不定期更新です。 更新は気分次第でーす(^_-)

 日本軍が補給を軽視していたというのはよく言われることである。本書は海上護衛総司令部の参謀として太平洋戦争に参加した著者が「海上護衛」という観点から太平洋戦争を見たものだ。私は基本的に亜流の人間なので読むものも亜流なのだ。


 海上護衛戦とは何か。これは著者が命名した輸送船団護衛の戦いのことである。感想から言えば、これは面白い。新刊でも800円程度だったはずだけど、この内容、ボリュームで800円というのは定価が安すぎるのではないかと思うほどだ。


 アメリカはイギリスへの物資輸送でドイツの無制限潜水艦戦の威力をまざまざと見せつけられた。無制限潜水艦とは、乗員(民間人)の生命を無視して攻撃を行う潜水艦戦のことである。人間は成功より失敗から学ぶ。アメリカはこれによって潜水艦による船舶攻撃の威力を知り自らが行うことにした。


 しかし、太平洋戦争初期の日本は幸運の連続だった。真珠湾攻撃は予想外の大成功をし、同時に行われたフィリピン攻略では日本海軍機が投下した爆弾がたまたまアメリカ軍の魚雷庫に命中。以後、アメリカ軍は無制限潜水艦を行おうにも魚雷がなく行えなかった。


 これは日本は船舶の損害を予想外に低くすることとなった。さらに海戦初頭のアメリカ製魚雷は性能が悪かった。これらの幸運は日本に災いした。当初の予想より損害が下回ったため、日本は海上護衛戦を軽視することとなった。海上護衛戦には護衛用の艦船が必要である。


 護衛に使用できる艦船は爆雷を装備しており、尚且つ航続距離の長い艦船でなくてはならない。駆潜艇は爆雷は装備しているものの航続距離が短すぎて使用できない。海防艦は航続距離は十分でも開戦当初は爆雷を12個しか積んでおらず潜水艦相手には少し弱かった。そうなると日本の軍艦で護衛に使用できるのは駆逐艦ということになるが、駆逐艦は基本的には海上護衛には回されなかった。


 これは日本海軍が海上護衛を軽視していたことと前述の初戦での輸送船舶の損害の軽さがもたらした結果だ。この状況はガダルカナル撤退後まで続いた。その後船舶の損害が徐々に大きくなり日本も海上護衛総司令部を設置して対応したが、海上護衛には二線級の艦船しか配備されなかった。


 著者はシーレーンの確保が日本のような島国には最重要だと考える。そのために海上護衛が必要であり、それを維持するために艦隊決戦が行われる。という順序でなければならないという。これは主流派の海軍上層部にいる人間には出てこない発想だろう。



海上護衛戦 (角川文庫)


商品の説明
いわゆる戦争について書かれた書物の中で、「護衛」に関したものは、特に日本では少ないであろう。太平洋戦争当時においても、上陸作戦との関連においてはともかく、通商保護に関してはほとんど関心を持たれていなかったらしい。しかし、資源小国の日本にとって、太平洋戦争の開戦の理由の大きな部分は南方の資源の確保にあったはずであり、その輸送路が断たれれば戦争継続はおろか国民生活にも重大な支障となることは明らかであった。そしてそれは現実のものとなったのである。
著者は、昭和18年から終戦まで海軍で海上護衛総司令部参謀を務めていた。もっとも、総司令部といってもその戦力はお粗末なものであり、軍備の劣る老朽艦や小型艦ばかりが配備されていたという。遠洋航路の大型商船にとっては速度が遅い護衛船ではかえって足手まといになるケースもあった。また、護衛作戦についても満足な知識を持つものは少なく、素人の集まりといってよかった。
本書からは、軍上層部の護衛への無理解に対する著者の歯噛みが随所に伝わってくる。護衛は戦果を挙げることがほとんどなく、味方が被害を受ければ非難される損な役回りだ。そして、その重要性は極めて大きいのにほとんど評価されることはない。
現在の日本は、戦時中以上に海外に資源を依存している。すなわち、シーレーンの重要性は当時よりはるかに増しているのだ。この問題について考えるとき、戦時における貴重な体験記として、本書の持つ役割は決して小さくないだろう。
(amazonより転載)

amazonレビューを見たい人はこちら!
amazonレビュー


 結局、シーレーンを破壊された日本は物資が欠乏し敗北した。基本的には物資を自給できるアメリカと日本は国力からみればどうやっても勝てないが、戦争に最善を尽くしたとは言い難い。補給が戦略を決定することを歴史から解明した『補給戦』などを見るまでもなく補給は最重要だ。堀栄三『大本営参謀の情報戦記』と並んで本書は太平洋戦争の本質を理解する上で重要だ。



ミリタリー(模型・プラモデル) ブログランキングへ
↑良かったらクリックして下さい。






トラックバック