
(画像はwikipediaより転載)
H&K USPピストルとは、毎回面白ギミックを搭載したハンドガンを開発していたH&K社が初めて開発した普通のハンドガンである。ポリマーフレームを採用したオーソドックスなスライドストップ、サムセイフティを搭載した結果、ほとんど欠点のない究極のハンドガンとなってしまった。使用弾薬は9mmパラベラム弾、40S&W弾、45ACP弾とコンパクトのみ357SIG弾モデルがある。
H&K USPピストル(実銃)
性能(USP9)
全長 195mm
重量 770g
口径 9mm
使用弾薬 9mmパラベラム弾
装弾数 15+1発
設計・開発 H&K社
開発

(画像はwikipediaより転載)
これまでローラーロッキング式拳銃P9、スクイズコッカーを採用したP7、世界初のポリマーフレーム採用のVP70等、奇抜なアイデアで勝負してきたH&K社が初めて製作した普通のオートマチックハンドガンがUSPピストルである。USPは、米区の法執行機関からの受注を目的に製作されたハンドガンで、1989年9月から開発が始まり、1993年1月に完成した。
普通とは言ってもどこかにオリジナリティを注入したいH&Kの技術者は、1990年に完成したばかりの40S&W弾の使用を前提として開発、この40S&W弾とは9mmパラベラム弾の貫通力と45ACP弾の破壊力の「いいとこどり」を狙った結果、357マグナム並みの威力になってしまった10mm弾を若干パワーダウンさせたカートリッジである。これは市場では結構ヒットし、現在でも定番のカートリッジとなている。USPはスライドとマガジンを交換することによって、この40S&W弾と9mmパラベラム弾のどちらも使用できるようにしている。他にもヨーロピアンオートとしては珍しくUSP45と呼ばれるアメリカ人が大好きな45ACP弾を発射出来るモデルも発売している。
それまでのH&K社のハンドガンのようなお茶目さは無いものの、フレームはポリマー製でダブルアクション、シングルアクションでの射撃が可能であり、一般的なスライドストップにデコッキング機能が搭載された上にコック&ロックが可能なサムセイフティを持っている。コック&ロックとは、コンバットシューティングでいう「コンディション1」の状態で、薬室にカートリッジが装填された状態で尚且つハンマーが起きており、安全装置が掛かっている状態である。プロはこの状態で保持することが多いので結構便利な機能である。
さらにグリップは人間工学を生かした形状になっており、大型のグリップの割には意外なほど持ちやすい。他にもポリマー製マガジンや銃身下部の20mmレイル、手袋をした状態でも射撃出来るように大型化したトリガーガード等、便利機能が満載である。この結果、USPピストルはお茶目さは全く無いが、同時に欠点も全くないという完全無欠なハンドガンとなってしまい、市場でも大好評、改良型が米国特殊作戦群に制式採用されるに至り、現在でもH&K社の基幹モデルとして好評発売中である。
バリエーション

(画像はwikipediaより転載)
バリエーションとしてはタクティカルモデルがある。これはサプレッサーが使用可能なように銃身前部にネジ切り込みが入った他、調整可能なリアサイトやトリガー等、各部のパーツがより高性能になったモデルである。サプレッサーが使用できるということはつまり法執行機関向けのモデルである。他にはスライド、銃身とグリップを小型化したコンパクトモデルがある。小型化されたが装弾数は45ACP弾で8発、9mmパラベラム弾で13発という多弾数を実現している。これは24時間で何度も危機に見舞われることで有名な『24 -TWENTY FOUR-』の主人公ジャック・バウワーが劇中で愛用している。このコンパクトにもオリジナル同様にタクティカルモデルが存在する。
USP人気に気を良くしたH&K社は、1998年にUSPの競技用カスタムであるエキスパートモデルを発売。サプレッサー以外のタクティカルモデルの装備が全て搭載された上、銃身が5.19インチに延長、スライドのデザインが新しくなっている他、装弾数も若干増加している。同じく競技用でさらに銃身を6.2インチに延長したエリート、銃身下部にウエイトを装備したUSPマッチがある。
H&K USPピストル(トイガン)
概要
トイガンは、タナカワークスがモデルガン、ガスガンでUSP9ピストルモデルアップしており、ガスガンではKSCがUSP45ピストル、同タクティカル、コンパクト、P10、USPマッチを発売している他、東京マルイがUSP9ピストル、同コンパクトを発売している。こちらはどちらもABS製である。東京マルイは他にもエアーコッキング式で18歳以上モデル、10歳以上モデルを発売している。
タナカワークス USPピストル モデルガン
性能
全長 198mm
重量 640g
装弾数 15+1発
唯一のモデルガンである。外観はタナカワークス製なので問題はない。新旧モデルがあるので購入する際は注意が必要。旧モデルはHW製で新モデルはHP製でカートリッジがEVO2となっている。現在のモデルガンは非常に作動が良いが火薬を使うためガスブローバックのように100%の作動はしない。モデルガン初心者は注意したいところである。
KSC USPピストル ガスブローバック
性能
全長 201mm
重量 825g
装弾数 25+1発
KSC はUSP45を再現している。外観の再現度は非常に高く、ダミーではあるがファイアリングピン(実銃とは形状が異なる)、実銃同様のグリップ内安全装置も再現しているだけでなく、内部構造も極力再現しようと試みている。初速は70〜80m/sと若干高め、命中精度は非常に高い。こちらも新旧モデルがあり、旧モデルにはシステム7が搭載されていないので注意が必要である。
東京マルイ USPピストル ガスブローバック
性能
全長 195mm
重量 720g
装弾数 25+1発
グリップ内のキーロックが再現されていない等、外観の完成度はKSCに一歩譲るものの作動の良さではKSC以上である。重量も実銃の770gに近く、スライドのノッチ対策もされているのでガンガン撃ってもスライドが削れることはない。初速はKSCよりも若干低いが命中精度は非常に高い。
まとめ
H&K社が初めて挑戦したポリマーフレームも初登場からすでに50年以上が経過、大きな事故もほとんど起こっておらず、すでにタイムプルーフされたといえる。このフレームを使用したUSPピストルは現在あるオートマチックハンドガンではトップクラスの性能を誇る1990年代の最高傑作ハンドガンの一つといっていいだろう。
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