本体育大学体育学部に陸上競技の短距離選手日体奨学生(特待生)として入学。卒業後、「一番階級の低いところからやる」との考えのもと、1987年(昭和62年)に海上自衛隊に2等海士で入隊。

しかし、任期制自衛官である士階級の同期の国防への志の低さに落胆して幹部自衛官になることを決心し、その年の内に、2士から幹部候補生試験を受験して合格、海上自衛隊幹部候補生学校に入校する。同校卒業後は幹部自衛官として艦艇勤務に従事する。

 1999年(平成11年)に発生した能登半島沖不審船事件の際には、イージス艦みょうこうの航海長として、不審船を追跡した。この時、不審船が停船した場合の臨検を想定し、みょうこうの砲雷科員に小銃と拳銃を持たせて臨時の臨検部隊を編成した経験を上層部に買われ、異動により不審船への臨検を行う特別警備隊の発足準備に携わることとなった。また訓練を経て、即応部隊を率いる先任小隊長としての任務に就いた。訓練ではNavy SEALsをはじめとした海外の特殊部隊とも交流しながら技術の向上を図った。

 2007年(平成19年)、他部隊への異動の内示を拒否して2等海佐で退官。 退官後は拠点を海外に移し、各国の警察や軍隊への訓練指導などに携わっている。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 本書は基本的に四章立てになっている。第一章は能登半島沖不審船事件、第二章は海自特殊部隊創設、第三章は自衛隊退職後の自己鍛錬の日々、第四章は著者の国家論となっている。

目次
第一章 海上警備行動発令
第二章 特殊部隊創設
第三章 戦いの本質
第四章 この国のかたち


 本書はさらっと読める内容ではない。これは人によるだろうが、私の場合は読了するまでに相当な時間がかかった。私の知らない新しいことが多かったのと、私自身、元自衛官として考えこんでしまう内容だったからだ。特に第一章の不審船の部分では考え込んでしまって中々ページを進めることが出来なかった。


 第一章はネットで調べれば内容は大体分かると思うが、1999年、能登半島沖不審船事件というものがあった。著者はその渦中のイージス艦みょうこうで航海長として任務に就いていた。不審船に警告射撃をしている船内の緊張感の描写は生々しかった。「戦争をしない国の軍隊」が艦長以下全く未経験の不審船追撃を行ったからだ。


 警告射撃で不審船は停止した。もちろん臨検しなければならない。そこで隊員を送り込むが、要約すると状況から臨検に行った隊員は必ず死ぬと推測された。その中で臨検に向かう隊員の一人が「なぜ私が行かなければならないのか」というようなことを言う。著者は「自衛官というのはそういう仕事なのだ」というようなことを言う。隊員は「ですよね」といって準備を始める。


 「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえることを期するものとする。」
自衛隊法第52条一部抜粋


 世間では知られていないが、自衛官はみなこの宣誓を行い誓約書に名前を記入する。これをしなければ自衛官にはなれない。無論私もした。著者も指摘しているように自衛隊は基本的に試合をしないプロ野球チームだ。実は多くの自衛官は実戦で戦死するとは思っていない。しかし自衛官は心のどこかにこの宣誓が刻まれている。それが「ですよね」になるのだ。


 この事件で著者は特殊部隊の必要性を痛感する。そして第二章では特殊部隊の創設について描かれている。そして著者は海上自衛隊に幻滅し、フィリピンのミンダナオ島に拠点を移す。そこで実戦を経験してきた弟子とのトレーニングの日々が続く。実戦もやったようなことが本書の最後に書いてあるがそれは私には分からない。


 最終章では著者の国家についての考え方が示される。ここで私が注目したのは、著者は本書でほとんど「愛国心」という言葉を使っていない(著者の発言、意見としては一回も使っていない)。これは著者が意図的に使用していないのだと思う。本書中に


「国を愛している」という人がいるが、では、国の何を愛しているというのだろう?
本文より抜粋


 と疑問を呈している。国とはそこに住む人々や土地だけでなく、統治機構までも含まれる。少なくとも国連の定義ではそうなっているらしい。では国家とは何なのか?となる。全て?ではどれかが欠落したらどうするの?統治機構が変わったらどうするの?領土が変わったら?国民を愛するとは1億2000万人一人残らず全てを愛するの?これは私自身の疑問だが、著者も同様の疑問を感じているのではないだろうか。著者は結局、自然の法則、群れという原始的な感覚に落ち着いたようだ。



国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動 (文春新書)


商品の説明
新安保法制が施行され、「自衛隊員の戦死」が現実味を帯びてきた。しかし、今の日本という国家に、「死ね」と命じる資格はあるのだろうか。自衛隊でも、もっとも死ぬ確率が高い特殊部隊の創設者が、自分の経験をもとに「国のために死ぬ」ことを、とことん突き詰めて考えた衝撃の手記!
(amazonより転載)


 因みに本書を読んでいてちょっと気になってしまったのだが、著者の父親は陸軍中野学校の出身で、戦時中に蒋介石の暗殺を命ぜられたという。そして撤回されていないという。要するに任務継続中な訳だ。これって極秘任務になるような気がするけど、子供に普通にしゃべっているし、その上、本になって出版されてしまっている。これっていいの?というのがちょっとした疑問。それはそうと、本書は時間があれば是非読んでほしい。感想、結論は各人異なると思う。とにかく考えさせられる本だ。



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書評 中島親孝『聯合艦隊作戦室から見た太平洋戦争』




総評
 戦後70年を過ぎて戦争を知る世代がかなり減少してきている。私が子供の頃は60歳以上は戦争に行っていた。当時の司令官、参謀クラスもまだご健在であったが現在ではもう佐官でご健在の方も少ない。その点、本書は当時参謀をしていた人の貴重な記録であり、連合艦隊の上層部からみた太平洋戦争という点で貴重な本だ。


 ただ、内容は太平洋戦史の教科書的な内容であり、各作戦への評価も著者独自の見解というものはあまり見られない。実際に現場にいた人間しか分からない迫力や緊迫感等もあまり感じることができないが、逆に客観に徹しているともいえる。ただ、戸高一成著『聞き書き・日本海軍史』の中島親孝氏の章にあるように海軍士官はジェントルマンであり、直接の批判というものはあまりしないようだ。ここら辺は評価の難しいところだ。


 もし本書を購入するとしたら、同時に堀栄三『大本営参謀の情報戦記』も併読することをお勧めしたい。陸軍参謀と海軍参謀、さらにそれぞれの個性が分かるので両者の比較をしてみると面白い。


書評
 アマゾンの紹介で何となく買ってしまった本書、著者の中島氏は昭和10年に初めて水雷参謀になって以来、終戦まで参謀一筋というある意味変わった経歴の持ち主である。その参謀専門家の著者が日本海軍の内部からの視点で見た太平洋戦争はどんなものだったのかということが分かる貴重な本である。


 著者は連合艦隊や艦隊参謀という前線での参謀経験が多かったことからだろうか、戦略的なことに言及することはあまり多く無く、戦術的な視点で時には司令部の作戦を批判的に書いている。これは同じ参謀であった堀栄三氏が太平洋戦争を日米の戦略、引いては戦争哲学の違いまで言及しているのとは異なる(堀栄三『大本営参謀の情報戦記』)。


 しかし海軍の前線司令部の参謀の記録という点では貴重な資料だと思う。内容で目を引くのが著名な司令官や参謀の人間観察である。基本的に著者は批判的な性格なのだろうか、全体的に人物評も批判的であるように感じる。


 ただし、黒島亀人参謀が月一回しか風呂に入らず、真っ暗にした部屋で構想を練るという有名な話以外にも「ガンジー」というあだ名で呼ばれていたこと、開戦時の第一航空艦隊参謀長草鹿龍之介が非常な勉強家であるが、決断力が無いということを暗にほのめかしたりもしていたり、栗田健男中将はいつも逃げ腰だというような話は面白い。


 実際の参謀としての職務では、当時から現在言われているような真珠湾攻撃の問題点を指摘していることや、ラバウル攻略に際して、ラバウルを攻略することによって今度はラバウルを守るために周辺を攻略しなければならないこと、そしてそれが際限ないことなどを指摘している。さすが参謀と思える的確さである。


 著者中島親孝氏は海軍兵学校を席次4番で卒業、海軍通信学校高等科を首席卒業、海軍大学校で高級幹部を養成する「甲種学生」を卒業したという海軍のエリートである。全体的に秀才の頭の回転の速さは感じるが、ちょっと評論家のようなただ批判だけをするような印象も受けてしまう。


 本書は不思議と当事者の割には緊迫感が伝わってこない。現場にいたといっても参謀という前線の中では後方にいたこともあるかもしれない。特攻隊に関してもどこかしら他人事のように感じてしまう。


 堀氏のように情報を徹底的に分析する「情報職人」という感じではなく、通信情報を常識的に判断しているだけととれる。同じ情報参謀ということでどうしても比較してしまう。堀氏は文章によるアピールがうまいという点もあるだろうし、私自身に知識や考察力が不足しているからかもしれないが、本書では新しい視点や価値観、知識というものは得られなかった。


 全体的にちょっと辛口になってしまったが、前述のように連合艦隊の参謀の書ということで貴重であるのは間違いない。



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書評 戸高一成『聞き書き日本海軍史』



総評
 本書は、著者が海軍士官を中心とする方々との交流の中で聞いたエピソードをまとめたものである。内容は非常に興味深く、今まで知られていなかったエピソードも多い。著者の戸高氏はあまり自分の意見を前面に出さす記録者として本書を執筆している姿勢に好感が持てる。14章立てで1章一人なので1章読み切りという感じでついつい読むのが止まらなくなってしまう。本当に面白かった。


書評
 本書は著者が戦後生き残った海軍士官から直接話を聞いた内容を書いている。厳密に言うと13人の海軍士官と1人の報道カメラマンである。戸高氏の著書は以前、古書店で偶然見つけた『海戦からみた太平洋戦争』があまりにも面白かったので、同氏の別の著作を購入したのだ。


 内容は一貫性が無いという批判もあるが、聞き書きなので当たり前だ。逆に私は簡潔にそれぞれの人の興味深い話が短編として記されているので、読みだしたら止まらなくなってしまった。話の内容が人によって違うので退屈しないのだ。


 聞き書きに登場する海軍士官は、以下の通りである(カッコ内は著書)。

第1章、大井篤(『海上護衛戦』)
第2章、藤田怡与蔵(『零戦隊長藤田怡与蔵の戦い』※藤田氏の著作ではない)
第3章、関野英夫
第4章、山本正治
第5章、大西新蔵(『海軍生活放談』)
第6章、三原 誠
第7章、日辻常雄(『最後の飛行艇
第8章、新見政一(『第二次世界大戦戦争指導史』)
第9章、小瀬本國雄(『激闘艦爆隊』)
第10章、中島親孝(『聯合艦隊作戦室から見た太平洋戦争』)
第11章、千早正隆(『連合艦隊興亡記』等多数)
第12章、山下清隆
第13章、豊田隈雄
第14章、牧島貞一(『炎の海』)



 大井篤氏、日辻常雄氏等半数程の方は著書を持っており、戦記物をよく読む人だったら知っているかもしれない。一応、私の分かる限りで著書を挙げておいた。本書の内容は多岐にわたり、末期の瑞鶴は天山艦攻が3機余計に積めるようになっていた等、あまり知られていない情報や現場の人間しか分からないことが満載されている。


 私が面白かったのは、第3章の関野英夫氏が遠洋航海でサンフランシスコに行った時、野村吉三郎長官が日系人に万が一日米が戦争になったとき、我々はどうするべきかということを質問されたところだ。それに対して野村長官の対応が面白い。

<その場の雰囲気は、長官が「日本に忠誠を尽くせ」ということを期待していたようでした。ところが野村長官は「君たちはアメリカ国籍なのだから、立派なアメリカ人としてアメリカに忠誠を尽くさなければならない。それが大和民族の正しい忠誠心というものだ」とはっきり言ったそうです。


 この言葉に関野氏は感動したという。さらに戦後、米海軍基地のパーティーで関野氏が、

「我々日本海軍軍人だった人間は、米海軍がいかに勇猛でかつ突撃精神を持っているか、またどのような任務でも全力で戦う海軍であることを知っている。だからこそ米海軍は信頼できると思っている。


 と発言したのに対して、米軍側は、

「我々も日本海軍がどんな困難な任務でも命をかけて最後までそれを果たす海軍であることを良く知っている。だからこそ信頼できると思っている」


と返してきたという。これは北村淳『米軍が見た自衛隊の実力』でも米軍軍人の言葉として同様のことが記されている。これはリップサービスではなく、米軍軍人の本心であると私は思っている。ただ、戦時中、日本軍には捕虜の人権を無視していたというような残念な話もある。


 本書で紹介されている士官の最高位である新見政一中将が装甲巡洋艦出雲で遠洋航海に行った際、サンフランシスコで火災に出くわした。その時、出雲でも消防隊を出したのだが、アメリカ側は当然、ポンプ車やはしご車を出したのに対して、鳶口や高張提灯という江戸時代さながらの装束で駆け付けたというちょっと恥ずかしいエピソードも載せている。


 著者曰く、新見氏は分析や研究能力は高かったが、押しの弱い性格だったようだ。その新見氏の著作『第二次世界大戦戦争指導史』に対して昭和天皇が「これはいい本だから皇太子にも読ませたい」と語ったというエピソードも面白い。私は皇太子ではないが、さっそくアマゾンで購入してしまった。


 中島親孝氏の章も面白い。栗田健男中将の艦隊はまともに敵に突っ込んだことがないことや「仙人参謀」黒島亀人大佐はかなり独りよがりの性格であったことなど面白い。因みに黒島大佐については千早氏も宇垣纏『戦藻録』の一部を紛失したことについて自分に都合の悪い部分があったので処分したのではないかと語っている。


 戦艦武蔵の副砲は最上型巡洋艦の主砲であり、装甲が薄い。ここに命中弾を食らったら弾薬に引火して致命傷になるということに誰も気が付かなかったことも初めて知った。戦艦大和型に関しては戸高氏の著書『海戦からみた太平洋戦争』でも大和型は着弾の振動によって主砲の照準器が使えなくなるという欠点があったことが書かれている。

 
 その他、殺人光線の開発に従事した山本正治氏や有名な坂井三郎氏が負傷して単機で帰る途中の零戦を作家の丹羽文雄氏が見ていたこと、著名な航空機設計者クルトタンク氏と語り合った豊田隈雄氏や戦後軍人の公職追放はマッカーサーはむしろ批判的であったのに日本人が強硬に主張していたことなど、興味深いエピソードが多い。



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書評 山田雄司『忍者の歴史』




 本書は、タイトルの通り、忍者の歴史について書いたものである。私がこの本を購入したのは、本書の著者が学者だったからだ。忍者やそれに類するものについて書かれているものは多いが、ほとんどが一般人のものだ。私も一応大学院で歴史学を学んだものとしてアマチュアとプロの違いというのは痛い程分かる。


 その専門家が忍者の歴史を執筆したというのが面白い。私は以前から忍者について多少の興味はあった。ということで今回、立ち読みもせずにアマゾンで購入してしまった。内容は忍者の辞書というようなものだろうか。忍者の歴史から世間の忍者イメージの変化等興味深く読んだ。


 忍者の小道具や心得等も詳しく解説されている。忍者というと敵の城に忍び込んで暗殺をしたり、夜中に短刀を逆手に持って切り合いをしたりするイメージがあるが、実際は戦いというのは敬遠されていたそうだ。というのは、忍者の主任務は情報収集である場合が多く、戦ってしまうと情報を味方に届けることが出来ないためだ。


 南北朝時代に忍者の活躍が始まり、戦国時代には大名の多くは忍者を雇っていたという。忍者の任務は情報収集から放火等におよび、見えないところで活躍した。江戸時代になると幕府の警備兵や御庭番という任務が与えられたようだ。御庭番とは他国に侵入して情報を収集してくる人、要するに忍びだ。


 そして私が一番印象に残ったのが、江戸時代初期の1637年、島原の乱が起こったがここでも忍者が原城(?)に侵入して情報収集や食料を盗み出したりしている。面白いのが侵入した忍者が穴に落ち、仲間に助けられて辛うじて逃げ帰ったことだ。


 戦国時代が終わってすでに30年位経った時代であった。もう戦国時代を経験した忍者は老齢で現役ではないだろう。忍者の技術は伝承されており、若い忍者が初の実戦ということでこういう失態があったのではないかと私は考えてしまった。戦争を知らない世代の忍者ということだろうか。



忍者の歴史 (角川選書)

商品の説明
なぜ、「Ninja」は世界を熱狂させるのか? 作られた忍者像を一新!

一口に忍者といっても、時代によってその姿を変えてきた歴史がある。あるときは城を守る警備員、あるときは適地に攻め込む戦闘員、あるときは村人に扮するスパイ……。今まで解明されることのなかった忍者の謎を、忍術書「萬川集海」や、数々の古文書などの資料を読み解き、歴史の観点から明らかにする!
(amazonより転載)


 本書は忍者が好きな人にはもちろん面白いと思う。この手の本は基本的に素人が書く場合が多いが本書は専門家によって書かれているので内容にも信ぴょう性がある。内容は古代史料にみえる忍者から江戸時代さらには近代の中野学校で教えた最後の忍者にまで及び面白いと思う。歴史が専門の人もこういう視点で歴史をみるというのもいいと思う。



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私の価値観をちょっとだけ変えた本




 ズバリ、『嫌われる勇気』だ。この本は以前紹介しているけど、内容は簡単に言うと一般の心理学というのは、事象が起こった時、その原因は過去にあると考える。所謂「トラウマ」とかは典型的な過去に原因を求めた結果だ。


 それに対してアドラー心理学は目的があると考える。要するに自分の目的を果たすためにその事象を起こした。と考える。一番分かり易いのが怒りだ。例えば、あなたが何かに頭にきて怒鳴ったとする。普通は当然、原因があり、それに対する怒りが怒鳴るという結果を導き出すと考える。


 しかしアドラーは違う。その人には元々怒りたい、怒鳴りたいという気持ちがある。怒鳴るという目的を達成するために怒鳴る理由を探す。そこに「何か」が起こる。それを理由として怒鳴るという目的を達成するのだ。


 一見すると屁理屈のようだが、私はこの考えは正鵠を射ていると思う。何故なら、周りの怒鳴っている人をみれば分かる。感情的になって怒鳴っている人がいる。その人って誰彼見境なく怒鳴っているかというと違う。一部の頭のおかしい人はそうかもしれないが、ほとんどの「すぐカッとなる人」はちゃんと怒鳴っていい相手を見定めている。


 すぐに怒鳴る上司がいる。その人は自分の人事権を持っている人や怖い人、例えば自分の会社の創業者社長や道端で暴力団員等に対して怒鳴ったりするだろうか。もちろんしない。もし、本当に感情的にすぐ「カッとなる人」だったら当然怒鳴るはずだ。これをしないのは怒鳴るという行為を合理的に判断していることになる。


 こういう視点で周りを観てみると今までとは違ったものが見えてくるはずだ。そして何より観なくてはいけないのは自分自身だ。自分自身が仕事で誰かに対して怒りを持ったとする。誰が考えてもこちらが正しい状況だったとする。しかし待ってほしい。もう一度考えてみよう。その怒りは正義ですか?


 もしかしてそれって、自分自身の普段の不満を発散させる理由を見つけただけなんじゃないのか。その怒りの原因は怒りの対象になった人や事件ではなくて別にあるのではないのか。そう考えると実はほとんどの場合、自分自身に原因があったりする。


 これって、誤解しないでほしいのがこのブログを読んでくれる人を説教しているのではないし、ご教示しているのでもない。こういう考え方もあるよ〜という程度の話だ。何より私自身に語り掛けているという部分が大きい。因みに私は自己啓発本というのは結構嫌いだ。その私がおススメするのだ。ちょっと読んでみて欲しいなぁー。えへへ。



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書評 梅本弘『ガ島航空戦』上




 本書中盤以降で面白いのはガダルカナル島上空での戦闘で米軍カクタス航空隊の搭乗員の口からさかんに零戦「ナゴヤ型」という新型機の存在が報告されることである。この「ナゴヤ型」は今までの零戦と異なり燃料タンクに自動防漏装置を装備し、速度は今までの零戦に比べ圧倒的に高速(F4Fより111キロ速い)で、並外れた機動性を持つという。


 無論「ナゴヤ型」なる新型機は存在しない。これは二号艦戦(三二型)が登場したという情報と戦場での恐怖心から生まれた新型機ではないかと著者は推測している。因みに「ナゴヤ型」として警戒されていたのは通常の零戦二一型であったようだ。


 航空機に関しては度々、me109やハインケル製ドイツ機との空戦を報告している。これはそれぞれ、零戦三二型、二式陸偵を誤認したものと思われる。これは私には結構新鮮だった。私は日本側の戦記やパイロットの手記は随分読んだが、連合国側のものはほとんど読んでいない。高性能の航空機は結構ドイツ製にされてしまっているようだ。




 本書は著者の今までの著書と同じように誤認戦果についても明確にしている。やはり今まで言われていたように連合国側に比して日本側の方が誤認が多いようだ。ファンには残念なことかもしれないが、著名な撃墜王、西澤廣義氏や太田敏夫氏、奥村武雄氏、角田和男氏等も相当の数の撃墜を誤認しているようだ。


 搭乗員に関しては『蒼空の航跡』でその技量の高さを知られる江馬友一飛曹長と推定される零戦が米軍パイロットを驚嘆させるような機動を行ったことや『ゼロファイター列伝』において三上一禧氏が唯一勝てなかったという奥村武雄一飛曹の技量の高さを知ることができる。


 さらに同『ゼロファイター列伝』での日高盛康氏の南太平洋海戦での決断の結果、米軍航空隊に多大な損害を与えたということも知ることとなった。ただ、前にも書いたように「日本が勝ったーばんざーい!」というような気持で本書を読むことはできない。


 本書を読んでいて一番感じたのは、R方面部隊を始めとする水上機隊の活躍である。水上機は周知のようにフロートを付けていることから通常の戦闘機に比べ機動性が劣る。にもかかわらずかなりの善戦をしていることが分かる。場合によっては米軍戦闘機隊と互角以上の戦いをしている場合もあり、そうでなくても米軍爆撃機から船団を護ることに関しては水上機隊の攻撃により爆撃を反らしたりとかなりの活躍をした。



ガ島航空戦上: ガダルカナル島上空の日米航空決戦、昭和17年8月-10月

商品の説明
上巻では、ガ島進攻の中継ぎとなる航空基地が整備されるまでの間、基地防空、船団の上空警戒、偵察、飛行場薄暮攻撃と八面六臂の活躍をしていた水戦、零観など水上機隊の戦闘記録も数多く掲載。これら水上機をはじめ、零戦、陸攻、艦爆、大艇などによる空戦記録を一例ごとに日米両軍の一次資料からの損害記録で照合、両軍共に過大に流れやすい撃墜戦果報告の実数、実態を追究している。
(amazonより転載)


 本書で私が一番感じたのは、米軍のパイロットは撃墜されても多くが救助されているのに対し、日本の搭乗員はそのほとんどが戦死している。それは防弾性能の悪い機体が主要な原因であり、それにより米軍に比して搭乗員の練度の低下を招いた。結局、日本軍の人命軽視の姿勢が日本空軍の戦力を奪っていくのだ。

書評 梅本弘『ガ島航空戦』上,鯑匹燹



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書評 梅本弘『ガ島航空戦』上




 本書は私にとっての名著『海軍零戦隊撃墜戦記』を上梓した梅本氏の新刊である。本書の特徴は著者が日米豪英等のあらゆる史料から航空戦の実態を再現していることだ。これは想像通りかなりのハードな作業だ。相当な時間がかかったと推測される。


 『海軍零戦隊撃墜戦記』は宮崎駿氏おススメの本で、有名なラバウル航空戦の後半部分を史料を元にして再現したものだ。後半部分というのは私の憧れ、岩本徹三飛曹長が活躍した時期の前後だ。本書はそのラバウル航空戦の初期の戦いについて記している。


 私が特に興味を持ったのは、零戦隊以外にも水上機部隊の活躍を克明に描いていることだ。ラバウル航空戦というと零戦隊の活躍ばかりが取沙汰されるが、零戦隊進出以前から水上機隊の戦いがあったことを知る人は少ない。


 水上機の戦闘記録をここまで克明に再現したのは本書が初めてではないだろうか。日本海軍最後の複葉機、零式観測機、通称零観の活躍や零戦にフロートを付けた二式水戦の活躍が描かれている。さらに九七大艇や二式大艇対B17の戦い等の記録も貴重だ。


 内容は日時から双方の損害、消費弾薬量にまで至る。かなり緻密に調べている。『海軍零戦隊撃墜戦記』では内容が単調で読むのが辛いという意見もあったが、私にはかなり興味深く読んだ。もちろん戦死した人数名前までも調べられる限り調べている。


 一般にラバウル航空戦は前半が日本の圧勝、後半は互角か苦戦というように考えられていると思うが、実際の航空戦を見ると、初期の戦いから空戦の度に日本側が大きな損害を出しているのが分かる。撃墜、行方不明の機数で言えば日本側が若干劣勢という程度であるが、戦死者の数は日本側が圧倒している。


 なぜそうなるのかというとアメリカ側は撃墜されても搭乗員が比較的救助されているのに対して日本側は防弾装備の不備によって「一発着火」していまうことや侵攻作戦であることもあり、生存率は低い。結局、総合的に見ると飛行機の損害は同じようでも日本側が一方的に多数の熟練搭乗員を失っているのが分かる。



ガ島航空戦上: ガダルカナル島上空の日米航空決戦、昭和17年8月-10月

商品の説明
上巻では、ガ島進攻の中継ぎとなる航空基地が整備されるまでの間、基地防空、船団の上空警戒、偵察、飛行場薄暮攻撃と八面六臂の活躍をしていた水戦、零観など水上機隊の戦闘記録も数多く掲載。これら水上機をはじめ、零戦、陸攻、艦爆、大艇などによる空戦記録を一例ごとに日米両軍の一次資料からの損害記録で照合、両軍共に過大に流れやすい撃墜戦果報告の実数、実態を追究している。
(amazonより転載)


 結局、救助されて再出撃することによって経験を積むアメリカ側搭乗員に対して搭乗員を消耗していく日本側というのが印象的だ。梅本氏以外の著作でもヘンリー境田『源田の剣』は彼我の搭乗員の氏名やその後まで調べているが戦闘というのは「人が死んでいる」というのがよく理解できる。


 戦記物は結構、「やった〜!日本の勝ちだ〜」というようにゲーム感覚で読んでしまいがちであるが、毎回の戦闘で死亡した彼我の兵士の人数、氏名を記されることによってゲーム感覚での読書を防いでくれる。


梅本弘『ガ島航空戦』上へ続く


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書評 戸高一成『海戦からみた太平洋戦争』




 私は実はかなり読書が好きなのだ。面白そうな本を見るとつい買ってしまう。それはそうと、最近、『海戦からみた太平洋戦争』という本を読んだ。本書は、いわゆる「大和ミュージアム」館長の戸高氏が執筆したものだ。戸高氏は戦後の生まれだが、海軍の関係者に知り合いが多いようで読み応えがある。


 本書は大きく四部構成になっており、太平洋戦争初戦期、中盤期、後期、末期となっている。内容は基本的に海軍の問題点を指摘したもので、私が知っている限りでは本書で初めて知った情報や独自の分析結果が秀逸だ。


 私が一番興味を持ったのは、真珠湾攻撃やミッドウェー海戦、その他多くの作戦がある時は連合艦隊司令部と軍令部、陸軍と海軍というように上層部間でそれぞれ別個の目的を持って行われたということだ。


 例えば、真珠湾攻撃に関していつも問題になるのが、第二次攻撃を行わなかったことの賛否であるが、本書では山本五十六を長とする連合艦隊司令部と海軍の作戦全般を作成する軍令部との見解の相違があったという。


 連合艦隊司令部は真珠湾攻撃の目的は軍事力の象徴としての戦艦を撃沈することによって米国民の戦意を失わせること。それに対して軍令部はあくまでも南方作戦を行う間、米艦隊を足止めするのが目的であった。


 軍令部としては一時的に戦艦部隊が使用できなくなればよく、二次攻撃の必要を認めず、山本も南雲司令長官に自身の作戦目的を伝えていなかった。このことから南雲中将は、命令通りに目的を達成し帰還しただけであるという。





 さらにミッドウェー海戦ではフィジー、サモアに進出を考える軍令部とミッドウェーを占領しハワイ攻略を考える連合艦隊司令部の間で作戦の目的が異なっていた。連合艦隊としてはミッドウェー基地攻略のための作戦、軍令部としてはフィジー、サモア攻略のために米国機動部隊を撃滅するのが目的と軍令部、連合艦隊司令部との間で作戦目的が異なっていた。


 このことがミッドウェー海戦の失敗の原因であったという。さらにソロモン方面での戦いはフィジーサモアを攻略するというFS作戦が中止されているにも関わらず、FS作戦の前段階であるガダルカナル島での飛行場建設を続けていた。


 ガダルカナルが攻略され、その奪還作戦においても、機動部隊には「ガダルカナル島奪還と共に敵機動部隊を撃滅」という二つの目標が設定されていた結果、機動部隊は陸軍のガダルカナル島奪還作戦を支援することが出来なかった。


 以降も作戦計画や人事等のソフト面での海軍の問題点が原因で効率的な戦闘が行えなかったことや日本海軍の砲撃が実際にはほとんど命中していなかったこと、さらに酸素魚雷の性能があまりにも良すぎたために日本海軍は水雷戦に敗北した等、面白い指摘である。



海戦からみた太平洋戦争

商品の説明
昭和の日本海軍はなぜ、日露戦争の“完全勝利”再現に失敗したのか?真珠湾攻撃後の最大の問題は、日本国民はもとより、日本海軍の当局者もすべて攻撃の成功にすっかり酔ってしまい、作戦実施上の問題を真剣に検討しなかったことにある。連合艦隊司令部は、図上演習で予想された艦隊の不備に対策を講じることなく、作戦強行のため、希望的観測に終始するようになっていった。そして迎えた、ミッドウェー海戦―。
(amazonより転載)


 本書は800円程度という低価格の割には内容が濃い。書籍や史料からの情報だけでなく、直接関係者から聞いた情報も多く含まれているので内容に迫力がある。私は時間をつぶすために本書を購入したのであるが、何時間もかけて熟読してしまった。それほど面白い内容であった。



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書評 木俣慈郎『高速爆撃機銀河』




 銀河は太平洋戦争後期に登場した陸上爆撃機である。当時、海軍には機種区分に陸上と艦上があり、空母に搭載できるのが艦上、それ以外が陸上だ。そして大きく区分すると戦闘機、攻撃機、爆撃機、偵察機がある。つまり空母で運用する戦闘機は艦上戦闘機、爆撃機は艦上爆撃機となる。


 銀河は空母で運用することを想定していない爆撃機なので陸上爆撃機となる。陸上爆撃機は銀河が海軍で初の機種だったはずである。爆撃機というのは急降下爆撃が可能な攻撃機をいう。


 銀河はという機体は珍しく、民間会社が設計したものではない。海軍の空技廠という研究、開発をする機関が独自に開発したものであった。当時の最先端の技術を使用されている反面、コストや生産効率を度外視したものが開発されることが多い。


 この銀河も最高速度546劼罰し海寮能要求を上回る高速であったが、生産効率が悪く、現場での運用も大変だったようだ。


銀河 概要
銀河(ぎんが)は大日本帝国海軍(以下、海軍)が開発・実用化した双発爆撃機。海軍の航空機関連技術開発を統括する航空技術廠(以下、空技廠)が大型急降下爆撃機として開発した機体だが、一式陸上攻撃機(以下、一式陸攻)の後継機として太平洋戦争後半の戦いに投入された。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 本書はタイトルの通り、陸上爆撃機銀河に焦点を当てた作品である。この手の航空機を中心に描く書籍は多くあるが、本書で結構意外だったのは、銀河の戦歴について主に記述されていることだ。大体、この手の本はまず、その航空機の性能要求が出された時代背景を描く、もしくは性能要求から始まり、その後、設計者の話、開発、生産、そして実戦配備から運用、終戦という構成になっているものがほとんどだ。


 つまりは航空機を本内で一回作って運用しているようなものだ。しかし本書は設計についての話はあまりない。冒頭に技術者の話と設計の話が少し出てくるが大半は銀河の運用、つまりは戦歴について書かれている。この構成はユニークだが、通常の航空機に興味のある人にとっては物足りないかもしれない。


 私は基本的に歴史が好きなので、むしろ本書の構成に好意的である。本書は銀河が参加した作戦を網羅しているようだ。「ようだ」というのは私自身が銀河の作戦について調べた訳ではないからだ。当然のようにおおよそは時系列に沿って書かれているので辞書的な使い方ができる。


 大戦中の航空機に関しては秋本実『日本軍用機航空戦全史』が日本の航空機を網羅している名著であるが、銀河の戦歴に関しては恐らく本書の方が詳しいだろう。因みに『日本軍用機航空戦全史』は全5冊の大著であるが、辞書としてかなり活用できるので大戦中の日本の軍用機ファンであれば購入しておいて損はない。


 それはともかく、本書は基本的に銀河の戦歴の資料だと思った方がいい。銀河が参加した作戦とそのアウトラインはよく分かるが、銀河に関わった設計者や搭乗員というところまで広げて考えると若干の物足りなさはある。


 銀河は特攻機としても使用されているが、その特攻に関する記述も搭乗員を中心に描く神立尚紀氏や丹念にインタビューを行っているだろう渡辺洋二氏等の著書とは異なり、事象と数量という感じで淡々と記述されている。


 これは恐らく著者が生存者へのインタビューより書籍を渉猟することを優先させた結果だろうと思う。これは私の推測だが、他の作家が関係者へのインタビューを要所要所に織り込みながら話を展開させるのに比べ、本書は関係者の証言が全くないことからも史料を中心としたデータを元に完成させたものではないかと思う。



高速爆撃機「銀河」 (光人社NF文庫)

商品の説明
太平洋戦争の最後の一年間だけ活躍した高性能爆撃機「銀河」―急降下爆撃と雷撃能力を合わせ持ち、戦闘機の追撃を振りきる速力を与えられた万能機。空技廠が戦時下の苛酷な状況下に生み出した不世出の名機の全貌を綴る感動のノンフィクション。サイパンB29基地爆撃行、沖縄特攻、梓隊など銀河の航跡を描く。
(amazonより転載)


 それでも前述のように銀河戦史の資料として活用するには有効だと思う。因みに銀河なら銀河の戦歴を調べる際は、著者によって事実誤認や主観が入るので、出来るだけ違う著者の本を多く読むのがいい。そうすることで逆にいろいろな著者の視点や価値観が分かって面白い。



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書評 神立尚紀『特攻の真意』




 特攻隊の生みの親と言われる日本海軍の提督、大西瀧治郎。太平洋戦争末期、フィリピン決戦が叫ばれる中、大西瀧治郎の発案により特攻隊は生まれた。それ以前にも個人的に敵に体当たりをしたり、小規模の特攻は命令されていたようだが、大々的に特攻隊が編成されたのはフィリピンが最初である。


 本書は特攻隊生みの親、大西瀧治郎がなぜ特攻を命令したのかを調査した本だ。ことの始まりは零戦搭乗員、角田和男氏が聴いた大西瀧治郎の特攻の真意から始まる。それは

「特攻をすることによって天皇陛下に戦争終結の聖断を仰ぎ、講和のための手段とする」

 ことであったという。この角田氏が聴いた話を当時、大西瀧治郎の副官であった門司親徳氏にぶつける。基本的にこの二人の知った情報により話は展開する。結論は上記のものになるのだが、本書は特攻隊に編成された若者、海軍上層部等をうまく描き出している。


 中には海軍乙事件と呼ばれる連合艦隊の参謀長、福留繁以下がフィリピンで捕虜になり、後日、救出される事件についても言及している。福留参謀長は、本来なら軍法会議にかけられるところを不問に付し、その後栄転することになる。


 これと比較して興味深いのは坂井三郎『大空のサムライ』に登場する下士官陸攻搭乗員達である。彼らは開戦初頭、同じくフィリピンで現地人の捕虜となるが、その後進出してきた日本軍に救出される。


 その後、日本海軍軍人が捕虜になったという事実を消すため戦死させようと最前線に送られる。編隊ではカモ小隊カモ番機といわれる第三小隊三番機のさらに後ろ四番機の位置に付けられ出撃させられる。しかし練度の高い彼らは生き残ってしまう。


 司令部はさらにポートモレスビーへの単機偵察を命じるが、それでも生き残ってしまう。そしてとうとう敵飛行場に体当たりを命じられ戦死する。高級軍人と下士官兵への対応から当時の日本海軍の体質が分かって興味深い。ここらへんの顛末は森史朗『攻防―ラバウル航空隊 発進篇』に詳しい。


 それはそうと私が印象に残ったのは大西瀧治郎の死に方である。特攻を命令した士官の多くは戦後、何事もなかったかのように平和な生活を楽しむのだが、大西瀧治郎は違った。特攻を命じた責任をとるために割腹自殺する。


 それも腹を十文字に切り裂き、さらに首と胸を突いたのち介錯も拒み半日以上も苦しんで死ぬという壮絶なものだった。その後、大西自決を知った中澤佑中将の「俺は死ぬ係じゃないから」や戦後、元特攻隊員になぜ自決をしないのかを問われた猪口力平参謀の「残された者にもいろいろ役目があるんだよ」と苦笑して答えた姿と比較すると何ともいえない。



特攻の真意 大西瀧治郎はなぜ「特攻」を命じたのか (文春文庫)

商品の説明
「特攻隊の英霊に曰す 善く戦ひたり深謝す」。昭和20年8月16日、大西瀧治郎中将はそう書き遺して自刃した。自ら企図した特攻を「統率の外道」と称しながら、なぜ数多の若者に死を命じなければならなかったのか。生存者の貴重な証言をもとに、特攻の父と呼ばれた男の謎に迫る衝撃のノンフィクション!
(amazonより転載)


 本書は戦後、大西の妻が坂井三郎の印刷店の名目上の取締役に就任したことやその裏事情等にも触れていて面白い。大西の副官門司親徳氏の聡明さも私としては印象が強かった。本書は大著ではあるが、本書の解説にもあるように推理小説のように話が展開するのでついつい引き込まれてしまう。本書を読むと著者がどれだけ調査したのかが分かる。良書だ。



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書評 角田和男『零戦特攻』

 異色の空戦記といっていいだろう。何が異色かというとうまく言えない。ただ、本書は輝かしい空戦の様子を記した本ではない。私のように零戦搭乗員の手記を読みまくった人間は本書の冒頭から意表を突かれる。搭乗員が搭乗員を目指した理由というのは、ほとんどの人が「空に憧れていたから」なのだ。


 これは空戦記が好きな人間でなくても大体想像できると思う。しかし本書の著者、角田和男氏は違う。著者は飛行機には全く興味が無かったという。家が貧しく食い扶持を減らすためだったという。少年開拓団と少年飛行兵で悩んだ結果、少年飛行兵を選んだ。


 角田氏は予科練乙種5期の出身だが、実は乙4期も受験していた。しかし、数学は満点だったものの、国語の成績が5点足りなかった。残念ながら不合格となり翌年5期生として採用された。その後、角田氏は航空兵としての訓練を受けて実戦に参加することとなる。


 多くのベテラン搭乗員がそうであるように著者も激戦地ラバウルに送られる。中でも興味深いのは連合軍が赤十字の施設に武器弾薬を保管していたことや著者が体験した慰安婦の実態だろう。慰安婦問題に関心がある人は読むべきだろう。実態の一つがよく分かる。


 それはそうと、著者が本書で一番書きたかったことはタイトルにもあるように「特攻」についてだ。本書後半部分の特攻に関するリアルな描写はかなり衝撃的であり、そして悲しい。


 ある時、著者は下士官の搭乗員宿舎に向かう。しかし隊舎に向かう途中、先任兵曹にこう言われる。

「ここは士官の来る場所ではありません」

 しかし、著者が下士官出身の特務士官であることに気が付き、搭乗員隊舎に入ることを許されるが、そこで著者が目にした光景は昼間、元気よくしていた特攻隊員達が黙って座っている姿だった。怖くて眠れないという。そしてそれを囲むように特攻隊に指名されていない搭乗員達も起きている。


 申しわけなくて眠れないという。そして翌朝、特攻隊員達は元気いっぱいに飛び立っていくという。特攻隊員の気持ちというのは指名された人間にしか分からないだろう。当然、私も分からない。しかしこういった書籍を読むことで少なくとも頭の中で理解することだけはできる。それが本の意義だ。


 本書は著者の人柄がにじみ出ている。著名な撃墜王、西沢広義が著者に部下を厳しく育てなければダメだと注意する。しかし著者にはそれが出来ない。そして列機を失っていく。しかしまた新しい部下が自分を著者の列機にしてくれとくる。そしてその部下も失ってしまう。それでも著者は部下に厳しくできない。


 著者を慕っている部下が次から次へと列機にとくるという。優しすぎる零戦乗りだった。また別のエピソードもある。著者の部下が佐官に殴られたという。著者はその佐官に殴りかかる。しかしその佐官は強かった。著者が苦戦していると今度は部下達が著者を守るために突入してきたという。


 本当に部下に愛された人だったのだと思う。そして戦後も部下達のことを毎日思い出すという。本書は私が読んだ搭乗員の手記の中でも私が特に好きなものだ。因みに本書で面白いのはフィリピンに著者がいたとき、著者の部屋にベテランパイロットたちが集まって空戦談義をするという件だ。


 そのベテラン搭乗員というのは、零戦虎徹、岩本徹三、そして西沢広義、斎藤三朗等錚々たるメンバーだった。真正面から空中戦を挑む西沢に対して、ドッグファイトには参加せず、被弾した敵機や逃げる敵機ばかりを狙って撃墜する岩本と、それぞれの戦法の違いと議論というのは面白い。


 本書は大著ではあるが、内容は充実しており、かなり貴重なものだ。是非読んでもらいたい。



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書評 神立尚紀『ゼロファイター列伝』




 以前、私が零戦搭乗員に興味を持ったいきさつを書いたが、私が零戦搭乗員に興味を持ち、夢中になって著書や研究家の著作を集めていた最も旬な時期は1995年前後であった。その当時は、終戦50年ということもあり、坂井三郎氏を始め、宮崎勇氏、杉野計雄氏、川戸正次郎氏等が相次いで自伝的な記録を出版していた。


 今考えるとファンとしてはかなり恵まれた時代だったといえるが、それでも著名な零戦搭乗員でありながら一切表に出てこない人達も多かった。そこに登場したのが神立尚紀『零戦の20世紀』だった。著者は今まで取材に応じなかった(だろう)零戦搭乗員の貴重な記録を上梓したのだ。


 その著者が近年新たに上梓したのが、この『ゼロファイター列伝』だ。本書は零戦搭乗員7名に焦点を当て、彼らの戦中戦後の生きざまについて書いている。7名の搭乗員とは三上一禧氏、羽切松雄氏、原田要氏、日高盛康氏、小町定氏、志賀淑雄氏、山田良市氏である。


 本書が興味深いのは著者が零戦搭乗員に関心を持ち、搭乗員の世界に入り信頼を得ていくまでの経過が良く記されていることだろう。まさに信頼と人と人のつながりによって今まで取材を拒んできた人達にもインタビューをすることができたというのが分かる。


 特に今まで頑なに取材を拒んでいた日高盛康氏の話を記録として残したのは貴重である。そして零戦初空戦に参加した現在ではたった一人の生存者(2016年7月現在)、三上一禧氏のインタビュー等記録として貴重なものが多い。


 内容はそれぞれの零戦搭乗員の人となりが分かってかなり読み応えのあるものだ。空中戦は才能が必要であり、三上氏は著名な搭乗員、樫村寛一氏、羽切松雄という先輩と空中戦をしても負けなかったが、後輩の奥村武雄氏には勝てなかったという。


 さらに小町氏が照れ隠しに著者に悪態をつきつつも著者の来訪を喜んでいるくだり等、読んでいてつい微笑んでしまうようなエピソードもある。



ゼロファイター列伝 零戦搭乗員たちの戦中、戦後

商品の説明
ベストセラー『永遠の0』の参考文献筆頭に上げられている、神立尚紀氏の『零戦 最後の証言』が刊行されてから15年。戦中、命を懸けて戦い、多くの戦友を失い、多くが自らの傷を負った零戦搭乗員たちは、戦後の価値観の転換に戸惑い、固く口を閉ざしていた。その彼らに真摯に向き合い、閉ざされた心を開いていった神立氏が集めた貴重な証言を元に、波乱の時代を生きた男たちの人生を描く決定版。「ゼロファイター」とは、戦時中、米英の兵士たちが、「零戦(零式艦上戦闘機)」につけた呼称。日中戦争初期、零戦初空戦で敵機を撃墜した名パイロットから、真珠湾攻撃、ミッドウェイ海戦を戦い抜き、終戦の日当日まで米軍爆撃機の迎撃に向かった者まで、零戦搭乗員として、あの過酷な戦争を戦い抜き、徒手空拳から戦後の混乱を生き抜いた、平成の若者の祖父たちの激闘と苦闘の記録である
(amazonより転載)


 零戦に興味のある人にとって本書はまさに必携の書であると思う。これからは戦争経験者が減少していく。今後はこういう生の声を記した記録類が貴重な史料となっていくだろう。そういう意味でも価値のある本であると思う。



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