自衛隊を長年ルポルタージュしてきた著者が2009年に上梓したのが本書である。客観に徹しつつも全体として現場自衛官への愛情にあふれた本といえる。私としては全体的に現場自衛官側に視点が偏り過ぎているような気もするが、批判的な部分もみられ全体としては視点のバランスは良いと思う。
私が本書で興味深く感じたのは田母神元空幕長との対談?で、権利、自由を主張する田母神氏に対して、自衛隊が「日陰者」であることを愚直に遂行してきたと考える著者の視点の違いが面白かった。田母神氏が「権利」を主張するのに対して著者は「武士としての責任」というような情緒的な視点で議論は平行線をたどったようである。
どちらが正しいということはそれぞれの価値観なのでどうでもいいが、本書中にある防衛大臣が辞任を要求したのに対してそれを突っぱねた田母神氏は「軍人」として命令無視にあたるのではないかという視点は的確であった。
他の読者の感想も掲載してみた。全体的に批判的な意見が多いようだ。中には多少感情的になっている方もいるようだ。私が本書を読んだ感想としては、冒頭にも書いたが、全体を通して自衛官に感情移入し過ぎているように思える。どうしても長年同じテーマを追っているとその対象に何かしらの情を持ってしまうものである。これはジャーナリズムや学問の世界にも通ずる問題点でる。客観的であることの難しさがここにある。
↓良かったらクリックして下さい。
人気ブログランキング