ニューナンブM60
(画像はwikipediaより転載)

 

 ニューナンブM60とは、1960年に日本警察に初めて納入された国産リボルバーである。S&Wのリボルバーをベースに独自の改良を加えた銃で、命中精度はS&W社のJフレーム拳銃よりは高い。日本警察は2003年頃よりM37を制式採用しているため現在は生産されていない。

 

ニューナンブM60(実銃)

 

 

性能

全長 198mm
重量 670g
口径 38口径
使用弾薬 38スペシャル弾
装弾数 5発
設計・開発 新中央工業

 

背景から開発まで

 戦後の日本の警察官は当初は米軍から貸与された拳銃(一時的には南部十四年式等の旧日本軍の拳銃も使用した)を使用していたが、老朽化が進んだ上に種類も雑多であったため新拳銃の開発が志向された。

 

開発

 1956年9月、日本兵器工業会(のちの日本防衛装備工業会)が通産省指導の下に拳銃研究会を設置し検討を開始した。1957年には新中央工業(のちミネベアの一部門)が開発を開始した。新中央工業が開発した拳銃はリボルバーとオートの2種類であった。1959年11月性能試験が行われ、リボルバー型が採用、1960年に納入が開始された。尚、オート型はM57Aと呼ばれ、のちに自衛隊の次期制式拳銃のトライアルに改良型M57A1が提出されたが不採用となりSIGP220が制式採用された。

 ニューナンブM60はS&W社のリボルバーをベースとしており、装弾数は5発である。大きさはS&WのJフレームとKフレームの間位の大きさであり、固定サイトにグリップ下部にはランヤードリングが装備されている。バックストラップ部分は後方に張り出しており、S&Wのリボルバーと異なる独自の形状となっている。集弾性能は非常に良く25mで5cm程度にまとまる。

 生産当初の銃はシリンダーの強度に問題があったが、1961年以降生産品については問題は解消している。1964年からはサイドプレートのスクリューの数が3本に減らされ、1980年代にはシリンダーラッチの形状が変更、同時期にグリップパネルの形状も小指がはみ出さないように下部前方が延長されている。1999年に生産終了している。バリエーションとしては2インチ型と3インチ型があり、1960年代に153mm(6インチ)銃身にバレル下部にアンダーラ、フルアジャスタブルサイト、同グリップを装備したM60サクラという競技専用銃が3丁試作されている。

 

 

ニューナンブM60(トイガン)

 

概要

 トイガンでは、大友商会がニューナンブM60を発売していた。これはシリンダーのスイングアウトのみ可能なほぼ無可動ダミーカートもでるであった。発火式モデルガンではHSWから「J-police」として発売されているが、これはS&WのチーフスペシャルをニューナンブM60形状にしたモデルなので大きさが若干小さい。ガスガンはマルシンから8mm弾仕様と6mm弾仕様で「ポリスリボルバー」として発売している。これらのメーカーが「ニューナンブ」という名称を使用できないのは、ニューナンブという名称が商標登録されているからだそうである。

 

マルシン ポリスリボルバー ガスガン

性能(3インチHW)

全長 200mm
重量 415g
装弾数 5発

 「ポリスリボルバー」として新規に設計されたものなので今まで発売されたトイガンの中で一番完成度は高い。2インチ、3インチモデル、実銃にはないシルバーモデルも発売されている。シリンダー内部は改造防止のため切り抜きされている代わりにカートは真鍮製のフルサイズである。初速は60m/s弱で命中精度は「カート式リボルバーにしては」良い。

 

まとめ

 

 S&Wリボルバーの亜流といって良いであろう。命中精度は非常に高い。日本の国産兵器全般に言えることであるが、需要が国内のみであり競争にさらされていないために性能が「今ひとつ」である場合が多い反面、価格は非常に高い。これはあくまでも市場が小さいからであって製造メーカーが暴利を貪っている訳でもなく、むしろ赤字のメーカーも多い。ここまでして「国産兵器」に拘る必要もないと思うのだが、日本という国は変化することが苦手な国なので仕方がないのかもしれない。

 

 

 

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