堀江貴文氏の著書の中で私が最もおススメするのが本書『すべての教育は洗脳である』だ。本書は学校教育が従順な平均点の人間を作るための機関であると主張する。その目的は将来、会社や工場で「労働」をするための労働力を確保することにある。故に個性や個人の才能を伸ばすことよりも指示通りに作業をこなせる人間を作る必要があるのだ。
コミュニケーション能力が過度に求められるのも会社や工場で共同作業をするために必要だからだ。このための洗脳装置が「学校」であった。しかしその時代はもう終わった。これからは自由な民として国家に縛られずに生きることができるという。本書の中でも特に面白かったのは人間をG人材、L人材に分けることだ。G人材とはグローバル人材の略で合理的思考を持ち、場所に縛られず変化を好む人材だ。
これに対してL人材はローカル人材の略で地元の仲間を大切にして過去の思い出に生きる。地元に生き、変化を好まない。これはどちらが良いかということではない。自分の嗜好によって分かれてくるものだそうだ。どちらにもそれぞれの幸せがある。私が衝撃を受けたのは「それ以外の人」の存在だ。GにもLにもなれない人はN人材となる。N人材は変化にも取り残され地元の昔からの友達もいないという孤独な人達だ。
そのN人材がすがるのが「国家」だ。そうN人材のNとはナショナル(国家)のNなのだ。彼らは自分のアイデンティティを国家や会社に求める。国家や会社と一体化することで自分のアイデンティティを確立する。この分類は私の中ではかなりリアリティがあった。私が今までボンヤリと「何でこの人はこんなに国家に拘るんだろうか」という疑問を明快に説明してくれた。
本書を読んだのは実は数ヶ月前だったのだけど、内容があまりにも濃厚なので自分の血肉にするのに時間がかかってしまった。やっと文章に書くことができたという私の中でも重要な本だ。とにかく1ページ1ページ、モヤモヤしていたものが解消していく。著者と違う考え方を持っている人も相対的に自分の考えをまとめられる。本書を読んで「自分は違う考えを持っている」と思えればそれはそれで良いことだ。これは良書。