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紫電一一甲型
(画像はwikipediaより転載)


 昭和16年暮れ、川西飛行機が製作中の新鋭水上戦闘機、十五試水戦の陸上機化が海軍によって許可された。十五試水戦とはのちの水上戦闘機強風で陸上機化された陸上戦闘機はのちに紫電と呼ばれることになる。紫電はその後改良が加えられ太平洋戦争末期の万能戦闘機となっていく。


 当時、製作中であった十五試水戦を陸上機化する目的は時間と費用の節約であった。フロートを脚に変更するだけでそのまま陸上機として高性能を発揮するだろうという目論みであったが、強風を陸上機化するにあたり、強風が搭載していた火星13型エンジンを誉エンジンに変更することになり、結局は胴体の一部以外は再設計されることになった。


 強風を陸上機化するにあたり、当然、脚を取り付ける必要があるが、強風は空気抵抗や水面から主翼を離す目的から胴体の中央部に主翼を取り付ける中翼になっていることから長い脚が必要であった。戦闘機以外であれば長い脚は主翼内に収納できるので長くても問題にはならないが、戦闘機の場合、翼内に機銃があるため脚を収納するスペースが取れない。


 そこで考え出されたのが、二段階式引込脚であった。これは紫電の脚柱を伸縮する脚柱とし、脚柱が縮んだところで脚を翼内に収納するという方法であった。構造が複雑になったため、脚の収納には時間がかかるようになった。脚の収納時間は零戦が12秒、紫電の改良型である紫電改が9秒であるのに対して紫電は収納するまでに1〜2分かかった。後に20秒程度に短縮されたが、複雑な構造のために不具合が相次いだ。





 昭和17年4月15日、川西飛行機は紫電の試作機の製作に着手した。因みに、この時期は、母体である十五試水戦の1号機が完成直前の時期でもあった。紫電は、戦時中であったためか僅か8ヶ月で試作機を完成させ、昭和17年12月31日に脚を出した状態で初飛行。翌日の昭和18年1月1日には脚を引き込めて飛行することに成功した。


 昭和18年7月には海軍に領収され審査が開始され、昭和18年8月10日試製紫電という名称が与えられた。最大速度は574kmと零戦よりは高速であったが、当初の想定の648kmは大幅に下回ってしまった。さらに左を向く癖、視界不良、工作不良、エンジン不調、前述の脚の故障の多発等、多くの問題を抱えていたが局地戦闘機の実用化を急いでいた海軍は生産しながら欠点を改修していくということで量産を開始した。


 昭和19年10月、試製紫電は、紫電11型として正式採用された。試作機は、増加試作機合わせて8機が製造されている。エンジンは初期が誉11型(1820馬力)、後期が誉21型(1990馬力)といわれている。初期の型はオイルクーラーがカウリング内に収められていたが、後期の増加試作機ではカウリング前面下部にオイルクーラー用の空気取入口が設けられている。


 武装は機首に7.7mm固定機銃、主翼下部ポッド内に20mm機銃(99式1号3型。装弾数100発)が搭載されている。紫電11型にはいくつかのバリエーションがあるが基本的に兵装の違いだけである。まず、紫電11型であるが、紫電11型は誉21型エンジンを装備、推力式単排気管。空気取入口がカウリング前面下部に設けられていたが形は試作機と異なる。昭和19年8月には生産終了となった。


 続いて紫電11甲型(紫電甲)は機首の7.7mm機銃が撤去され、20mm機銃4挺に増加。ポッド内に2挺、翼内に2挺(99式2号3型装弾数100発)となる。機種の7.7mm機銃口はのそまま残された。紫電11甲型は、昭和19年9〜11月まで製造された。


 紫電11乙型(紫電乙)は昭和19年12月から生産が開始された改良型で、20mm機銃4挺(99式2号3型ベルト給弾式)をすべて翼内に収納した。装弾数は内側銃が100発。外側銃が200発となった。照準器もこれまでの98式射爆照準器に代わって4式射爆照準器が搭載された。さらに250kg爆弾が搭載できるようになり、機体も水平尾翼翼端を角型に整形した。


 紫電11丙型(紫電丙)は、戦闘爆撃機として使用するための実験機で97式爆弾懸吊鈎改一を4個取り付けたもの。60kg爆弾4発、または250kg爆弾2発搭載可能。珍しいものとしては、紫電マルJ型というのがある。これは、11丙型の胴体下面に500kg跳飛爆弾懸吊装置と火薬ロケット推進装置を取り付けたもので、火薬ロケットで加速した上で超高速で跳飛爆撃を行おうというものだったが試作のみに終わった。


 総生産数は1007機。各型ごとの生産数は不明だが、ほとんどが11甲型と11乙型であった。終戦時の残存機数は不明。数機が試験のためアメリカに持って行かれた。現存機はなし。


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