柿沼 陽平 著
文藝春秋 (2018/5/18)

 

 三国志といえば昔、NHKでやっていた『人形劇三国志』が私の中ではレジェンドだ。そこから一時期三国志にかなりはまったことがある。『人形劇三国志』の再放送をしている時に陳舜臣の『諸葛孔明』がちょうどいいタイミングで発売されたのでそれも読んだりしていた。ゲームはやらなかったけど、私に本を読む楽しさを教えてくれたのは三国志かもしれない。その三国志関係の最新のものが今日紹介する『劉備と諸葛亮』だ。

 著者は中国古代経済史を専門とする研究者で本書の中でも経済のことになるとさすがに迫力がある。今まで経済で三国志を見るというのはあまりなかったのでかなり勉強にはなった。本書で一番面白かったのは、劉備のくだりだろう。劉備は劉姓を名乗るただの貧乏人というのが一般のイメージだが、劉備の一族をたどると意外にも祖父はスーパーエリートであった。

 現在の感覚からすると劉備の家は「母子家庭」であり「生活大変そう〜」であるが、当時の中国は一族が助け合って生活しており、劉備も一族の保護の下に成長していった。学費なども一族によって出されている。確かに何で貧乏人の子の劉備が公孫瓚と同じ塾に通っていたのだろうという疑問は以前からあったがそういうことだったのだ。

 他にも関羽や張飛が当初、金だけの関係だったことや諸葛亮の国家運営等にも言及していて面白い。三国志というとファンが多いので批判されやすい。Amazonのレビューを見ていると批判も多いが、出土資料等の最新の研究成果を反映していることや経済的な視点から三国志を見ているのは非常に面白かった。三国志好きなら買って損はないと思う。

 


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