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 本書中盤以降で面白いのはガダルカナル島上空での戦闘で米軍カクタス航空隊の搭乗員の口からさかんに零戦「ナゴヤ型」という新型機の存在が報告されることである。この「ナゴヤ型」は今までの零戦と異なり燃料タンクに自動防漏装置を装備し、速度は今までの零戦に比べ圧倒的に高速(F4Fより111キロ速い)で、並外れた機動性を持つという。


 無論「ナゴヤ型」なる新型機は存在しない。これは二号艦戦(三二型)が登場したという情報と戦場での恐怖心から生まれた新型機ではないかと著者は推測している。因みに「ナゴヤ型」として警戒されていたのは通常の零戦二一型であったようだ。


 航空機に関しては度々、me109やハインケル製ドイツ機との空戦を報告している。これはそれぞれ、零戦三二型、二式陸偵を誤認したものと思われる。これは私には結構新鮮だった。私は日本側の戦記やパイロットの手記は随分読んだが、連合国側のものはほとんど読んでいない。高性能の航空機は結構ドイツ製にされてしまっているようだ。




 本書は著者の今までの著書と同じように誤認戦果についても明確にしている。やはり今まで言われていたように連合国側に比して日本側の方が誤認が多いようだ。ファンには残念なことかもしれないが、著名な撃墜王、西澤廣義氏や太田敏夫氏、奥村武雄氏、角田和男氏等も相当の数の撃墜を誤認しているようだ。


 搭乗員に関しては『蒼空の航跡』でその技量の高さを知られる江馬友一飛曹長と推定される零戦が米軍パイロットを驚嘆させるような機動を行ったことや『ゼロファイター列伝』において三上一禧氏が唯一勝てなかったという奥村武雄一飛曹の技量の高さを知ることができる。


 さらに同『ゼロファイター列伝』での日高盛康氏の南太平洋海戦での決断の結果、米軍航空隊に多大な損害を与えたということも知ることとなった。ただ、前にも書いたように「日本が勝ったーばんざーい!」というような気持で本書を読むことはできない。


 本書を読んでいて一番感じたのは、R方面部隊を始めとする水上機隊の活躍である。水上機は周知のようにフロートを付けていることから通常の戦闘機に比べ機動性が劣る。にもかかわらずかなりの善戦をしていることが分かる。場合によっては米軍戦闘機隊と互角以上の戦いをしている場合もあり、そうでなくても米軍爆撃機から船団を護ることに関しては水上機隊の攻撃により爆撃を反らしたりとかなりの活躍をした。



ガ島航空戦上: ガダルカナル島上空の日米航空決戦、昭和17年8月-10月

商品の説明
上巻では、ガ島進攻の中継ぎとなる航空基地が整備されるまでの間、基地防空、船団の上空警戒、偵察、飛行場薄暮攻撃と八面六臂の活躍をしていた水戦、零観など水上機隊の戦闘記録も数多く掲載。これら水上機をはじめ、零戦、陸攻、艦爆、大艇などによる空戦記録を一例ごとに日米両軍の一次資料からの損害記録で照合、両軍共に過大に流れやすい撃墜戦果報告の実数、実態を追究している。
(amazonより転載)


 本書で私が一番感じたのは、米軍のパイロットは撃墜されても多くが救助されているのに対し、日本の搭乗員はそのほとんどが戦死している。それは防弾性能の悪い機体が主要な原因であり、それにより米軍に比して搭乗員の練度の低下を招いた。結局、日本軍の人命軽視の姿勢が日本空軍の戦力を奪っていくのだ。

書評 梅本弘『ガ島航空戦』上,鯑匹燹



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