不定期更新です。 更新は気分次第でーす(^_-)

藤田怡与蔵
(画像はwikipediaより転載)


 藤田怡与蔵少佐は、岩本徹三、西澤廣義、坂井三郎等に比べると知名度は今一つであろう。しかし撃墜42機ともいわれるエースである。藤田は撃墜王には珍しく海軍兵学校出身の士官であり、それも海兵66期出身という、太平洋戦争開戦前に中国戦線を経験した最後のクラスであった。それ故にもっとも使い勝手が良く、終戦まで酷使されたクラスである。


日本海軍戦闘機隊のエースとは


概要
 大正6年中国山東省に生まれる。昭和13年9月海兵66期を卒業。昭和15年6月第33期飛行学生を終了。大分空で延長教育を受ける。昭和15年11月修了し、同航空隊の教官となる。昭和16年9月蒼龍乗組。12月8日の真珠湾攻撃が初陣であった。昭和17年6月ミッドウェー海戦では共同撃墜7機を含む10機を撃墜する。内地帰還後、分隊長として飛鷹乗組。10〜12月中旬までガダルカナル航空戦に参加する。昭和18年4月には、「い」号作戦参加のため再度ラバウルに進出。6月築城空に異動。11月飛行隊長として301空に配属される。昭和19年7月飛行隊長として戦闘402飛行隊に配属。台湾沖航空戦、比島航空戦に参加。昭和20年1月内地に帰還。福知山基地で終戦を迎えた。


 藤田は大正6年生まれ。海兵66期出身。飛行学生を修了したのち、昭和15年11月大分航空隊戦闘機実用機教程を修了、同航空隊の教官となった。因みに教員配置は、士官は教官、下士官は教員という。その後美幌航空隊に配属され中国戦線に進出したが実戦の機会はなかったようだ。


 半年ほど勤務したのち、1941年9月、空母蒼龍乗組となる。その後真珠湾攻撃に参加、ウェーク島攻略、コロンボ空襲と機動部隊の一員として活躍する。蒼龍乗組としてミッドウェー海戦に参加、その後、ラバウル航空戦に参加する。フィリピンには341空飛行隊長として戦闘に参加、本土に帰還後は一瞬だけ343空に配属されるもすぐに601空に転属させられた。



1/32 エアークラフト No.17 1/32 三菱 零式艦上戦闘機 二一型 60317


 前述のように海兵66期は酷使された。同期で戦闘機に配属されたもの11名中生存者は5名。死亡率は54%に達する。しかし66期はこれでも生存率が高いクラスであったといえる。前期の65期は死亡率87%、後輩に当る67期も死亡率87%であった。具体的に人数でいうと66期が5名生存しているのに対して67期は3名、65期に至っては戦争を生き抜いたのは1名のみだった。


 このようにこのクラスの士官は絶えず最前線に駆り出され消耗していったのだ。それはともかく藤田の話に戻ろう。藤田は真珠湾攻撃で初空戦を体験して以来、小隊長として撃墜を重ねたようだ。士官搭乗員の撃墜数は少ない。なぜなら士官とは戦闘全般の状況を見ながら指揮官として部下を誘導したり指示したりする監督の役割だからだ。自分が実際に戦闘をして撃墜するという状況はあまりない。


 現に海兵59期で日中戦争から太平洋戦争の前半に零戦隊隊長として活躍した横山保中佐ですら撃墜数は5機しかない。同様に不敗の零戦隊202空の名隊長であった鈴木實も横山と同期であり、日中戦争以来のベテランであったが撃墜数は5機、零戦初空戦時の指揮官であった進藤三郎中佐に至っては撃墜数でいえば欧米でいう「エース」にすらなっていない。



1/32 エアークラフト No.18 1/32 三菱 零式艦上戦闘機 五二型 60318


 これに対して「敵機撃墜」を主任務とする同世代の下士官は20機、30機撃墜のエースがキラ星の如く輩出した。このように士官と下士官には職務に違いがあり、士官が撃墜を重ねるというのは珍しいことであった。藤田の撃墜数についてはヘンリーサカイダの著書によると42機、秦郁彦『エース列伝』によると10機以上となっている。


 実際に何機撃墜したのかは分からないが、藤田氏の戦いについては以下の本に詳しい。リンクを貼っておいた。



零戦隊長藤田怡与蔵の戦い (光人社NF文庫)



伝承零戦空戦記〈1〉初陣から母艦部隊の激闘まで (光人社NF文庫)


 この藤田氏、かなり人望のある人だったようだ。最後の福知山時代の部下が藤田を評してこのように言っている。

「ざっくばらんで、きさくな人柄だが、自分の功績を一言も言ったことのない人で、なんとなく人をひきつける何かがあって、この隊長となら安心して戦いが出来るという信頼感を部下に与える人だった」

 藤田は戦後、公職追放のため職業を転々とした後、日本航空のパイロットとして世界の空を飛びまわった。日本で最初のボーイング747の機長となり1977年退職した。そして2006年肺がんのため死去した。

2015年1月8日初稿。
2019年6月13日加筆修正。


↑良かったらクリックして下さい。