VZ61
(画像はwikipediaより転載)

 

 Vz61はチェコスロバキア製のサブマシンガンである。実銃では比較的マイナーな銃ではあるが、独特の形状と使い勝手の良さから「その筋」の方には重宝されているようで、各種口径が発売されている他、民間向けにセミオートのみのモデルも発売されている等、比較的人気がある。日本のトイガンでも意外と人気のあるモデルである。

 

VZ61スコーピオン(実銃)

 

 

性能

口径 7.65mm
使用弾薬 32ACP弾(7.65x17mm弾)
全長 270mm(ストック伸長時517mm)
重量 1,280g
発射速度 850発/分
装弾数 10、20、30発

 

概要

 Vz61は、戦車兵や通信兵などの後方支援要員の護身用にチェコスロバキアのチェスカー・ズブロヨフカ国営会社で開発された短機関銃で、1950年代後半にミロスラフ・リヴァージュによってM59という名称で開発された。1961年に完成、そのままチェコスロバキア軍に制式採用された。使用弾は7.65mm×17mm弾で威力は低いものの同時に反動も低く抑えられることからサブマシンガンの弾薬としては操作性に優れている。

 さらにコンパクトに収められたストックとフォアグリップ代わりに使用できるマガジンを装備している上に発射速度を調整できる機能を持っているため小型サブマシンガンとしては操作性は比較的高い。このため各国の公安機関で特殊な工作に携わる職員やテロリストにも愛用されている。

 当初は32口径(7.65mm)のみであったが、その後、380ACP弾(9×17mm弾)仕様のVz64、9mmマカロフ弾(9×18mm)仕様のvz65等も開発された。さらにスタンダードな拳銃弾である9mmパラベラム弾(9×19mm)仕様のVz68も存在する。1984〜1992年までユーゴスラビア(その後セルビア)によってライセンス生産されたM84や民間市場向けにセミオート仕様に改造したCZ91S等があり、現在でも多くの国、地域で使用されている。

 Vz61の構造は、セミ・フル切替式のクローズドボルト機構を採用したストレートブローバックで、エジェクションポートは上部にある。木製グリップ内に収容された発射速度調整装置(レートディリューサー)により1000発/分から850発/分まで調整することが可能である。ストックはレシーバー上部に被せるように折り畳むことができ、使用する際は半回転させて銃後部に固定する構造になっている。

 

VZ61スコーピオン(トイガン)

 

 トイガンでは1981年に唯一ハドソンからモデルガンが発売されている。エアガンでは1987年に東京マルイがエアコッキング式を発売、1988年にはヨネザワからガスガンが発売されている。さらに1997年には東京マルイから再びエアコッキング式が発売、2007年4月には東京マルイから電動ガンが発売されている。2010年頃にはマルゼンがガスブローバック式でモデルアップ、2014年9月26日にはKSCが同じくガスガンで発売している。他には2018年4月に東京マルイがオリジナルモデルのmod.M、2020年12月にはさらにデザートモデルであるmod.Dを発売している。

 

ハドソンVz61スコーピオン モデルガン

 モデルガンでは1981年にハドソン産業が金属製モデルとして発売している。大きさが短銃以上、長銃以下であったため短銃型金属製モデルガンは白または黄色に塗装しなければならないとした46年規制の対象になるか意見が割れたため金メッキ仕上げで発売されたり黒色で発売されたりした。結局、長銃と判断されたことで黒色となった。

 昔のモデルガンでは当然であったが、作動は非常に悪く、取扱説明書にも「火薬を使用したブローバック作動はお勧めいたしません」と驚くようなことも書かれているほどであった。実物はクローズドボルト方式であるが、ハドソン製はオープンボルト方式となっている。

 

東京マルイ No.5 スコーピオン Vz.61 本体セット

性能

全長 270mm(522mmストック伸長時)
重量 1110g
装弾数 58発

 

特徴

 レシーバーは樹脂製、フレーム、ストックは金属製。トリガープルは0.9kg、セミのレスポンスは若干鈍い。初速は75m/s前後、東京マルイ製電動ガンなので命中精度は非常に高い。オプションパーツに純正ドラムマガジン等もあるので楽しめそうだ。バリエーションにModMがあるが、これは東京マルイオリジナルである。20mmレイル 、マズル部分は14mm逆ネジ対応、M-LOKレイルシステム対応等、実銃での流行をきちんと把握したものになっている。

 

マルゼン Vz61 スコーピオン 18歳以上 ガスブローバック サブマシンガン

性能

全長 270〜520mm
重量 1056g
装弾数 30発

 

特徴

 トリガープルは0.8kg。初速70m/s強。クローズドボルト方式でホールドオープンもする。フィールドストリッピングはピンを一本外すだけで出来るものの、ホップ調整にはフィールドストリッピングが必要である。マルゼンの製品だけにデフォルトの命中精度は高いと思われるが、反動が強いため正確に当てるのは熟練が必要である。

 

KSC Vz61 HW 18歳以上ガスブローバックガン

性能

全長 273mm(ストック展開518mm)
重量約 1,550g
装弾数 20+1発

 

特徴

 HW材採用でカーリッジをフル装填した状態の実銃と同重量を再現している。このため軽量さを求めるサバイバルゲーマーには敬遠されるかもしれないが、リアル志向のファンには歓迎されるだろう。マグネシウムボルトにシステム7エンジン、新型チャンバーを採用しているので、命中精度、反動共に高い水準にある。初速70m/s前後、フルオートだと若干低下する。サイトは前後とも可動式である。

 

比較

 一番の違いは重量と装弾数だろう。東京マルイは58発、マルゼンは30発、KSCは20発とかなりの違いがある。重量はマルゼンの1056gに対してKSCは1550gと1.5倍の違いがある。装弾数に関してはKSCが実銃と同じ20発でマルゼンが30発となっている。マルゼン製は外観が若干ディフォルメされているようだが、その分実射性能は高いという感じだ。欠点はマガジンの冷え位で大きな欠点は見当たらない。

 総合的に判断すると実射性能のみを追求するのであれば、間違いなく東京マルイ製電動ガンだろう。それとは別に実銃の操作感、反動等を楽しみたいのであればガスブロということになる。ガスブロは、どちらの銃も甲乙付け難いが、リアリティを追及するのであればKSC、実射性能を追求するのであればマルゼンといったところが定番の答えのようだ。

 ただ実射性能といっても大きな違いは装弾数が20発か30発かということ位だろう。それと重量。私としてはゲーマーのようにゲームでの使用を前提とするのであれば、装弾数が多くて軽量なマルゼン製。これに対して銃自体が好きなモデルガン系お座敷シューターにはKSC製だろう。

 

まとめ

 

 KSC製は重量が実銃と同じで装弾数も実銃と同じというこだわり抜いた仕様だ。2社のスコーピオンの性能を比較してみると、実射性能に関してはどちらも甲乙付けがたいという感じだろうか。マルゼンのガスガンの欠点はマガジンの冷え、セレクターの表示が20→30になっているということ位だろうか。これに対してKSCの欠点は特に無いみたいだ。但し、マガジンの冷えに関する欠点はこっちも同様だろう。KSCの装弾数が20発と少ないことが気になるが、重量が実銃と同じであること(フル装填した状態と同じ)がポイント高い。マルゼンは実射性能を優先し、KSCは外観を含めたリアリティを優先したというところだろう。

 


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