梅本弘 著
大日本絵画 (2011/9/6)

 

 今日は私が零戦搭乗員オタクから一時期手を引いていた時に「しれーっ」と発売されていたのが本書。まあ、「しれーっ」ととは私の勝手な印象なのだが。これ、私が昔やろうとしていたことなんだよね。戦闘行動報告書を調べて撃墜数を知る。さらに彼我の戦闘報告書を調べて実際の空戦を再現すること。

 なぜやらなかったのかというとこれは大変な労力が必要なのだ。私がやろうとしていた当時、1995年前後は、まだインターネットはほとんど普及しておらず、戦闘行動報告書を調べるには防衛庁の戦史編纂室?に行かなければならなかったのだ。ということでこの計画は私の完全な妄想で終わってしまって月日は流れ・・・。

 ふとネットを見てみると(現在、もう電脳社会になっている)、すごい労力をかけやった人がいる。それが著者梅本弘氏だった。本書にも書いてあるが彼我の戦闘報告書を調べるのはもちろん(当然、外国のものは外国語)、日本を含めた参加国の人が書いた戦記を読破した挙句に執筆したのが本書なのだ。労力はハンパじゃない。

 その結果、彼我の戦闘の実態が「ある程度」判明した。「ある程度」とは彼我の報告書を突き合わせても分らないことも多いのだ。今では良く知られていることだが、日米双方ともに戦果を過大評価している。結構、衝撃的だったのは私の憧れのヒーロー、岩本徹三のラバウル航空戦での戦闘行動報告書に記載されている撃墜数は何と20機であった。

 その20機すらも過大に報告された戦果である可能性は否めない。岩本徹三は自著でラバウル航空戦での自身の撃墜数を142機と主張しているが実際は・・・。日中戦争での撃墜14機というのも異論があるようだし、実際のスコアは多くて30〜40機程度だろうなぁ、等と思ってしまうのだ。

 これに対して15機撃墜のエース仲道渉の撃墜戦果はほとんどの場合、相手国の報告書で確認できるという。仲道渉は丙飛4期出身で当時はまだ若年搭乗員であった。必ずしもベテランの撃墜戦果が確実で若手の戦果が誤認であるとは言えないということも本書から分るのだ。

 値段的にちょっと勇気がいるが戦史が好きな人だったら絶対に勝っておくべきだろう。いずれ絶版になるだろうから・・・。

 

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