ミニマム情報戦記

ブログタイトルは思い付きでちょいちょい変わります。 でもここら辺でタイトル固定かなぁ。。。 銃&ミリタリーがメイン。 最近は軍事書籍の書評が多いみたい・・・。よいと思ったら拍手してね!それだけが心の支え・・・。

【軍事ニュース2017.01.21】 米陸軍の新型短銃、シグ・ザウエルが開発へ

SIG_Sauer_P250_9mm(画像はP320の元になったP250 wikipediaより転載)


(CNN) 米陸軍は21日までに、次世代の短銃の製造元にドイツのシグ・ザウエル社を選び、新型モデルを開発させる決定を下した。現在の標準装備品であるイタリアのベレッタ社のM9型短銃の後継モデルとなる。
(cnn.co.jpより転載)


 米軍がベレッタM9からSIG社の拳銃に乗り換えるようだ。M9はそれまでのM1911A1に代わって1985年に米軍に正式採用された。採用当時は斬新なルックスにアクション映画で引っ張りだこだった。


 その当時ヒットした『ダイ・ハード』『リーサル・ウェポン』や私の好きな香港映画『男たちの挽歌』もベレッタM92Fを使用していた(M92Fは簡単にいうとM9の民間バージョン)。


 その次期正式拳銃の座を最後まで争ったのは正にSIG社のP226であった。総合性能ではSIGに軍配が上がったもののコストが高すぎるために正式採用はされなかった。


 しかし正式採用されたM9はあまり評判が良く無い。イタリアンデザインのスライドは上部を抜いてしまったために強度が弱く、そのために改良型のドルフィンやブリガ―ディアが作られたりもした。


 しかし結局、次期正式採用拳銃には残れなかったようだ。残ったのはかつてベレッタ社に敗れたSIG社のP320をベースにしたモデルだった。


SIG SAUER P320 性能
口径 9mm・.40・.357・.45
銃身長 4.7インチ(119mm)
使用弾薬 9mmパラベラム弾
.40S&W弾
.357SIG弾
.45ACP弾
.380ACP弾
装弾数 17+1発(9mmパラベラム弾)
14+1発(.40S&W弾、.357SIG)
10+1発(.45ACP弾)
作動方式 ショートリコイルティルトバレル
ダブルアクション
全長 8.0インチ (203mm)
重量 29.4 オンス (833g)
(wikipediaより転載)


SIG SAUER P320 概要
 SIG SAUER社が、2014年1月のSHOT Showで発表した自動拳銃で、同社初の撃発方式にストライカー式を採用している。フレームはポリマー、スライドにステンレス鋼を使用、ピカティニー・レールを装備している。
同社のP250が基になっており、グリップモジュール・マガジンは共用が可能、モジュラー構造による拡張性も引き継いでいる。   

サイズは、フルサイズ・キャリー・コンパクト・サブコンパクトの4サイズが存在する。使用弾薬は、当初9mmパラベラム弾・.40S&W弾・.357SIG弾で後に.45ACP弾、サブコンパクトのみ.380ACP弾も追加された。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 SIGの銃は評判が良い。世界の資金に余裕のある特殊部隊が多く採用している。日本のいくつかの特殊部隊でも採用しているはずだ。結局、米軍も高い金を出して高性能の銃を採用するという選択をしたようだ。


 採用されるのはP320をベースにしたものになるようで、詳細は明らかにされていない。P320はポリマーフレームを採用しており、ハンマーを露出させないストライカー式の銃だ。


 ポリマーフレームの銃は耐久性に問題があると言われた時期もあったが、あまり問題にはなっていないようだ。ポリマーフレームの長所は銃が軽量化できることと冷寒地で威力を発揮する。金属と違って皮膚が付着しないからのようだ。


 口径はどの口径になるのかは分からないが、戦訓を生かすならば40S&W辺りになるだろうか。9mmは実戦での威力不足が指摘されている。『アメリカン・スナイパー』の著者クリス・カイル氏も指摘するように戦場で覚せい剤を使用した人間相手には効果があまりない。


 それに比して、45口径は威力はあるが、反動が強すぎる上に装弾数を増やせない。そこに行くと40S&Wは理想的だ。装弾数もP320の40S&Wであれば14発というM9よりも1発少ないだけだ。



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【書評】 保科善四郎『大東亜戦争秘史』




 本書の著者、保科善四郎海軍中将は、いわゆる海軍良識派と言われる人だ。戦前は開戦に反対し、戦中は和平工作、戦後は軍隊を再建させるために努力した。


保科 善四郎
保科 善四郎(ほしな ぜんしろう、1891年(明治24年)3月8日 - 1991年(平成3年)12月25日)は、日本の海軍軍人、政治家。最終階級は海軍中将。衆議院議員を4期務めた後、財団法人日本国防協会会長。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 知米派の保科氏は米国との開戦にもちろん反対である。しかし当時の空気はそれを許すものではなかったという。海軍士官で米国を良く知っている者でさえも開戦やむなしという感じだったという。


 まあ、当時は誰も負けると思っていないので仕方ないかもしれない。開戦に当ってのかかわった人々の対応が面白い。東条首相は開戦前に日露戦争の故事を引用して、「開戦と同時に終戦の研究にとりかかろう」と発言していたという。


 しかし、開戦後、シンガポール陥落の後、日本が最も有利だった時には戦勝に酔いしれてしまって戦争を長期化させてしまったという。ちなみに私はシンガポール陥落後に終戦工作をしたところで無駄だったと考えている。


 連合国、特にアメリカは十分な国力と戦意を持っていた。そのアメリカに直接攻撃をかけたのだ。一発ぶん殴った後に「仲良くしよう」は通らない。太宰治の大村先生シリーズで太宰が暗に指摘している通りだ。


 現在の視点からみると、保科氏は全体的に日本の力を過信しているように感じる。サイパン島に自分が艦長となって戦艦大和を特攻させ、逆上陸を敢行すると計画していることや、さらにサイパン島に空挺降下で逆上陸を行うという剣号作戦が計画されたが、空襲により不可能となったことを執筆時でも非常に残念がっている。


剣号作戦
剣号作戦(けんごうさくせん)あるいは剣作戦とは、太平洋戦争末期に日本軍が立案した、マリアナ諸島のアメリカ軍基地に対するエアボーン攻撃計画である。当初は海軍陸戦隊250人が乗った航空機を強行着陸させB-29爆撃機を破壊する計画であったが、後に原子爆弾の制圧も目標に加えられ、陸軍空挺部隊300人も参加することになった。烈作戦(れつさくせん)と称する支援空襲も同時に実施する計画だった。使用予定の航空機がアメリカ軍機動部隊の空襲で破壊されたため延期となり、発動直前に終戦の日を迎えて中止となった。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 しかし戦艦大和がサイパンに向かったとしても制空権の無い状態では日本近海で撃沈されてしまう。さらに剣号作戦が仮に実行されたとしてもまともにサイパンにたどり着くことは不可能だろう。たとえ到着したとしても少数の兵力でサイパン島を奪回するというのは不可能だ。


 そもそもエアボーン作戦というのはあくまでも一時的なものだ。一時的に制圧してあとは主力が到着するのを待つという体のものだ。サイパン島に奇襲をかけたところで主力は来ないのであまり意味が無い。保科氏は残念がっているが、むしろ実行されなくて良かっただろう。



大東亜戦争秘史―失われた和平工作 保科善四郎回想記 (1975年)


 保科氏は軍政に力を発揮するタイプの人だったのだろう。ソ連の力を過大評価しているのは今から考えるとダメだが当時としてはそれほど的外れなものではなかっただろう。さらにアレン・ダレスとの交渉などあまり知られていない話も登場する。


 本書中に「天皇の力で戦争を終わらせたのだから、開戦も防ぐことができた」という趣旨の発言が戦後しばしば聞かれたが、これに対して昭和天皇自身が語っている部分は面白い。



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【軍事ニュース2017.01.22】 米国製の「カラシニコフ銃」、2月に発売 同ブランドで初

1024px-Saiga_12K(画像はwikipediaより転載)


ラスベガス(CNNMoney)  米国企業「カラシニコフUSA」は22日までに、今年2月に半自動式の12口径の散弾銃「KS−12」の販売を開始すると発表した。カラシニコフのブランド名の米国製の銃の販売は初めてとしている。
(cnn.co.jpより引用)


 カラシニコフUSAが12ゲージのショットガンを発売する。このカラシニコフUSAというのはロシアに親会社があり、アメリカへの輸入窓口として設立されたが、アメリカがロシアへの経済制裁を行った際に輸入が途絶え自力生産を始めたという。


性能
銃身長 580mm
使用弾薬 12ゲージ
装弾数 5/8発
作動方式 セミオートマチック
全長 1,145mm
重量 3.6kg
(wikipediaより転載)


イズマッシュ・サイガ12
 本銃は世界三大ライフルとして呼称されるAK-47の系列をくむものであり、内部機構のガス圧ロータリーシステムは互換性は無いにしてもほぼ同一のものである。AK-47をベースに開発されているため耐久性や信頼性が高く、その上SVDのスコープを装着して使用することもできる。さらに低価格で、AK-47と同じくボックスマガジンを使用して銃弾の装填ができるため、散弾銃のマッチレースなどでも注目を浴びている。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 発売が予定されている銃はKS−12で販売価格は750ドル前後になるようだ。さらに今年後半には9mm拳銃や自動小銃も発売するという。


 米国製カラシニコフとは時代だねぇ。因みに上記wikipediaの記事は参考に。発売されるショットガンが上記のものかどうかは知らない。


 AK-47系統の自動小銃は性能はあまり良くないが、安価で故障が少ないために後進国や紛争地帯で多用されている。今回発売されるショットガンはその遺伝子をどこまで受け継いでいるのか楽しみだ。



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【書評】 山本博文『『葉隠』の武士道』




 本書は相当前に読んだことがある。実は読むのは今回が二度目だ。『葉隠』といえば「武士道とは死ぬこととみつけたり」とかなり威勢がいい。しかし山本氏はこの『葉隠』を痛烈に批判する。


 『葉隠』を語ったのは山本常朝。「語った」と変な書き方をしたのは常朝自身が記したのではなく言葉を別の人間が筆記したからだ。常朝の生きた時代というのは江戸時代の初期から中期にかけての時代だった。


葉隠
『葉隠』(はがくれ)は、江戸時代中期(1716年ごろ)に書かれた書物。肥前国佐賀鍋島藩士・山本常朝が武士としての心得を口述し、それを同藩士田代陣基(つらもと)が筆録しまとめた。全11巻。葉可久礼とも。『葉隠聞書』ともいう。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 当時は戦国の空気を残してはいたが、元禄の太平の世であった。常朝は平和な時代に生まれた武士なのである。ただ、平和でも武士には厳しい掟がある。例えば無礼に対して何もしなければ斬刑、やり返せば切腹という具合に結構厳しかった。


 何故なら武士が権力を持っている根本は武士が武力を持って恐れられていることである。しかし太平の時代、武士は官僚として生きねばならなかった。「馬鹿にされてはダメ、しかし武力を行使してもダメ」そういう時代だったのである。


 その矛盾の中での『葉隠』である。「死ぬこととみつけたり」とは事が起こった時は死ぬ気で戦え、そうすれば生きることができるという考えだ。何故なら当時の武士は事が起こった時に何もしなければ斬刑という世界である。


 「死ぬ気でかかっていけば武士としての名誉が守られもしかしたら生きられるかもよ?」という結構情けない逆説が常朝の本心だという。著者は研究者らしく史料を元にして理論を構築していく、史料の引用が多すぎてちょっと面倒だが内容はかなり面白い。


 常朝が実は武芸にかなり自信のない武士だったことや実は言っていることとやっていることが全然違ったり、先代の主君には「あいつは信用できない」ということを言われたりと意外な内容であった。


 『葉隠』は「武士道とは死ぬこととみつけたり」というフレーズがあまりにも有名で、額面通りに受け取る人も多い。こういう反対意見は貴重だ。



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【書評】 勝間和代『お金は銀行に預けるな』




 著者の勝間和代氏は元公認会計士で外資系金融コンサルタント会社にいたバリバリの人だ。ブログを読むとちょっとした変わり者だということに気が付くのだが、まあ、それはいいとして、本書はその勝間氏が資産の運用方法について書いたものだ。


勝間 和代
 勝間 和代(かつま かずよ、1968年〈昭和43年〉12月14日 - )は、日本の著述家、評論家。学位はファイナンス修士(専門職)(早稲田大学)。株式会社監査と分析取締役(共同パートナー)、中央大学大学院戦略経営研究科客員教授。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)


 ちょっと古い本になるが、内容はかなりいい。勝間氏はかなり真面目な人なのが本書を読んでいると分かる。勝間氏の主張はそのタイトル通り、資産を銀行に預けていても金が増えないので、リスクを取って金融商品を買った方がいいというもの。


 いくつかの金融商品を羅列してその損得を比較していく。一般の人が最初に想像する株式投資は実際は素人が参入しても機関投資家というプロに鴨にされることがほとんどだという。情報量が全然違うという。


 よく巷で株式投資必勝法のような本があるが、あれはたまたま成功しただけだという。もしも本当に絶対成功する方法であるならばノーベル賞もので、そもそもそんな方法があったら人には教えないという。妙に納得。


 その他、FXや不動産投資、コモディティ等、いろんな金融商品を紹介しているが、結局、インデックス型の投資信託が良いという結論だ。本書を読んでではないが(むしろインデックス投資をしたいから本書を読んだ)、私もやってみようと考えている。


 商品の探し方まで書いてあるのでこの一冊があれば資産運用に関してはもう本は必要ないというくらいの有用な本だ。



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【軍事ニュース 2017.01.20】 米軍、リビアのISIS拠点を空爆 戦闘員80人殺害

B-2(画像はwikipediaより転載)


(CNN) 米軍のB2爆撃機がリビアで過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の拠点2カ所を空爆し、これまでの推定で戦闘員80人以上を殺害した。米当局者が19日、CNNに明らかにした。
(cnn.co.jpより引用)


 イスラム国に対する空爆が行われた。参加したのはB2爆撃機2機。B2爆撃機というのは米軍の最新鋭ステルス爆撃機であり、1機20億ドル以上すると言われている。さらに維持費も信じられない額がかかる。


性能
全長:21.03m
全幅:52.43m
全高:5.18m
最高速度:約1,000km/h
巡航速度:M0.8
空虚重量:約71.7t
最大離陸重量:約170t
ペイロード:約18t
エンジン:GE F118-GE-100 ターボファン×4基
エンジン推力: 7,850kg×4
航続距離:約12,000km
乗員:2名


武装
2,000lb爆弾またはJDAM×16発
500lb爆弾×80発
AGM-154 JSOW空対地ミサイル
B61核爆弾またはB83核爆弾×16発
などから最大18tまで選択可能
(wikipediaより転載)


概要
 B-2は、アメリカ空軍のステルス戦略爆撃機である。開発はノースロップ・グラマン社が担当した。水平尾翼および垂直尾翼がない全翼機と言う特徴的な形をしており、愛称はスピリット(Spirit、魂、精神の意)。
この機は同重量の金と同価値といわれるほど非常に高価で、少数しか生産されていない。B-2は1機ごとに「Spirit of 〜(大半は米国の州の名)」のパーソナルネームが与えられている。
(wikipediaより一部転載)
 さらに詳しい情報を知りたい方はこちら(wikipedia)



 あまりにも高価な飛行機のために米軍ですらも21機しか配備していない。B2は湿気、温度等を厳格に管理するためにミズーリ州のホワイトマン基地に集中配備されているようだ。


 作戦行動を行うときはほとんどの場合、直接ホワイトマン基地から出撃し、遠距離の場合は途中で空中給油を行いながら作戦を遂行する。


 今回の場合もホワイトマン基地から出撃したようだ。さらに無人機も攻撃に加わり、100発以上の爆弾を投下したという。



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【書評】 E・H・カー『歴史とは何か』




 私が学生時代にとある先生と話をしていた際に歴史哲学の話になり、その先生が引用したのが本書だ。意外と有名な人だったようで、もっとも有名な言葉に、


歴史とは過去と現在との間の対話である


 というものすごく有名な言葉を残している。まあ、前述「有名な人だったようで」というので分かるように私はこの歴史学者を知らなかった。因みに著者はE・H・カーというイギリスの歴史学者。専門はソビエト史だそうだ。


E・H・カー
エドワード・ハレット・カー(Edward Hallett Carr、1892年6月28日 - 1982年11月3日)は、イギリスの歴史家、政治学者、外交官。ケンブリッジ大学を卒業後、1916年から1936年までイギリス外務省に勤務。退職後、ウェールズ大学アベリストウィス校(現在、英国立アベリストウィス大学)の国際関係論(国際政治学部)の学部長に就任。
第二次世界大戦中はイギリス情報省(Ministry of Information)の職員および『タイムス』紙の記者として活動。戦後は、その親ソ的な立場が災いし、一時的に英国の学界とは距離を置く。ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジの研究員として学究生活に入った後は、もっぱらロシア革命史の研究(全14巻)をライフワークとする。
(wikipediaより一部転載)
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 私は最初、ソビエトの歴史学者と勘違いしていたが、イギリスのロシア・ソビエト史専門の歴史学者だそうだ。第二次世界大戦中はイギリスの情報機関に所属していた。対ソ情報戦に従事していたのだろう。


 このカーの有名な言葉はどういうことかというと、歴史家が過去を見るときは現在の問題の解決手段として過去の類例を探すというのと、あくまでも歴史家の視点というのは現在の人の視点からしかものを観られないということだ。


 要するにあくまでも現在を抜きにして歴史は語れない。現在と過去とのキャッチボールをしているのだ。そしてカーは歴史の客観性についても言及している。


 歴史はどういう視点でみるかによって変わってくる。あくまでも歴史家の思想や視点によって過去の重要な事件というのは変わってくるのだ。例えば、大化の改新とは日本人なら誰でも知っている大事件であるが、実は江戸時代には歴史家ですら注目されていなかったという。


 注目されるようになったのは明治維新で王政復古という事件で過去の類例を探した結果、大化の改新が注目されることになったという。これは聞いた話なので裏はとっていない。


 それはともかく、歴史とは歴史家の視点によって全然違くなる。あまり好きなたとえではないが、右翼か左翼かによって歴史認識が全然違うというのが分かり易い。


 現代側の問題としては歴史家が生まれた時代や歴史家の思想によって歴史の見方は変わってくる、さらに過去の問題としてはそもそも過去の人が重要だと認識したことしか史料にはならない。さらにその史料を残せたのは歴史の「勝ち組」である場合がほとんどだ。


 要するに歴史とは絶対的な客観は存在しない。歴史を研究する場合、まずは歴史家の生きた時代、その歴史家の思想を見なければならない。さらに過去の史料もどうして現代まで残ったのかを知らなければならない。


 いろいろと考えさせられる本ではあった。ただ、内容は現在の歴史研究者からみるとかなり「普通」の考えであるだろう。歴史研究者が本書をみたら100人が100人ともに納得するものだと思う。良書中の良書なので歴史を研究したいと思う人は必読だ。



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【書評】 佐々木俊尚『レイヤー化する世界』




 正直、ぞっとするほどの良書だ。私が最近読んだ本の中で5本の指に入るほどの良書だと思う。IT革命の結果の未来を過去の歴史からみていくという、まさにE・H・カーの主張を地で行くような本だ。視点は非常に面白い。


佐々木 俊尚
 佐々木 俊尚(ささき としなお、1961年12月5日 - )は、日本のジャーナリスト・評論家。兵庫県西脇市出身。愛知県立岡崎高等学校卒業。早稲田大学政治経済学部政治学科中退後、1988年毎日新聞社入社。警視庁捜査一課、遊軍などを担当し、殺人事件や海外テロ、コンピュータ犯罪などを取材する。

 1999年10月、アスキーに移籍。『月刊アスキー』編集部などを経て2003年2月退社。現在フリー。
(wikipediaより一部転載)
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 歴史を通してみていくと常にシステムは興亡を繰り返すということだ。かつては帝国が栄え、そして現在の国民国家・民主主義に変わって行った。しかし国民国家・民主主義というシステムも衰退が始まっているという。


 大企業は本社こそ先進国においているものの、工場は後進国に置かれる場合が多く、先進国の雇用とはならない。そして税金も大して落とさない。これは池上彰・佐藤優『新・戦争論』中でイスラエル高官が同様のことを語っていた。


 全ては国家を迂回して動いていく。そして結果どうなるか。世界は「フラット」になっていくという。今迄先進国に集中していた富は大企業が後進国に工場を建設し、そこで人を雇うことによって後進国に流れることにより世界中の給与水準は平均化していく。


 さらに「場」が世界を変えていくという。「場」とはインターネットによって作られたただ一つの空間・世界といえばいいだろうか。そこは世界に解放されており、その「場」を利用して人々は活動していく。そして私たちはレイアー化され、私たちと「場」との共犯関係が始まる。


 本書は読んでいて本当に楽しかったし良い本だった。だいぶ売れた本なのでブックオフに行けば108円で買えるかも。定価でも安いと思えるほど濃厚な内容だった。



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【書評】 北出大太『奇跡の飛行艇』




 最近、飛行艇物に首ったけな私である。今度は北出大太『奇跡の飛行艇』を読んでみた。北出氏は海軍の飛行艇乗りで操縦練習生21期という開戦時にはすでにベテラン搭乗員であった凄腕の飛行艇乗りだ。


 操縦練習生21期というのがどれくらいすごいのか分からない方も多いと思う。伝説のエース坂井三郎氏は操縦練習生38期である。操練21期は昭和8年に修了で操練38期は昭和12年。坂井氏より4年も多くの飛行経験を積んでいるということだ。


九七大艇 概要
 九七式飛行艇(きゅうななしきひこうてい)は、大日本帝国海軍の飛行艇。純国産としては最初の実用四発機であり、第二次世界大戦初期の長距離偵察などに活躍した。後継の二式飛行艇と共に川西航空機で生産された。略符号はH6K。連合軍コードネームは"Mavis"。通称「九七式大艇」。
(wikipediaより一部転載)
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性能
全長: 25.6 m
全幅: 40.0 m
全高: 6.27 m
翼面積: 170.0 m2
全備重量: 17.5 t / 過荷重 23 t
乗員: 9 名
エンジン: 三菱金星五三型 1300馬力 4基
最高速度: 385 km/時
航続距離: 正規 4,940 km / 偵察過荷重 6,771 km
武装:20 mm旋回銃 ×1 / 7.7 mm旋回銃 ×4 / 航空魚雷 ×2本 または爆弾 2 t(60 kg爆弾 ×12 または250 kg爆弾 ×4)
(wikipediaより転載)


 『二式大艇空戦記』の著者である長峯五郎氏もそうだったが、本書の著者北出大太氏も向こう気が強い。私の飛行艇乗りは温和という価値観を木端微塵に粉砕してくれた。


 しかし北出氏は単なる向こう見ずな性格ではなく、戦争中に戦争とは経済の余裕があって初めて勝利できると考える合理的な人である。


 本書で私が一番気になったのは水戦搭乗員の河口猛飛曹長の活躍であった。河口飛曹長は戦死してしまうがそれまでに二式水戦で38機を撃墜したという。昭和18年の時点で飛曹長ということは操練でいえば20期台後半から30期台前半、甲飛でいえば2、3期、乙飛では3〜5期くらいだろうか。


 著者は地上から河口飛曹長の空戦を見ているのだが、かなり詳細に書いている。その戦い方は圧巻だ。その河口飛曹長も戦死してしまうのだが。。。


 それ以外にもフィリピンから金塊やダイヤ等を大量に運んだ話、内部が二階建てになっている二式大艇よりも九七大艇の方が操縦しやすいこと、日本では1機で双発6機分相当の予算がかかる4発重爆は技術的にはもちろん可能であったが、コストの関係で作れなかったことなどが面白い。



奇蹟の飛行艇―大空に生きた勇者の記録 (光人社NF文庫)

商品の説明
全長三十六メートル、全幅四十メートル、一梃の機銃さえもない巨人飛行艇を駆って、襲いくる敵戦闘機群を蹴ちらし蹴ちらして、絶妙の神技を見せ、みごと大空の決戦に勝ち抜いたエース・北出が綴る空戦記。飛行時間七千時間、海軍の至宝と謳われた名パイロットが“炎”のごとき闘志を燃やした蒼空の死闘の跡を辿る。
(amazonより転載)


 それと著者が大阪川西飛行機でみたという6発の大型飛行艇というのは何なのだろうか。木製のモックアップが存在したという可能性はあるようなので著者はこれをみたのだろうか。それにしても実際に飛行できる機体があるかのような書き方だ。


 それにしても飛行艇戦記は面白い。



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【書評】 戸高一成『海戦からみた日清戦争』




 戸高氏の『海戦からみた』シリーズの多分2作目。タイトルの通り日清戦争を描くのだが、幕末の海軍伝習所から始まるのがあたり前といえば当たり前だが、ちょっと面白い。


 幕末に幕府内で海防が問題となった時に、「軍艦だけではダメだ。海軍生の養成が第一だ」という意見書を出した下っ端役人がいた。それが勝海舟だったという。


 勝海舟が優秀であり、自分の意見をはっきりと主張したのもすごいが、下っ端(非役の旗本・御家人)の意見を国防方針として採用した幕府もすごい。これは幕府が柔軟だったというよりも明確な方針が無かったというのが正しいだろう。


 それはそうと、日本と清国はそもそも連繋して列強と対抗するという考えもあった。しかし清国は有力な政治勢力を持たない上にお互いの対抗心や脅威感から連携相手とはみなさなくなったという。その結果、戦争が始まる。


日清戦争は単なる軍隊としてではなく、「科学技術の総合組織としての海軍の戦闘能力を示した戦争であり、その勝敗は両国の近代化の達成度を象徴するものだったのである。
(『海戦からみた日清戦争』より引用)


 日本が近代化を始めて最初の戦争が日清戦争であった。戦争の勝敗は科学技術のレベルに左右される。相手に対して高性能な軍艦や兵器を装備すればそれだけ勝率があがるのは今も昔も同じだ。


 さらに高性能な兵器を製造できる工場、その兵器の部品を作る工場、さらにその兵器を運用できる人間を育てること等の総合力が戦争の勝敗を決することとなった。



海戦からみた日清戦争 (角川oneテーマ21)

商品の説明
前例墨守こそ重職の務めとされた江戸の封建主義を、幕末の海軍建設者たちはいかに打ち砕いたのか?軍備の劣った日清戦争、その勝因とは?科学・技術・組織の刷新を不可欠とする海軍建設の歴史から、日本近代の幕開けを鮮やかに描き出す。
(amazonより転載)


 本書で面白かったのは、日本の他国との戦争はすべて朝鮮半島をめぐる争いに端を発しているという視点だ。白村江から太平洋戦争に至るまで確かに朝鮮半島に端を発しているといえなくもない。


 それと登場してからまだ20年程しか経っていない新兵器の水雷艇を集中運用して作戦を行うという発想はまだ能力が証明され切っていない航空機で真珠湾の戦艦群を攻撃するという発想と通じているという指摘も面白かった。日本軍も意外と独創性があったのだなと感じる。



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