堀江貴文 著
ダイヤモンド社; 1番め版 (2013/10/31)

 

 あまりミリタリーとは関係ないが気になったので買ってしまった。堀江貴文、通称ホリエモンとは10年前、ライブドア事件で世間を騒がせた私達の世代にとっては伝説の男だ。1996年に起業し、2000年に最年少で上場、その数年後には近鉄バファローズ、さらにフジテレビの買収騒動で一躍時代の寵児となる。その後、世の中の空気を読まなかった罪で有罪。なんやかんやで現在に至る。

 そのホリエモンの自信作がこの『ゼロ』のようだ。内容はホリエモンの子供時代の結構詳しい話から現在(2013年)に至るまでの基本的にホリエモンの内面を書いたものだ。数年前に出版した時、ニコ動等でかなり宣伝していたのを覚えている。内容はかなり面白い。実は35歳くらいまで女の子とまともに話が出来なかったというカミングアウトまである。

 本書は数十万部は売れたはずだ。現在アマゾンでもそれほど値崩れはしていないので結構人気がある本だと思う。因みに本書はミリオンプロジェクトと銘打って、100万部売ることを目指していたそうだ。秋本康に意見を聞いたりしていたみたい。残念ながら100万部を達成したという話は聞かないが、本書はかなり赤裸々に自分のことを語っていて面白い。ホリエモンのものの考え方がよくわかる。

 本書の中で私が一番面白かったのは、自分は論理的に考えるが、それは自分が天才ではないのが分かっているからだという部分だ。これは目から鱗の発想であった。そう、天才は感覚なのだ。感覚は論理的なものではない。これは芸術家だけでなく、論理性が必要な学術の世界でも同じだ。

 「学術の世界は論理性が第一でしょ?」と思われるかもしれないが、それは違う。まず必要なのは発想なのだ。その発想を文系ならば論理的に補強していく。理系であるならば計算や実験によって証明する。発想無しで新しい研究というのは出てこない。人間はあくまでも主観的にしか世界をみられないからだ。ただ一つだけ残念なのは、恐らく本書はゴーストライターによって書かれたものだと思う。何故そう思うかと言われると結構困るが、全体的に癖のない平凡な文章であることや、

 

ただ目の前の快感に流されていく日々。昨日と同じ今日が続き、今日と同じ明日を迎える。

堀江貴文『ゼロ』

 

友達と一緒にゲラゲラ笑っているときも、上空には醒めた目で自分を眺める「もうひとりの自分」がいた。

堀江貴文『ゼロ』

 

 等、ネットで観るホリエモンの性格からしてまず出てこないだろう表現が頻出することなどから私はゴーストライターが執筆していると思っている。ゴーストライターとはネガティブに捉えがちであるが、私は特に悪い印象は持っていない。文章を書くのが苦手な人や老齢で文章が書けない人などの代わりに文章を書く専門家であるので立派な仕事だと思う。

 しかし、唯一の欠点は、本人が直接執筆したものに比べると行間に現れる「感情」のようなものが出なくなってしまう。文章の生々しさというか、リアリティ、臨場感。。。何と表現したらいいかわからないが、厚みが無くなってしまう。

 最高の具材を使用し、最後に人口調味料で味付けをするようなものだ。本書は内容的にはかなり面白いしためになる。仕事に対する姿勢についても言及しているので、どんな仕事の人でも参考になると思う。もしも本書が堀江氏自身の筆で書いていたら間違いなく100万部は突破したし、息の長い名著になっていたと思う。まあ、私は今までの読書経験から本書がゴーストライターの執筆だと決めつけてしまったが、もし本人の執筆であったら・・・・

 

ごめんなさい!m(__)m

 

 

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