01_BB-61戦艦アイオワ
(画像はwikipediaより転載)

 

 第二次世界大戦のアメリカ参戦は真珠湾攻撃によって始まった。これによって米戦艦部隊は壊滅的打撃を受け、以後、空母中心の戦術に変更せざる得なくなったと言われているが実際には米国は戦中も戦艦の建造を続けて10隻もの新鋭戦艦を戦場に送り込んでいる。今回はこの10隻の戦艦についてみてみたい。

 

太平洋戦争での戦艦の活躍

 

 アメリカの第二次世界大戦は真珠湾攻撃によって始まった。この空母機動部隊が海の王者戦艦を壊滅状態にしたという空前の事件により、米国は航空機の威力を知り戦艦中心から空母中心に代えていったと言われる。この分析は正しいとはいえない。何故ならばアメリカは開戦後も戦艦の建造を続け、新鋭戦艦を10隻も戦場に送り込んでいるからだ。

 さらには真珠湾攻撃で大破着底した旧式戦艦すらも改装を行現役に復帰させている。確かに海戦の主役は航空機と空母に移り始めてはいたが、太平洋戦争初期から中期までは戦艦同士の砲撃戦も行われる等、依然として戦艦の存在は重視されていた。特に戦艦ノースカロライナ級や戦艦サウスダコタ級は戦争中期に南太平洋戦域に派遣され海戦によりかなりの戦果を挙げている。

 

ノースカロライナ級戦艦

03_BB-56戦艦ワシントン
(画像はwikipediaより転載)

 

性能

 通常排水量 35000トン
 最大排水量 44638トン
 全長 222.3m
 全幅 33m
 吃水 10m
 機関出力 12万1000馬力
 最大速力 28ノット
 航続距離 15000海里/15ノット
 乗員 1880名
 武装 45口径40.6cm砲3連装3基
    12.7cm両用砲2連装10基
    28mm機関砲4連装4基
 装甲 舷側30.5cm
    甲板14cm
    主砲30.5cm
 同型艦 2隻

 

 ロンドン海軍軍縮条約では戦艦の主砲は35.6cm以内と決められていたが、1937年にこの条約が失効したことにより各国は制限のない状態での新型戦艦の開発が可能となった。但し、本級が計画された段階ではロンドン海軍軍縮条約が延長されるかどうかは不明であり、35.6cm砲搭載艦として計画されたものを条約の失効により40.6cm砲搭載艦として設計し直したという経緯がある。

 主砲こそは40.6cm砲を搭載したものの、装甲が35.6cm砲用のものであり、40.6cm砲に対しては防御力が不足することが本級の弱点であった。さらにスクリューが動くと艦に大きな振動が起こるという問題点があった。この問題は結局は解決するも、解決するまでに数年を要した。

 本級は就役後、欧州戦域に派遣されたりしたが、海戦で敵戦闘艦と戦火を交えることはなかったが、太平洋戦域に派遣されると第二次ソロモン海戦を手始めに多くの海戦に参加することとなる。特に2番艦ワシントンは第三次ソロモン海戦で日本海軍の戦艦霧島に主砲9発を命中させ撃沈するという戦果を挙げた。

 

 

サウスダコタ級戦艦

02_BB-60アラバマ
(画像はwikipediaより転載)

 

性能

 基準排水量 35000トン
全長 207.4m
全幅 33m
吃水 10.3m
機関出力 13000hp
最大速度 27ノット
航続距離 15000海里/15ノット
乗員 1793名
武装 45口径40.6cm砲 3連装3基
   12.7cm両用砲 2連装10基
   28mm機関砲4連装7基
   20mm機関砲 35基
装甲 舷側31cm 甲板14.6cm 主砲45.7cm 
同型艦 4隻

 

 ノースカロライナ級戦艦が計画変更によって40.6cm砲を搭載したのと異なり、サウスダコタ級戦艦は当初から40.6cm砲搭載が予定されていた。このため装甲も前級に比べて厚く、よりバランスのとれたものとなった。全長は前級に比べて15mも短くなった代わりに軽量化された分は装甲の強化に充てられた。外観上は全長が短くなった分、「ずんぐり」した形状になっていることと前級では煙突が2本であったものが1本になっているのが特徴である。

 本級もノースカロライナ級戦艦と同様、戦艦同士の砲撃戦を経験している。1番艦サウスダコタ、2番艦インディアナ級は太平洋戦域に派遣され日本海軍と激戦を展開、3番艦マサチューセッツは大西洋戦域に派遣され、フランス海軍戦艦ジャン・バールと戦火を交えている。この際、マサチューセッツはフランス駆逐艦2隻を撃沈するという戦果を挙げている。

 

 

アイオワ級戦艦

04_BB-62戦艦ニュージャージー
(画像はwikipediaより転載)

 

性能

基準排水量 45000トン
最大排水量 59000トン
全長 270.6m
全幅 33m
機関出力 21万2000馬力
最大速度 33ノット
乗員 1921名
武装 50口径40.6cm3連装3基
   12.7cm連装砲10基
   40mm機関砲4連装15基
   20mm機関砲単装20基
装甲 舷側30.7cm
   甲板15.2cm
   主砲43.1cm

同型艦 4隻

 

 ノースカロライナ級戦艦、サウスダコタ級戦艦とは全く別次元の戦艦がこのアイオワ級である。前級の排水量が3万5000トンであったのに対してアイオワ級は4万5000豚、最大排水量では5万9000トン、全長もサウスダコタ級戦艦に対して60m以上も長いアメリカ海軍史上最強の戦艦であった。大型化はしたものの最大速度は新戦艦中最速の33ノット、主砲はサウスダコタ級戦艦と同じ40.6cm砲であったが、口径が50口径となりさらに強力になった。つまりは全てにおいて別次元の戦艦であったのだ。

 アイオワ級は1943年に就役すると当時最強であったドイツ戦艦テルピッツに唯一対抗できる戦艦として大西洋に派遣されるが、しばらくして太平洋戦域に移動することになる。以降、同級は戦艦同士の海戦はなかったものの、艦砲射撃に威力を発揮した。

 戦後も予備役と現役復帰を繰り返し、朝鮮戦争、ベトナム戦争に活躍する。1980年代に600隻艦隊構想により現役復帰した際には近代化改装を行い、最新の電子機器を装備した上に巡航ミサイルトマホーク、対艦ミサイルハープーン、CIWSなどが装備された世界で唯一の「ハイテク戦艦」であった。改装後はレバノン紛争、湾岸戦争に活躍した世界最後の戦艦である。

 

 

まとめ

 

 太平洋戦争は一般に航空機と空母の戦争であったと言われる。しかし実際にはまだまだ戦艦の能力に頼っていた部分は多く、特に前半から中盤に至るまでは戦艦がその主砲の威力を発揮する場は多くあった。後半になるとその機会はほぼ無くなったが、それでもレイテ沖海戦では戦艦同士の砲撃戦が行われている。

 

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