坂口恭平 著
筑摩書房; 増補版 (2020/11/12)

 

 以前、坂口氏の『独立国家のつくりかた』という本がかなり面白かったので再び坂口氏の著書を読んでみた。本書は『独立国家のつくりかた』よりももっと内面的な表現で書かれている。同じ空間でも視点を変えることで全く違った世界に見えてくる。これは坂口氏が以前から持っている思想であろう。私達は子供の頃はいろいろな視点でものを見ることができた。例えば私の子供の頃は空地というものがまだ沢山あった。

 その空地の横にある抜け道を通ると別の学校へ入ることができたりした。その道はそれを発見した発見者達だけの秘密であったりもした。その道から入る世界とその学校の正門から入る世界というのは違う世界である。もっと身近な世界では部屋のレイアウトを変え、机の下にもぐってそこに一つの世界を構築するというようなことも確かに子供の頃やったことがある。

 坂口氏は家の中でキャンプをしたことがあるという。畳を草原に見立ててビニールシートを広げて食事をするという。坂口氏の子供は普通のキャンプより楽しそうだったという。こういう気持ちや視点というのは子供の頃誰でも持っていた。私も時々、家と家の間の隙間に入ってみたくて仕方ないが、大人としては何か別の方法を考えよう。あくまで社会に適応していないとまずい。

 子供の頃の気持ちを思い出すことができる本であった。坂口氏はうつ病を持っている。うつ病を持っている人には独特の世界観を持っている。独特の才能といってもいい。私はうつではないので分らないが、本書を読むと相当苦しいらしい。本書も苦しみながら書いているのが分かる。後半部分はかなり難解になっていって難しかったがいつか理解できる日も来るだろう。

 

 

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