01_オートマグ
(画像はwikipediaより転載)

 

 オートマグは、1969年に発売された銃で、映画『ダーティーハリー4』で一躍脚光を浴びた44口径マグナムを使用するオートマチック拳銃である。実銃は商業的には大失敗だったが愛好家の間では人気が高く、権利を買い取った数社がその後も発売している。日本でも人気があり、多くのメーカーがモデルガン、エアガンとしてモデルアップしている。

 

オートマグ(実銃)

 

 

性能

全長 295mm
重量 1600g
使用弾薬 44AMP
装弾数 7発
設計・開発 オートマグコーポレーション他

 

背景から開発まで

 1955年、S&W社は当時世界最強の拳銃弾44マグナム弾を発表した。狩猟用のサイドアームとして最適なこのカートリッジは話題となり、スタームルガー社からも同カートリッジを使用するリボルバー、ブラックホークが発売、一躍人気のカートリッジとなった。この44マグナムカートリッジに目を付けたハリー・サンフォードはこの44マグナムカートリッジを自動拳銃で発射することを計画、自動拳銃用にカートリッジ後部のリム(カートリッジがシリンダー内に落ちてしまわないようにするための突起。当然自動拳銃には不要)を無くしたリムレス弾を開発、同時にそのカーリッジを使用する自動拳銃を設計した。

 1958年、ハリーはこの44口径オートマチック拳銃を銃器メーカーに売り込むもメーカーは興味を示さなかった。このためハリー自身が会社を興し、44口径の自動拳銃「オートマグ」を生産することを決意、1966年より開発を開始した。

 

↓M29、ルガーブラックホークについては詳しく知りたい方はこちら。

 

開発

 1966年にハリーが開発を開始したオートマグは、3年の歳月を経た1969年に発表。44口径オートという斬新なアイディアの上に素材をオールステンレスとした意欲的なモデルであった。因みにオールステンレス製のハンドガンはこのオートマグが世界初である。口径は44口径で、さらに38口径(357AMP)、41口径等も発売された。発射機構はシンプルなショートリコイル方式で閉鎖機構にはターンボルト方式が採用された(商業的に成功した44マグナムオートであるデザートイーグルは自動小銃と同様のガス圧利用式である)。  社長のハリー・サンフォードは、翌年の1970年にカリフォルニア州に工場を開設。1971年8月8日最初のオートマグを出荷した。しかし、コストに対して価格が安すぎたため3000丁あまりを生産した段階で翌年の1972年5月3日に破産宣告した。

 オートマグ・コーポレーションは倒産したが、オートマグはTDE社で引き続き生産され、さらにはOMC、トーマス・オイル・カンパニー、ハイスタンダード、AMT社で生産が続けられた。1983年には生産を終了するが、この間に生産されたオートマグは約6000丁で、オートマグコーポレーションの分も含めると合計9000丁のオートマグが生産された。このATM社で生産されたオートマグの内1挺は映画『ダーティハリー』でハリーキャラハン刑事を演じた俳優のクリントイーストウッドに寄贈されている。このモデルは銃身長8.5インチの特別モデルでシリアルナンバーは「CLINT-1」である(厳密にはシリアルナンバー部分に同刻印がある)。

 2015年8月、オートマグ設計者の息子であるウォルター・サンフォードはオートマグ社に売却、44口径の初代オートマグの生産を行っている。映画『ダーティハリー4』で主人公が使用した8.5インチモデルと6.5インチモデルがラインナップされている。価格は8.5インチモデルが3,995ドル、6.5インチモデルが3,495ドルとなっている。仕上げはサテンフィニッシュとポリッシュ仕上げが選択できるようになっており、グリップもホーグ社製の3種類から選ぶことが出来る。

 

欠陥

 オートマグは発売当初から話題となり、実に8,000丁もの予約があった。しかし、オートマグ専用のカートリッジである44AMP弾の供給が間に合わなかった。この44AMP弾とは通常のリボルバーに使用される44マグナム弾がシリンダーからカートリッジが抜け落ちないようにカートリッジ後端のリムがカートリッジの直径よりも少し大きくなっているリムド弾であるのに対して、オートマチック用に使用しやすいリムの無いリムレス弾である。このカートリッジが市場に出回らなかったために同径の308winのカートリッジの前半分を切断して自作することが行われていた。

 銃本体も問題が多く、マガジンには7発装填できることになっているが、実際には6発しか装填できないこと、射撃中にマガジンが脱落すること等問題が多い。その中でもオートマグ最大の欠点は、「オートジャム」と揶揄されるほどの装填不良の多さである。これは当時、最新の素材であったステンレスの加工技術が未熟であったことや、ステンレス用の潤滑油が無かったこと、前述の専用の44AMP弾の供給が間に合わず、ユーザーが308winの薬莢を切り詰めて自作したためであったとも言われている。

 

バリエーション

 44AMP、357AMP、300AMP、45win、45ACP(実験用のみ)、475オートマグ(実験用のみ)、41JMP、30LMP、25LMP、22LMP、45ACPマグナム等の口径が試作又は販売された。銃身長は当初は6.5インチモデルのみで、特別仕様として俳優クリントイーストウッド氏に贈呈した8.5インチモデル「クリント1」とプロップ用の「クリント2」がある。この8.5インチモデルは2丁のみの製造であるが、2017年から生産されたオートマグには8.5インチモデルがラインナップされている。

 

オートマグ(トイガン)

 

概要

 オートマグはモデルガンでは、MGC、コクサイ、マルシンが発売している。1976年にMGCがCP-BLKのオートマグを発売、1977年にはコクサイも金属製モデルを発売した。それから3年後の1980年にマルシンも発売するが、これはコクサイの構造をコピーしたもののようだ。この3種類の内、MGCのオートマグのみがプラ製であり、シルバーとブラックがあった(無論ブラックは実在しない)。

 作動は一番良かったが、ショートリコイルが省略されている他、外観や内部構造は相当にデフォルメされていた。バレルサイズはMGC、コクサイ、マルシン製は全て6.5インチモデルであったが、マルシンはのちにクリント1をモデルガン化する。他にもモデルガンでは1984年に東京マルイの「造るシリーズ」でもモデルアップされている。

 エアガンでは、1977年にタカトクが7个弔鼎瀉討鮖藩僂垢襯ート式SSオートマグナムカスタムを発売。これはクリント1をモデルにしたもので、ブラックモデルとシルバーメッキモデルがあった。1984年にタカトクが倒産すると製造はマルコシに引き継がれ、1985年にはマルコシUXスーパー44オートマグが発売される。これはタカトク製オートマグを6mmBB弾仕様に変更したものであった(1990年頃まで販売されていた)。1985年にはクラウンがモデルアップ、1986年には東京マルイ、1988年にはヨネザワが発売している。東京マルイは当初はブラックモデルのみであったが、1989年には東京マルイがステンレス風メッキモデルが発売されている。

 ガスガンは1987年にマルゼン、その後90年代〜2000年代にマルシンがクリント1のガスガンを販売した。マルゼンのガスガンはあまり知られていないが意外とよくできている。マルシン製はクリント1の8mm固定スライド、ブローバックが販売されている。

 

まとめ

 

 オートマグは当時最新であったステンレスをいち早く本体の素材に採用、44口径という強力なカートリッジを自動拳銃で使用した意欲作であった。旧来の銃を参考に改良することなく、全く独自の設計であったため、外観も独自のものとなった。その斬新なデザインは現在でもその価値を保ち続けている。しかし欠陥が多く、そのため市場から消えていってしまったが、現在でも多くのファンの心を魅了している銃である。

 


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