私が学生時代にとある先生と話をしていた際に歴史哲学の話になり、その先生が引用したのが本書だ。意外と有名な人だったようで、もっとも有名な言葉に、


歴史とは過去と現在との間の対話である


 というものすごく有名な言葉を残している。まあ、前述「有名な人だったようで」というので分かるように私はこの歴史学者を知らなかった。因みに著者はE・H・カーというイギリスの歴史学者。専門はソビエト史だそうだ。


E・H・カー
エドワード・ハレット・カー(Edward Hallett Carr、1892年6月28日 - 1982年11月3日)は、イギリスの歴史家、政治学者、外交官。ケンブリッジ大学を卒業後、1916年から1936年までイギリス外務省に勤務。退職後、ウェールズ大学アベリストウィス校(現在、英国立アベリストウィス大学)の国際関係論(国際政治学部)の学部長に就任。
第二次世界大戦中はイギリス情報省(Ministry of Information)の職員および『タイムス』紙の記者として活動。戦後は、その親ソ的な立場が災いし、一時的に英国の学界とは距離を置く。ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジの研究員として学究生活に入った後は、もっぱらロシア革命史の研究(全14巻)をライフワークとする。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 私は最初、ソビエトの歴史学者と勘違いしていたが、イギリスのロシア・ソビエト史専門の歴史学者だそうだ。第二次世界大戦中はイギリスの情報機関に所属していた。対ソ情報戦に従事していたのだろう。


 このカーの有名な言葉はどういうことかというと、歴史家が過去を見るときは現在の問題の解決手段として過去の類例を探すというのと、あくまでも歴史家の視点というのは現在の人の視点からしかものを観られないということだ。


 要するにあくまでも現在を抜きにして歴史は語れない。現在と過去とのキャッチボールをしているのだ。そしてカーは歴史の客観性についても言及している。


 歴史はどういう視点でみるかによって変わってくる。あくまでも歴史家の思想や視点によって過去の重要な事件というのは変わってくるのだ。例えば、大化の改新とは日本人なら誰でも知っている大事件であるが、実は江戸時代には歴史家ですら注目されていなかったという。


 注目されるようになったのは明治維新で王政復古という事件で過去の類例を探した結果、大化の改新が注目されることになったという。これは聞いた話なので裏はとっていない。


 それはともかく、歴史とは歴史家の視点によって全然違くなる。あまり好きなたとえではないが、右翼か左翼かによって歴史認識が全然違うというのが分かり易い。


 現代側の問題としては歴史家が生まれた時代や歴史家の思想によって歴史の見方は変わってくる、さらに過去の問題としてはそもそも過去の人が重要だと認識したことしか史料にはならない。さらにその史料を残せたのは歴史の「勝ち組」である場合がほとんどだ。


 要するに歴史とは絶対的な客観は存在しない。歴史を研究する場合、まずは歴史家の生きた時代、その歴史家の思想を見なければならない。さらに過去の史料もどうして現代まで残ったのかを知らなければならない。


 いろいろと考えさせられる本ではあった。ただ、内容は現在の歴史研究者からみるとかなり「普通」の考えであるだろう。歴史研究者が本書をみたら100人が100人ともに納得するものだと思う。良書中の良書なので歴史を研究したいと思う人は必読だ。



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