鈴木拓也 著
吉川弘文館 (2016/6/3)

 

 三十八年戦争って知ってますか?そうそう関東軍が柳条湖で満鉄を爆破して始まった戦争。。。と思いたくなる名前ではあるが、この三十八年戦争というのは超大昔、東北での律令国家と蝦夷との戦いのことなのだ。774年に桃生城への攻撃から812年まで続いた戦闘だった。この三十八年戦争についての最新の書籍が本書だ。本書は鈴木氏の単著ではなく、数人の執筆者が執筆している。

 本書は、三十八年戦争全般についてある程度詳細に記述されており、概論書としてはかなりレベルの高いものだ。ただ私は概論ってあまり面白いと思わないんだよね〜。いやぁ、なんか教科書読んでるみたいじゃん。ということなんだけど、私も昔古代史を専攻していた関係上、気になるので読んでみた。

 結論はまったく個人的なものだけど、「もう古代史に興味はないなぁ。。。」と思った。当ブログではよく太平洋戦争の書籍を紹介したりしているけど、私のルーツは歴史学で古代史が専門だった。だったというのは大学院まで行ったがあまりにも面白くないので修士で辞めてしまったのだ。今、読んでみれば面白いのかと思ったがやはりもう興味はない。私の中では完全に過去のものだった。

 話が完全に脱線してしまったが、東北政策を立体的に知りたければ本書はおススメだ。概論とは書いたがかなり詳細に記述されているし最新の研究成果で書かれている。私が面白いと思ったのは、柳澤和明氏の「九世紀の地震・津波・火山災害」だ。最新の地震データを元にして史料上からその当時の状況を詳しく書いたもの。

 当時の政権の対応が克明に記されていて面白い。被災地域への税の免除等の現実的な政策はするんだけどそれ以上にさかんに僧侶に転読をさせたりしている。神の怒りを鎮めようとしているのだろう。まあ、転読自体ただの儀式であまり意味のあるものではないのだが、意味があると思う人には意味があるのだろう。そもそも経典は読んで内容を理解しないと意味がない。

 経典を空中に放り投げて目を通すだけでは内容は分からないしフォトリーディングで分かったとしても僧侶の頭が良くなるだけで転読を行わせた人には一切利益はない。まあ、それはそうと本書は現在の東北研究の最先端を知るには格好の書だと思う。興味のある人は読んでみるといいだろう。

 

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