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M686とは

 

 M686とは1981年にS&W社が発表したステンレス製リボルバーで前年の1980年に同社が発表したM586のステンレスバージョンである。S&W社には同様に357マグナムを使用できるM19があったが、M19は357マグナムを使用するには耐久力が弱いことが指摘されたため、フレームを強化、当時、コルトパイソンで好評を博していたバレルシュラウドをバレル下部に装備しているのが特徴である。バランスが良く耐久性に優れているため現在に至るまで販売され続けているベストセラー製品である。

 

 

M586、686トイガン

 

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 米国でM586が発売されると1983年にはMGC、コクサイがモデルガンを発売、一足遅れの1984年に発売されたのがマルシン製M586、686である。設計は著名なモデルガンデザイナー六人部氏で内部機構も精密に再現されていた。他のメーカーがカートリッジの先端に火薬を込めて発火する外発火式カートを採用していたのに対してマルシン製はカート内に火薬を入れる内発火式カートを採用しておりリアルさの面ではマルシン製が一歩リードしていた。

 1983年発売時の価格は完成品がM586が6,500円、キットが3,700円でM686は8,000円であった。90年代に入るとHW製で再生産、さらに鉄粉を混入したエクセレントHWモデルも存在した。これは当時、「磁石がくっ付く」というリアリティを測る謎基準があり、これに対応したためであったと思われる。特に重量が重くなったりするなどHW製と大きな変化はなかった。

 

驚異的なリアリティの六人部作品

 

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 このモデルは私が中古で購入したものであるが、何より素晴らしいのはこのメッキ。黒ベースのメッキなので深みがあるのだ。そしてメカニズムももちろん実物同様に再現されている。んで、このモデルはまだパテントの問題がうるさくなかった頃のものなのでS&Wのロゴがしっかりとある。後のモデルではマルシンのロゴに変更されている。

 外観のリアリティはM686モデルガンではダントツのトップ、そして内発火式のフルサイズカートであったためダミーカートも挿入することができるという大変にリアルなものであった。とはいっても自主規制でシリンダー前面にインサートが入っているため357マグナムのダミーカートは挿入することはできないが38口径のカートは問題なく挿入することができる。

 

マルシン製M686の欠陥

 

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 ではこのマルシン製M686、いい事ばかりかというとそうではない。実はこのモデルはかなり問題があるのだ。まずフレームである。フレームのグリップ付け根部分が強度が非常に弱く、かなりの率で破損するしてしまう。これは樹脂製フレーム内部に金属製シャーシを入れるという構造に原因があり、内部の金属シャーシのためグリップ付け根の樹脂部分が細くなってしまったためである。これは同じく六人部氏が設計したCMC製M19でも多発していた問題でM686でも「伝統」を継承してしまっている。

 問題はそれだけではなく、リアサイトにもある。このリアサイト、亜鉛合金で造られており強度が弱いのであるが、何かにぶつかると必ずと言って良いほどリアサイトが折れる。さらにはハンマーも最初はきちんと作動するもののしばらくするとトリガーのかみ合わせ部分が磨耗してシリンダーが回らなくなる。これはコクサイ製パイソンにもあった問題で実銃の内部構造を正確に再現したために起こった問題であるといえる。実銃に比べてモデルガンに使用している亜鉛合金は強度が弱くすぐに摩耗してしまうのである。

 これらの問題はあるものの外観のリアリティは抜群で作動も良好である。発火を楽しむのであれば「スペアリアサイトプレート」「スペアハンマー」は必須であるかもしれない。新しいファンは驚かれるかもしれないが、昔のモデルガンというのは部品がすぐに壊れるのは当たり前であり、スペアパーツは必須であった。ただ発火せずにコレクションとして購入する分には文句無しのクオリティである。

 

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 これはかつて販売されたキャロム製のステンレス製エジェクターロッドのセット。非常に精度が高い製品であった。マルシン製M586ユーザーであれば是非欲しいところだけど現在は販売されていない。

 

まとめ

 

 現在のトイガンは非常に完成度が高く装填不良や初期不良は非常に少ない。しかし1990年代以前はモデルガンというのは「箱出しでは動かない」というのがファンの当然の認識であった。このためすり合わせなど購入後に自分で調整する必要がありこれが「モデルガンの醍醐味」という変な時代でもあった。当然、パーツの故障等も多く、直営店に行ってパーツを買ってくる→売ってない。等というのは日常茶飯事であった。そんな時代の匂いの残るマルシン製M686である。


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