著者は、イギリスで政治史、外交史を学び、現在は、防衛大学校教授であり、インテリジェンス関係を専門的に研究する学者のようだ。本書の内容は、タイトルの通り日本軍のインテリジェンスについて書いたものである。

 日本軍というととかく情報軽視で連合国側に次から次へと暗号を破られており、インテリジェンス能力は低いというのが一般的な意見だ。しかし、実は日本軍、特に陸軍のインテリジェンス能力はそれほど低くなかった。むしろ暗号解読という分野においては他の先進国と肩を並べるほどの高い技術力を持っていた。解読困難と思われていた米国の暗号や、いくつかのイギリスの暗号も解読していた。主に憲兵が担当していた防諜もかなり高いレベルであった。

 しかし、個々の分野での高い技術で得た情報も軍全体において総合的に運用する能力に欠けていた。例えば、情報セクションが収集した情報を情報セクションが分析せず、素人である作戦部が分析していたりしており、せっかくの情報も効果的に活かされることが少なかった。さらに海軍は通信関係での傍受の能力はそれなりに高かったものの、ミッドウェー作戦に代表されるような防諜能力の低さやさらに数度にわたり沈没した船舶や遭難した飛行機等にあった暗号書を盗まれている等、失策が多い。

 しかし、本書で著者が最も主張したかったのは、戦前、戦中の問題の日本軍のインテリジェンスの問題点が現在も継続しているということである。それは分散した情報機関とそれぞれの横のつながりの弱さ、さらに少ない予算等々。著者は、情報の軽視により戦争が始まり、情報の軽視により敗戦を迎えたにも関わらず、ほとんど総括されずに今日にいたる現状に警鐘を鳴らしている。

 

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