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(画像はwikipediaより転載)

 

 S&W M29は1955年に発表、1956から発売された当時世界最強のカートリッジである44口径マグナムを発射する銃である。言わずと知れた『ダーティーハリー』シリーズ、その他の映画、アニメ等に散々出てくる、恐らく日本で最も有名な拳銃の一つであろう。

 

概要

 

 

性能

全長 306mm(6.5インチモデル)
重量 1396g(6.5インチモデル)
口径 44口径(約11.2mm)
装弾数 6発

 

44口径ハンドエジェクターとM1950

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(画像は44口径ハンドエジェクター wikipediaより転載)

 

 S&WM29原形は、1905年にS&Wが発売したハンドエジェクター44口径モデルに遡る。S&Wは1905年、それまで発売されていた38口径ハンドエジェクターモデルを44口径に改良、さらにエキストラクターシュラウド(バレル下部のエキストラクターを収納する部分)とトリプルロックシステムを追加した44口径モデルを発売した。これは当時注目を集めたが販売は今ひとつであった。このため1915年には、エキストラクターシュラウドを省略しコストダウンを図った2rdバージョンが発売されたが当時は不況のただ中であり売上は伸びなかった。1950年、この44口径ハンドエジェクターのバレル上部にリブを追加、さらに調整可能なターゲットサイトを装着したM1950ターゲットモデルが発売されたが、当時の射撃競技の中心は38口径や45口径でありこれもまた販売は振るわなかった。

 

44口径マグナムとM29の開発

03_S&WM29
(画像はwikipediaより転載)

 

 このM1950発表から5年後の1955年、S&Wとレミントン社は共同で当時世界最強の拳銃カートリッジを開発した。これは44口径スペシャル弾のカートリッジを1/8インチ延長して火薬量を増やしたもので44口径マグナムと命名された。このカートリッジは当時最強であった357マグナムの2倍、45ACPの3倍の威力を発揮した。この44口径マグナムを発射するための拳銃として白羽の矢が立ったのが、不遇をかこっていた44口径ハンドエジェクター系統のM1950である。このM1950のフレームを強化したSフレーム(1969年にNフレームに名称変更)を新規に製作。さらにシリンダー、バレルを強化したて1955年11月に発売されたのが44マグナムである。

 この44マグナムは1957年(1969年説もあり)に名称が変更され、M29となる。M29は、狩猟用ハンドガンとして開発され、当初はマイナーな存在であったが、1971年の映画『ダーティハリー』で主人公ハリー・キャラハン刑事が愛用したことにより一躍有名になり、狩猟用以外にも射撃競技や護身用にまで使用されるようになった。

 

M29の構造

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(画像はM629マウンテンリボルバー wikipediaより転載)

 

 伝統のS&Wのリボルバー構造にワイドハンマー、ワイドトリガー(のちに変更される)、調整可能なリアサイトを装備する。1955年11月に発売された初期モデルでは、フレームのサイド・プレートを固定するスクリューが4本使用されていたが、砲底面近くにあるスクリューが発射の衝撃で折れることがあり、1956年にその部分が組合せ式に改良された。

 

バリエーション

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(画像はwikipediaより転載)

 

 1955年(1956年から発売)の発表当初は4インチモデル、6.5インチモデルのそれぞれスチール、ニッケルフィニッシュのみであったが、1960年代後半に8.3/8モデルが発売される。1978年にはステンレスモデルが発売、同時に6.5インチ銃身は廃止され6インチになる。以降、3インチモデル、バレルにテーパーをかけた4インチマウンテンモデル、調整可能フロント・リアサイトとフルレングスアンダーラグ、ノンフルートシリンダー装備の限定品であるM29クラッシックハンター、フルレングスアンダーラグ装備のM29C、軽量モデルのM329等のバリエーションが存在する。

 

M29(トイガン)

 

 トイガンではMGC、CMC、コクサイ、タナカその他様々なメーカーが発売している。主なものはモデルガンでは、1974年にMGCがABS製で発売、1975年にはコクサイとマルゴー、1976年にはCMCが金属製で発売している。1985年にはコクサイが新規にM29を製作、これは非常に完成度の高い物であった。コクサイは、翌年には蓄圧式カートでM29を製作、警察から実銃認定されてしまう。1987年にはマルシンがカート式M29を発売、これはマイナーチェンジを繰り返しつつ現在でも生産されている。2000年頃にはタナカワークスがペガサスシステムを搭載したM29を発売、こちらもマイナーチェンジを繰り返しつつ現在に至っている。

 

MGC

 74年発売のモデルガン。実銃のメインスプリングはリーフスプリングであるが、本製品はコイルスプリングであったりと外観、内部構造共に再現の正確さでは今ひとつであるが、作動性が良い。リアサイトが固定(というよりもフレームと一体成型)であるのは時代のなせる業でご愛敬。90年代にはHW化されている。

 

コクサイ S&W M29 6インチ マーク入り ウッディーグリップ スーパーリアルポリフィニッシュ モデルガン完成品

 かつては業界大手メーカーであったが、現在ではメーカーもなくコクサイブランドで生産していたモデルガンの生産ももう行われていない。かつてはガスガンも生産していたが、パワーの無さは驚異的であった。当時はまだ0.3ジュール自主規制というのが業界団体にありそれを意識してパワーを下げた結果だろう。残念ながら命中精度もそれほど高いはない。

 「リボルバーのコクサイ」古いファンなら知っているが、コクサイはリボルバーの再現度がずば抜けて高かった。何故リボルバーのみなのかは分らないが、ガスガンでも外観はモデルガンばり、内部構造も極力実銃に似せる努力をしているのが分る。こういうこだわりはまたたまらないものがある。

 次にモデルガンであるが、コクサイのM29は大きく分けて2種類あった。いつから生産されたのかは知らないが80年代中盤頃まで生産されていた旧タイプ。これはトリガーガードが変に膨らんでいるので判別は容易である。80年代中盤からはnew M29として変なトリガーガードを直し、異常にリアルになったモデルが販売されている。まさに「リボルバーのコクサイ」面目躍如である。

 当初は外発火式カートであったが、内発火式カートに変更され、いわゆるフルサイズカートになったことでさらに完成度を増した(厳密にはフルサイズではない。シリンダーインサート分短い)。これM29はモデルガン史上最高傑作のひとつといっていい。現在は生産されていない。

 バリエーションは、ヘビーウェイトモデルとシルバーモデルが4、6、8.3/8、最近はメガヘビーウェイトとして金属パーツを出来るだけ使用し、重量を実銃に近い1坩幣紊砲靴織皀妊襪眸稜笋気譴い討い襦6眤哀皀妊襪箸靴討肋綉の3タイプの他8 3/8AFモデル、さらに一時期、6AFモデルも販売されていた(このモデルはフルサイズカートではない)。

 

タナカ S&W M29 6.5インチ カウンターボアード HW 18歳以上ガスリボルバー

 タナカがM29を出したのは2001年頃。最初はペガサスと呼ばれるガスガンだった。当初は圧倒的なパワーであったが命中精度は今ひとつであった。初期のものはパワーがあり過ぎるため準空気銃に該当するので対策が必要である。現在では改良されておりパワーも当然、法律の規定内で命中精度も高い。ペガサスからしばらくして同じ型でモデルガン化もされた。元々、今では数少ないモデルガンの老舗のタナカが作るのだからダメなはずがない。内部の構造も外観もトップクラスだった。

 当初は6.5インチモデルでありながらシリンダー内側にカウンターボアードが再現されていなかった。因みにカウンターボアードとは、カートリッジのリム(カートリッジ底に弾丸が抜け落ちないようにちょっと出っ張ってる部分)がシリンダーにぴったり入るようにシリンダー内側に1mm程度段差が付けてある部分のことで、シリンダーの長さが1mm程度長くなるもので、私が知っている限り、6.5インチでカウンターボアードが無いモデルは無い。

 これは一見小さなことだが、見た目でシリンダーの1mmの長さの違いは大きい。・・・と思ったら、な・なんと!2014年にタナカはカウンターボアードモデルというのを発売した。これには私もさすがに驚いた。1mmの違いを直すというのは簡単なことではない。金型を作り直さなければならないのだ。それを敢えてやったタナカ。こんなこだわりを持ったメーカーはそうないだろう。

 タナカがすごいのはこれだけではない。表面仕上げも他の追従を許さない。これがジュピターフィニッシュである。さすがにメーカー品であれほどきれいな表面仕上げは初めてだ。シルバーもブルーモデルも本物と見間違う位の美しさである。そしてトリガー、ハンマーはケースハードン処理をしてある。

 

マルシン S&W M29 6.5in ブラック ヘビーウェイト プラグリップ付 18歳以上 ガスリボルバー

 現在でも活動している数少ないモデルガンメーカーの老舗。1980年代からM29のガスガンを発売している。当初はシリンダーストップのない6インチモデルを発売していた。コクサイと同様にグリップ内にガスタンクを設ける方式であった。シリンダーストップがないためBB弾が発射された際にシリンダーがバレルの位置に合っていないこともあったため命中精度は高くなかった。

 その後、シリンダーストップが追加されたM29Cモデルが発売、5インチモデルと8.3/8モデルのシルバーとHWの2種類があり、さらにM29HWバージョンがある。こちらもシリンダーストップは装備されている。作動性を重視しているため外観のリアリティは今ひとつだ。特にM29Cのマズルフェイス部分の再現性はかなり甘い。しかし、作動性を重視しているためかパワー、命中精度共にリボルバーとしてはかなり高い。

 

クラウンモデル ホップアップガスリボルバー No.2 S&W M29 6インチ 18歳以上ガスガン

 モデルガンメーカーではないが、老舗のエアガンメーカーであるクラウン。ガスエアー共に発売している。エアーガンはハンマーをコックすることでエアタンクを圧縮してBB弾を発射する方式。外観のリアリティは今ひとつ。さらにパワー、命中精度共に高いとはいえないが、珍しくリボルバーのガスガンを発売しているメーカーであり、価格も低価格で室内プリンキングにはうってつけだろう。

 

まとめ

 

 M29は発売当初は世界最強の拳銃であった。あまりにハイプレッシャーであったためフレームの破損やリアサイトのネジの緩み等の問題もあったようだが、現在では十分にタイムプルーフされており安定した人気を誇っている。世界最強ではなくなってしまったもののハンターのサイドアームとしての実用性では44口径マグナムは優れており、現在でも多くのユーザーに愛用されている。