百田尚樹 著
幻冬舎 (2018/11/12)

 

本書の構成

 

 『永遠の0』等の著作で有名な作家、百田尚樹氏による日本通史という触れ込みの本である。内容は時系列順に原始から現在に至る歴史の概略が描かれているが、通史というよりもそれぞれの時代の特徴的な出来事をピックアップした短編集的な構成になっている。

 各出来事の内容は基本的に一般的な教科書の内容や日本人の一般的な歴史認識に沿っているため極端な主張がある訳ではない。恐らく教科書や概説書をまとめたのだろう本文の最後に百田氏が感想を付け加えるというのが基本的なスタイルである。感想は基本的に「日本は素晴らしい」「外国から評価された」というような内容が多く、所々に推測が含まれているが、推測の多くは「推測である」と明記しているので分かりやすい。

 ただ、参考にしている概説書、若しくは教科書が若干古いようでそこが気になるところである。原始時代から江戸時代までは前述のように一般的な通説に百田氏がコメントを書いていく形式であるが、近代になると若干詳しくなる。戦後が最も興味があるようで普通の教科書や概説書には書いていない記述が多い。

 

百田尚樹氏を知るためには面白い本

 

 全体的に著者独自の視点で通史的に日本史をみるというような本ではなく、教科書的な内容の歴史が淡々と語られるが、段落の最後に「日本人は素晴らしい」という感覚的な感想部分が入ってくるというのがパターンである。このため、この部分と本文は書いている人が違うのではないのかという疑問すら感じるときがある。

 本書は基本的にネット保守や右派に向けて書かれている本だと思うのだが、女性の社会進出や識字率の高さを評価したり、南京事件についても30万人の大虐殺は虚偽だとしつつも日本軍兵士による虐殺や犯罪行為があったことは認めていたりと内容的には妙にリベラルであるが、朝鮮・韓国人は本当に嫌いなようで、この部分になると文章に熱がこもってくる。

 ただ、本文中に『日本書紀』に「大御宝」と書かれている等、『日本書紀』を読んだことがないとはっきりと分かる(日本書紀にこのような記述はない)記述等を読んでいると百田氏はあまり歴史に興味が無いのだろうと感じる。ただ、百田氏がどういう知性、価値観を持っているのかを知る上では非常に面白い本である。

 

まとめ

 

 百田氏を知るための本として読むのは面白いが、正直、歴史本としては今ひとつである。個人的な感想であるが、内容があまりにも中途半端であるため「この本、本当に読んでいる人いるのかな?」と思ってしまうことが読書中何度もあった。しかし賛成するにも批判するにも一度は目を通しておくことをおすすめする。

 

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