本書はタイトルのインパクトと共に社会に衝撃を与えた。かつては中流というものが存在していたが今後は、上流階級と下流階級に分かれていき、さらにそれらの階層が親から子へと再生産されるとしている。下層ではなく、敢えて下流としているのは貧困ではあるが、ネットや最低限の生活娯楽はある階層を表した三浦氏の造語。

 内容は実は社会評論の本ではなく、そういった社会になることを把握した上でのマーケティング戦略を書いたもの。基本的には下流に低価格のものを売るより、上流階級に高価格、高付加価値の商品を売ることを提案する。現在(2021年)、三浦氏の予想はほぼ当たっているといっていいだろう。ただ、残念なのは今までの時代を平等な理想社会のような絵描き方をしている点に関しては若干疑問。

 一億総中流社会というのは、多くの国民の意識の上のもので、実際は政治家は世襲されていたり、大企業は表向きはともかく、実際はコネで社会の上層部の人間が再生産されていたり、出身大学によって昇進のスピードが違ったりもする。実際は平等でもないし、階層の再生産もされている。

 著者の経歴をみると、1957、58年生まれで、まさに高度経済成長の恩恵を享受してきた世代。大学も東大、一橋と超一流。高度経済成長期の典型的エリート。今までの時代であれば一番恩恵を受ける立場。なんてちょっと邪推をしてみたくもなってしまう。

 今までの日本にも低所得者もいるわけだし、中流意識はあっても年収は人によって違う。三浦氏のいう階級社会というのは、まさに今までの日本そのもののようにも見える。いろいろ書いたが、逆にいえばそれだけ考えさせてくれる本ということもできる。本書を読んだのは10年以上前であるが、久しぶりに読み直してみたい気もする。

 

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