山田雄司 著
角川学芸出版 (2016/4/26)

 

 本書は、タイトルの通り、忍者の歴史について書いたものである。私がこの本を購入したのは、本書の著者が学者だったからだ。忍者やそれに類するものについて書かれているものは多いが、ほとんどが一般人のものだ。私も一応大学院で歴史学を学んだものとしてアマチュアとプロの違いというのは痛い程分かる。

 その専門家が忍者の歴史を執筆したというのが面白い。私は以前から忍者について多少の興味はあった。ということで今回、立ち読みもせずにアマゾンで購入してしまった。内容は忍者の辞書というようなものだろうか。忍者の歴史から世間の忍者イメージの変化等興味深く読んだ。

 忍者の小道具や心得等も詳しく解説されている。忍者というと敵の城に忍び込んで暗殺をしたり、夜中に短刀を逆手に持って切り合いをしたりするイメージがあるが、実際は戦いというのは敬遠されていたそうだ。というのは、忍者の主任務は情報収集である場合が多く、戦ってしまうと情報を味方に届けることが出来ないためだ。

 南北朝時代に忍者の活躍が始まり、戦国時代には大名の多くは忍者を雇っていたという。忍者の任務は情報収集から放火等におよび、見えないところで活躍した。江戸時代になると幕府の警備兵や御庭番という任務が与えられたようだ。御庭番とは他国に侵入して情報を収集してくる人、要するに忍びだ。

 そして私が一番印象に残ったのが、江戸時代初期の1637年、島原の乱が起こったがここでも忍者が原城(?)に侵入して情報収集や食料を盗み出したりしている。面白いのが侵入した忍者が穴に落ち、仲間に助けられて辛うじて逃げ帰ったことだ。

 戦国時代が終わってすでに30年位経った時代であった。もう戦国時代を経験した忍者は老齢で現役ではないだろう。忍者の技術は伝承されており、若い忍者が初の実戦ということでこういう失態があったのではないかと私は考えてしまった。戦争を知らない世代の忍者ということだろうか。

 本書は忍者が好きな人にはもちろん面白いと思う。この手の本は基本的に素人が書く場合が多いが本書は専門家によって書かれているので内容にも信ぴょう性がある。内容は古代史料にみえる忍者から江戸時代さらには近代の中野学校で教えた最後の忍者にまで及び面白いと思う。歴史が専門の人もこういう視点で歴史をみるというのもいいと思う。

 

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