ミニマム情報戦記

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 本書は相当前に読んだことがある。実は読むのは今回が二度目だ。『葉隠』といえば「武士道とは死ぬこととみつけたり」とかなり威勢がいい。しかし山本氏はこの『葉隠』を痛烈に批判する。


 『葉隠』を語ったのは山本常朝。「語った」と変な書き方をしたのは常朝自身が記したのではなく言葉を別の人間が筆記したからだ。常朝の生きた時代というのは江戸時代の初期から中期にかけての時代だった。


葉隠
『葉隠』(はがくれ)は、江戸時代中期(1716年ごろ)に書かれた書物。肥前国佐賀鍋島藩士・山本常朝が武士としての心得を口述し、それを同藩士田代陣基(つらもと)が筆録しまとめた。全11巻。葉可久礼とも。『葉隠聞書』ともいう。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 当時は戦国の空気を残してはいたが、元禄の太平の世であった。常朝は平和な時代に生まれた武士なのである。ただ、平和でも武士には厳しい掟がある。例えば無礼に対して何もしなければ斬刑、やり返せば切腹という具合に結構厳しかった。


 何故なら武士が権力を持っている根本は武士が武力を持って恐れられていることである。しかし太平の時代、武士は官僚として生きねばならなかった。「馬鹿にされてはダメ、しかし武力を行使してもダメ」そういう時代だったのである。


 その矛盾の中での『葉隠』である。「死ぬこととみつけたり」とは事が起こった時は死ぬ気で戦え、そうすれば生きることができるという考えだ。何故なら当時の武士は事が起こった時に何もしなければ斬刑という世界である。


 「死ぬ気でかかっていけば武士としての名誉が守られもしかしたら生きられるかもよ?」という結構情けない逆説が常朝の本心だという。著者は研究者らしく史料を元にして理論を構築していく、史料の引用が多すぎてちょっと面倒だが内容はかなり面白い。


 常朝が実は武芸にかなり自信のない武士だったことや実は言っていることとやっていることが全然違ったり、先代の主君には「あいつは信用できない」ということを言われたりと意外な内容であった。


 『葉隠』は「武士道とは死ぬこととみつけたり」というフレーズがあまりにも有名で、額面通りに受け取る人も多い。こういう反対意見は貴重だ。



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