M・Vクレフェルト 著
中央公論新社 (2006/5/1)

 

 日本人が最も苦手なものなのかもしれない。私は戦史を読むのが昔から好きだったが、太平洋戦争での日本軍の惨敗はまさに補給が遮断されたことによると思う。「輜重兵が兵ならば蝶やトンボも鳥の内」等と言われていたと聞く。輜重兵とは補給部隊のことである。

 精鋭を誇った日本陸海軍は太平洋戦争開戦時には破竹の進撃を続け、東南アジアを航空撃滅戦でわずか数か月で制圧した。しかしミッドウェーで海軍の主力空母を失い、ガダルカナルでのアメリカ軍の反攻作戦が始まると日本軍は持前の補給力の弱さをさらけ出す。何とか兵士を前線に送っても、武器弾薬、食糧が届かないということはザラであった。一説には日本兵の死者の六割は戦病死だという。

 こんなことを書いたのは補給というのが軍隊の生命線であり、最重要と言っていいものであることを分って貰いたかったからだ。今日紹介する『補給戦』は著者、クレフェルトが古代から現代までの戦闘を「補給」という視点からみた兵站研究の古典ともいえる本である。

 戦史はヨーロッパに限定されているが、古代の補給は現地調達(要するに略奪)であったことは想像に難くない。しかし補給を重視したと思われているナポレオンは実は補給をしないことで成功した戦略家であったことや、鉄道補給で有名なモルトケも実際は鉄道補給は機能していなかった等、丹念にデータを抽出して論証している。

 本書を読んでいると、近代戦とはまさに「補給戦」であると痛感する。そして時代が下れば下る程「補給戦」の重要性は高まっていく。補給や兵站等、華やかではないので興味がある人は少ないと思うが、軍隊を知る上では最重要である。興味があれば本棚に置いておいて損は無いと思う。

 

↓良かったらクリックして下さい。

人気ブログランキング