アルボムッレ・スマナサーラ 著
筑摩書房 (2008/2/5)

 

 著者は仏教思想では全てのものは関係しているという。例えば、豚肉を食べたとしよう。そこで食べた人間と豚の関係がある。さらに豚も食べ物を食べる。養豚場の豚であれば世話をする人がいる。豚肉を食べるという行為自体、様々な関係性の上に成立している。このように人間(自然のもの全て)が関係性の中で生きている。さらに著者は生きる目的を考えてはいけないという。存在していることが一番大切なのである。存在していること自体が誰かに望まれ、誰かを助けいてるということであろう。

 そして人生は楽しむものである。苦しい中では何も得られないという。仕事観についても言及している。仕事は好きなことをやるのではなく出来ることをやるのだ。出来ることをさらに高めるために勉強することが必要だという。これも関係性という概念で考えれば仏教の「他利」の考え方に起因していると言える。そして仏教で守らなければならないことは5つのしてはいけないこと(五戒)、4つのしなければならないこと(四摂事)があるという。

 

 五戒とは

”垰生、生き物を殺してはいけない。
不偸盗、他人のものを盗んではいけない。
I埃抂戒、性欲を満たしてはいけない。
ど毀儻譟嘘をついてはいけない。
ド坩酒、酒を飲んではいけない。

 

 である。イ亮鬚魄んではいけないというのは薬物も含まれる。理由は頭が悪くなるからである。仏教では頭が悪くなることはやってはいけないらしい。対して四摂事とは、

 

”杙棔⊃佑鵬燭してあげる。
愛言、やさしい言葉を話す。
B祥、人を助けてあげる。
な薪、人を差別しない。

 

 である。これを守った上で智慧を使って生きるのが初期仏教の教えであるという。ここで著者のプロフィールをwikipediaから引用してみる。

 

 アルボムッレ・スマナサーラ(Alubomulle Sumanasara 1945年-)はスリランカ出身の僧侶。スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老であり、スリランカ上座仏教シャム派の日本大サンガ主任長老、日本テーラワーダ仏教協会長老、スリランカ・キリタラマヤ精舎住職。日本において仏教伝道、および瞑想指導を行う。『怒らないこと』(サンガ新書)など多数の著書がある。仏教とは今この場で役に立ち、自ら実践し理解する智慧の教えであると説く。

 

経歴

1945年、スリランカのアルボ村に生まれた。名前のアルボムッレは出身地に由来する。13歳で沙弥出家、1965年に具足戒を受けて比丘となった。

スリランカの国立ケラニア大学で仏教哲学の教鞭を執ったのち、1980年に国費留学生として来日し、大阪外国語大学語学コースを経て駒澤大学大学院人文科学研究科仏教学専攻博士後期課程に進学し、駒澤大学教授奈良康明の下、道元の思想を研究した。その後、スリランカと日本両国での活動を経て、1991年に再来日し、上座仏教修道会にて仏教講演や瞑想指導を本格的に開始した。

1994年11月に、初代会長を鈴木一生として、日本テーラワーダ協会(のちの宗教法人日本テーラワーダ仏教協会)を設立し、2001年5月に東京都渋谷区幡ヶ谷にゴータミー精舎幡ヶ谷テーラワーダ仏教センターを開山し、2005年8月にスリランカ上座仏教シャム派総本山アスギリヤ大精舎にて日本大サンガ主任長老(ナーヤカ長老)に任命された。

(wikipediaより転載)

 

 初期仏教というのはあまりよく分らないがものすごく緩やかで日本人には受け入れやすい思想であろう。因みに一応世界的には日本は仏教国ということになっているらしい。この本を読んで改めて思ったのが、仏教というのは宗教ではなく哲学なんだなぁということ。まあ、宗教と哲学を分けることがナンセンスなのかもしれないが、超越的な存在が神であり、それを信じるのが宗教だとすれば、仏教はむしろ哲学に近いと思う。

 スリランカ内戦で命を狙われた若者に相談された著者は、若者に命を狙っていると思われる組織の自分に対する「殺害予告」のポスターを書かせ張り出したところ、その組織が「自分たちが殺したと思われては困る」ということで若者の警護をしたというエピソード等面白い。なんか読み終えたあとやさしい気持ちになれたのだ。

 

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