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 長野喜一は戦闘機搭乗員の操練最後の期である56期出身で総撃墜数は20機以上ともいわれる搭乗員である。開戦時にはまだ10代という非常に若いパイロットであったが、激烈なラバウル航空戦に参加、幾度も死線をくぐり抜けていった。戦争後期には台湾沖航空戦、比島航空戦に参加するが比島において空戦中に戦死する。


日本海軍戦闘機隊のエースとは


概要
 大正11年静岡県生まれ。昭和14年6月海軍に入団。昭和16年7月56期操練を卒業。10月千歳空に配属され、開戦を迎えた。昭和17年6月2空に異動。内地帰還。8月ラバウルに進出。昭和18年7月厚木空、ついで203空戦闘304飛行隊に異動。昭和19年4月北千島に進出、防空任務に就く。捷号作戦、台湾沖航空戦、比島航空戦に活躍したが、11月6日バンバン上空で戦死。



 長野が修了した操練56期とは冒頭にも書いたが戦闘機搭乗員最後の操練であり、以降の戦闘機搭乗員養成は予科練に統合される。ここで予科練について説明しておこう。予科練とは海軍飛行予科練習生の略称で昭和5年に成立した搭乗員養成課程であった。応募資格は高等小学校卒業程度の学力を有する14歳〜20歳までのむろん男性だ。


 当時の学制が分らないと予科練の制度は理解できない。当時は義務教育として尋常小学校があった。これは現在と同じで6歳から12歳まで教育を受ける。その後、進学する者は2年間の高等小学校、若しくは5年間の中等学校に通う。予科練は高等小学校卒業程度の学力が必要であった。




1/32 エアークラフト No.17 1/32 三菱 零式艦上戦闘機 二一型 60317



 昭和12年に新たに旧制中学校4年生以上の者を対象に甲種予科練制度が発足する。これによりそれまでの予科練は乙種予科練となる。さらに昭和15年、海軍の部内選抜である操縦練習生も予科練に統合されて丙種予科練となる。因みにこの甲乙丙というのは学歴基準の序列であり乙、丙種予科練出身者にわだかまりを残すこととなった。


 長野喜一に戻ろう。長野は最後の操練56期を修了した。同期には台南空の撃墜王吉村啓作(12機撃墜)、河西春男(11機撃墜)、さらに水上機から陸上機に転科したエース、ジェロニモこと甲木清実(16機撃墜)、艦隊戦闘機隊のエース白浜芳次郎(11機撃墜)がいる。



1/32 エアークラフト No.18 1/32 三菱 零式艦上戦闘機 五二型 60318



 長野は操練終了後、千歳空に配属される。千歳空は内南洋防衛の陸攻、艦戦の混成部隊である。この方面ではほとんど戦闘は無く、哨戒と訓練に日々勤しんでいた。しかし、昭和17年1月にラバウル占領と共に千歳空派遣隊として一部がラバウル進出。さらに5月にも一部部隊がラバウルに派遣されている。


 長野はこれら2度にわたるラバウル派遣隊に参加することはなく、6月には、同年兵の山本留蔵とともに艦戦、艦爆の混成部隊である2空(のちの582空)隊員として内地に帰還する。しかしこの2空も2ヶ月後の8月にはラバウルに進出する。長野も2空搭乗員としてラバウル進出する。この2空の戦闘については同時期に2空に在籍した角田和男の著書『零戦特攻』に詳しい。


 1年に及ぶ激烈なラバウル航空戦を生き抜いた。この間の撃墜数は582空一だったという。昭和18年7月、1年振りに内地に帰還、厚木航空隊に配属される。厚木航空隊は、のちに首都防空のエース部隊として活躍するが、この時点では艦隊搭乗員の錬成部隊であったので、恐らく教員配置であろう。


 厚木航空隊は昭和19年2月20日に203空と改称される。203空は本隊と木更津の派遣隊に別れるが、長野は本隊に所属した。因みに木更津派遣隊は3月14日、302空に編入される。


 長野は203空隊員として北千島に進出。北方の防空任務に就いた。この時期、203空には、開戦以来、共に転勤をしてきた山本留蔵、さらには、当初、長野と同じ千歳空に所属していた西澤廣義飛曹長もいた。この時期、203空は戦闘303、304飛行隊の2個飛行隊に別れるが、長野が所属した戦闘304飛行隊の隊長はのちに343空で活躍する鴛渕孝大尉であった。


 長野はその後、203空と共に九州に移動するが、6月には北千島で開戦以来、同じ部隊で過ごしてきた同年兵の山本留蔵上飛曹が戦死している。


 九州に移動した長野は、10月には台湾沖航空戦に参加する。長野も戦闘304飛行隊隊員として九州出水基地から沖縄に進出。敵機動部隊攻撃に加わった。台湾沖航空戦ののち203空は、比島に展開。米機動部隊と熾烈な航空戦を展開する。長野も多くの空戦に参加するが、昭和19年11月6日バンバン上空で戦死する。

2015年1月22日初稿。
2019年7月3日加筆修正。


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