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(画像はwikipediaより転載)

 

 L85(SA80)とは、1985年にイギリス軍が制式採用したブルパップ式自動小銃である。80年代に採用された小銃だけあって使用弾薬はSS109を使用する。フリーフローティングバレルをいち早く採用する等革新的な部分もあるが、欠陥や不具合が多く実戦においては死傷者も発生している。現在は改良されたA2が採用されているが、根本的な欠陥が改善されておらずA3への改修が研究されている。

 

L85(SA80)(実銃)

 

 

性能

全長 785mm
重量 4,720kg
口径 5.56mm
使用弾薬 5.56×45mmNATO弾
装弾数 30発
設計・開発 エンフィールド造兵廠

 

背景から開発まで

 第二次世界大戦でドイツ軍のアサルトライフルの洗礼を受けた英国は1945年頃よりブルパップ式で小口径のカートリッジを使用する自動小銃の開発を志向していたものの米国が7.62mm弾をNATO標準弾として採用させたため、1957年、英国も同カートリッジを使用するL1A1小銃を制式採用した。しかし1960年代後半になると第二次世界大戦、朝鮮戦争の戦訓を検討した結果、小口径のカートリッジの採用が最適という結論となり小口径ブルパップ式自動小銃の開発が開始された。

 当初は4.85mm弾の使用を想定していたものの、米国の5.56mm弾を改良したSS109がNATO標準弾となったため5.56mm弾に変更、エンフィールド造兵廠においてXL65という名称で開発が開始、1984年9月13日に制式採用に向けての合意が結ばれた。

 

開発

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(画像はwikipediaより転載)

 

 SA80は1985年にL85としてイギリス軍に制式採用された自動小銃で約350,000挺がイギリス軍に納入された。特徴はブルパップ式というストック内に機関部がある方式の銃でグリップ後方にマガジンがあるという独特のスタイルをしている。1980年代といえばM16自動小銃も新型のA2モデルとなっていた時代であったが驚いたことにこのL85は樹脂やアルミを使用せずにスチールプレスで製作されている。このため全長は短いものの重量は4,72kgとM16始め他のブルパップ小銃に比べても約1.5倍の重量がある。

 ベースとなったのは米国アーマライト社製のAR-18自動小銃でこの点においては日本の89式小銃と共にアーマライト社の血統を受け継いでいる小銃である。ブルパップ式は通常の小銃に比べ、左利きの射手には特に操作しにくいため諸外国のブルパップ小銃でチャージングハンドルを上部にもっていったり、排莢口が左右に変更できるようになっている等の工夫を凝らしているが、本銃に関しては一切そのような対策は行っていない。

 弾薬はNATO標準弾であるSS109を使用、弾倉はM16小銃と互換性のあるSTANAG弾倉を採用している。ブルパップ式の欠点である照準半径が短いという問題に対処するためステアーAUGと同様にスコープが標準装備されており、万が一スコープが使用不可能になった場合に備えてスコープ上部にアイアンサイトを装備している。本銃で画期的なのは現在のライフルで主流となりつつあるフリーフローティングバレルをいち早く搭載した点である。

 このフリーフローティングバレルとはバレルが機関部に直接装着されている以外にハンドガード等が銃身に接触していないバレルのことで、前方から見た場合、ハンドガードの中心にバレルが浮かんでいるような状態になる。このためハンドガード等がバレルに干渉することが無く命中精度の向上に貢献する。このバレルシステムと前制式採用小銃L1A1の重量に匹敵する本体重量で高い命中精度を発揮するはずであったが、実際には重量バランスの悪さや引き金の硬さから命中精度は悪かった。

 このL85が初めて実戦で使用されたのは1991年の湾岸戦争であったが、上記の不良が完全に解消されておらず現場では銃の不良による死傷者が発生している。この不具合の改良は1990年代中盤にはドイツのH&K社が担当、2001年10月18日には改良されたモデルがA2として制式採用された。しかしこの改良によっても不具合は完全には解決しなかったため、2016年9月に再び改修計画が発表された。この改修も前回同様にH&K社が担当、2025年以降の運用を目指している。

 

バリエーション

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(画像はwikipediaより転載)

 

 L85の銃身を延長して銃身下部にバイポット、ストック部にフォアグリップを装着した分隊支援火器仕様のL86、逆に銃身を極限まで短くして銃口下部にフォアグリップを装着したアサルトカービン仕様としたモデル、その他訓練用に改造された数種類のモデルが存在する。

 

L85(SA80)(トイガン)

 

概要

 1989年にLSがエアーコッキング式でモデルアップ、LSから独立したMMCがガス式でモデルアップしている。1991年にはLSがガス式で再モデルアップ、1992年にはKSKがMMCの金型を引き継いで発売している。近年ではWE-TECH、G&G、ICS社がモデルアップしている。

 

WE-TECH L85(SA80) ガスブローバック

性能

全長 795mm
重量 4,030g
装弾数 30発
初速 75m/s前後
定価 67,600円

 レシーバー、フラッシュハイダーはスチール製、アウターバレル、フロントサイト、キャリングハンドルはアルミ製で構成、通常分解は実物通りに分解が可能であり、非常にリアルで重量も実銃に近く、マガジンは同社製M4のマガジンが使用可能である。欠点としては多くのユーザーからマガジンが冷えに弱いことが指摘されている。これは海外の高圧ガスを使用sするガスガンを低圧ガスを使用する日本仕様にしたためだと考えられる。

 

G&G L85(SA80) 電動ガン

性能

全長 785mm
重量 3,250g
装弾数 450発
初速 81m/s前後
定価 72,000円

 重量は実銃に比べ2〜3割ほど軽いが機関部はスチールプレス製で主要箇所のほとんどが金属製である。ハンドガード、グリップ、チークパッドは樹脂製となっている。弾道は非常に良く、電動ブローバックであるためボルトが可動するのも面白い。しかしユーザーによって個体差がかなりあるようで新品でセミオートが作動しない等の根本的な欠陥が指摘されている。購入する際には覚悟が必要かもしれない。

 

まとめ

 

 先進的なブルパップ式自動小銃は70年代後半から80年代にかけていくつかの先進国で採用されたが、独特な構造のため問題点も多い。L85は80年代中盤に制式採用された自動小銃でありながらプレス加工を採用、重量は4.72kgと驚くような重量になっている。命中精度を追求したフリーフローティングバレルも重量バランスの悪さとトリガーの重さから命中精度の向上には貢献しておらず、各種の不具合対応に現在でも追われているのが現状である。しかし外観の無骨さや近未来的なデザインはファンの心をつかんで離さないのである。

 

 


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